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#0027『アンダルシアの犬』ルイス・ブニュエル監督 1928年フランス

アンダルシアの犬
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監督・製作:ルイス・ブニュエル
脚本:ルイス・ブニュエル/サルバドール・ダリ
撮影:アルベール・デュベルジャン
出演:ピエール・バチェフ/シモーヌ・マルイユ
   ハイメ・ミラビエス/サルバドール・ダリ
   ルイス・ブニュエル

<作品関連情報>
    ⇒IMDb(英語)

おそらくディープな映画ファンなら一度は観ている有名作品ですが、ちょいとやっかいな映画を観てしまったなぁ。

このブログで書いているのは作品の感想で、ストーリーや演出、演技、撮影、作品背景などからピンとくるとっかかりを探して自分の考えや思いに引っ掛けて文章にしているわけです。と言うことは作品になんらかのとっかかりがないと書けんわけです。

ところがこの作品、つかまるところがない!ということは、私の手には負えない作品・・・。しかし、そう言ってしまうと全て事は終わってしまうので、四苦八苦することを覚悟で書いてみることにしました。

このところ1920年代以前の映画を観てきているわけですが、この時期、映画は”物語のための道具”としてどんどん進歩してきました。最初は、ただモノを映すだけだったものが、シナリオで語るようになり、演技で語るようになり、カメラワークで語るようになり、編集で語るようになってきました。この発展ぶりを作品を追いかけながら観ていくのがものすごく楽しいんですね。この『アンダルシアの犬』が作られた1928年頃には、それらが映画作法としてかなりしっかりと体系化されてくるのです。まず、そういう映画の見方をしている私にとって本作は少し酷。

物事が体系化してくるとやはり”そうじゃないョ!”と異を唱える人たちもおり、延長線から外れたところで方法論を模索するという動きが出てきます。初期の映画の歴史でも、グリフィスの「Continuity」を基本とする映画作法に対してエイゼンシュテインが「衝突のモンタージュ」を唱えて『戦艦ポチョムキン』のような作品を作りました。

それでも、モンタージュ理論の発展は、「物語を語る」ということの範疇内で、思想や手法の革新を求めた結果なのではないかと思います。『カリガリ博士』における表現主義の適用でさえ完成した映画から”物語”すなわち作者の意図を探り出すことが出来ます。しかし、『アンダルシアの犬』で、ブニュエルとダリが挑戦したことは、映画が30年かけて磨き上げてきたストーリーテラーとしての機能をまったく考慮してないじゃないですか。映画が映像を映すことによって物語を語ろうと努力してきたのに、”映画は映像を映す・・・”というところまでしか利用していない。単に映像を映すだけの機能として映画を扱った作品にはこれまで触れたことがない。

解説によると、ブニュエルとダリの見た夢(女の目を切り裂くのがブニュエルの夢、手からアリが出てくるのがダリの夢)をもとに映像のアイデアを出しあい、合理性・説明性のあるものから排除していった・・・とありますから、物語どころの話ではない。そもそも観客の理解すら求めていません。そういう映像が目の前にゴロリンと投げだされたときに、いったいどのように対応すればいいのでしょうか?シュールレアリズムを追求している人たちにとっては「なにをトンチンカンなことを言っているのだ」というレベルだと思いますが、ごく一般的映画好きの私にとって、この映画につかまるところがない理由はここにあるのです。

そもそも、シュールレアリスムはある突き抜けた価値観に基づいた表現であって、日常を形作る見せ掛けのものに価値はない、人生の核心には説明不能の理解を超えた重要なものがあって、それを形にして見せる方法を模索している。そして、そのために視覚的なインパクトに頼る表現方法を編み出した。だから、こういう脈絡のないキレた映像をこれでもかと放り投げてくるわけですね。

しかしですよ、その価値観を共有していない人間に対してこの映像はどんな意味があるのでしょう。彼らは人生なんて論理やストーリーが通用するものなどではなく、人間が云々できるものではないといっているわけですね。そう思っていない人間、例えば人生は念じたとおりに変えられると思っている人にとっては、この映像は観たとおりの気味の悪い映像以外のなにものでもないのではなかろうか。

私自身は、実はそれほど楽観的な人間ではなく、シュールレアリズムにしても表現主義にしてもその背景となっている考え方には共感する部分も多いのです。それよりも自分はそんなに明確な人生のビジョンを持ちあわせていないといった方が正しい。今の世の中はそういう人の方が多いかもしれません。では、そういうグレー(って言うのも変ですが)な人間に、この映画はどうアピールするのでしょうか。剃刀で眼球を切り裂かれる女の映像を観てなにかを悟ることが出来るのでしょうか。

物語の機能も同じようなところにあって、直接は見たり触ったりすることのできない大切なこと、価値のあることを親近感を持って悟ることができるように物語に託して語りかけるわけで、うすうす感づいているくらいのグレーな人たちをハッと気づかせる大きな役割を果たしているわけです。映画は物語のためのツールとしてよく出来ている。映画におけるシュールレアリスムの手法はその辺がどうも良くわからん。彼らの繰り出す映像は、純粋に見つめるしか手はない。人によってはトラウマになるかもしれない映像(目玉焼きを食べれなくなった人もいるに違いない)を見る。当然、気味が悪くなったり、不安になったりします。そこまでは確かに彼らの狙い通り。そこからどうするんだよと。そこから、シュールな人生の価値を見極めるまでの道のりは、魅力的な物語に託して語られるものに納得するまでの距離よりもはるかに遠い。おまけに絵画などと違って、映画は写実的過ぎるというか、ナマすぎる。見たものが全てになってしまって、結局ナマの映像が記憶に残るだけになりかねない。もちろんどれだけ背後にあるものを感じ取れるかは個人の能力ですから、この作品を見て人生の真理を探り当てる人もいるかもしれませんが、私には無理でした。

四苦八苦どころか七転八倒してしまいました。この作品を面白いといえる人はすごい(決して嫌味ではない)。はい、大変失礼いたしました^^;

★★★☆☆

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グリーンベイさん、さすが!・笑

どうもどうも、グリーンベイさんには見抜かれてしまいましたね・笑。この記事のポイントは二つだけ。ひとつは「単にわかりませんでした。と言うのも癪なので屁理屈こねてみた」。もう一つは、「あの不気味な映像から人生の深みを考えようとする人はほとんどいないに違いない」。それだけのことでした。

>難しく論理展開しないほうが良い。
おっしゃる通りでございます・笑。
>その意図するところは・・・何のことは無い世に出る為だったのでしょう。
拍手!

ところで、今日、録画してあった”美の巨人たち”というテレビ番組で、画家・鶴岡正男の代表作「重い手」(http://www.tokyo-np.co.jp/event/bi/tsuruoka/)とを観ました。これは衝撃的でしたね。人間てなんだ?ということについて、改めて考えさせるだけのインパクトがあります。本文中に”考えさせるためのツールとしては、絵画などと違って映画はナマ過ぎる”と書きましたが、間違えてはいないなと改めて思いました。

「アンダルシアの犬」(28)・・・。

 FROSTさん・・・今晩は。
うーーーん。ついにヴニュエルの「アンダルシアの犬」(28)ときましたか・・・。この作品はダリとの共同制作だが・・・製作意図は何だったのか?。従来の映画の延長にこの作品を置いて・・・真の製作意図を探ろうとすれば・・・七転八倒となる・・・(笑)そんな時は難しく論理を展開しない方が良い。映画少年が生意気に少し乱暴に言わせて貰えば・・・監督はこの作品でこの世界に衝撃デビューを飾ったわけだが・・・その意図するところは・・・何のことは無い世に出る為だったのでしょう。仏道に人
間の深層心理を平易に解いている・・・人間の言動は、その心の中を突き詰めていくと・・・凄い嫉妬心の劣等感に突き当たると・・・。(道元の随聞記」より)
しかし、FROSTさんの解説の中に・・・成る程と同感できる箇所がありました・・・<そもそも、シュールリアリズムとは、ある突き抜けた価値観に基ずいた表現であって、日常を形つくる見せ掛けのものに価値は無い、人生の核心には説明不能な理解を超えた
重要なものがあって、それを形に見せる方法を模索している。そして・・・云々>・・・二三の偉い先生の解説に目を通してみても・・・余り深入りは避けていますよ(笑)・・・。こうしたプロの解説よりFROSTさんの感想のほうが分かりやすかった・・・。(世辞でなく)
ヴニュエル作品では・・・「真昼の決闘」(52)でグレース・ケリー嬢より存在感を示したカテイ・フラトー嬢を起用したメキシコ映画「乱暴者」(52)とかカトリーヌ・ドヌーヴ嬢が官能美の極致を見せた「昼顔」(66)等が印象に残っている・・・。

Yamaさん、こんばんは

どうも自分の書いた文章が気に入らなくて、下書き状態で訂正していたのですが、手違いでアップされていたようです。Yamaさんが読まれた内容と変わってるかもしれませんが・・・(また変わる可能性もあり)。どちらにしても、良くわからんと言う結論は同じですね。映像も面白いと言えば面白いですが・笑。
ブニュエルの『忘れられた人々』は是非見たい映画の一本なのですが、amazonで手に入るのはレンタル落ちの中古ビデオが7500円、二の足どころか三の足くらいまで踏んでます。

ご無沙汰しております

ブニュエルとの最初の出会いは、彼の晩年に当たるフランス時代の諸作品でした。
下手なコメディ映画の何倍も笑えるそのシュールな感覚に酔いしれました。

『アンダルシアの犬』もほぼ同時期に観たのですが、
映像の面白さはともかく(ゲテモノ好きですいません)、
作品としてはFROSTさんと同じく「?」といった感じが強かったのも事実です。

でも、その後メキシコ時代の諸作品を観て『アンダルシアの犬』はあくまでも習作だったのだなと納得しました。

特に『忘れられた人々』!
これを観た時の衝撃は今でも忘れられません。
ブニュエルの最高傑作です。
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