スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

#0126『メトロポリス』フリッツ・ラング監督 1926年ドイツ

メトロポリス
”METROPOLIS” にほんブログ村 映画ブログへ

 80年前のSF映画。描かれているのは100年後、すなわち2026年の世界。フリッツ・ラングの代表作『メトロポリス』を鑑賞するのは、実は今回が初めてなのですが、素直な感想は”なんてちぐはぐな映画・・”。
 
メトロポリス『メトロポリス』で一番驚かされるのは、やはりその圧倒的な世界観。地上にそびえる摩天楼やその間を縫って空中に張り巡らされた交通網、地下の大工場などのインフラレベルはもちろん、資本家フレーダーセン(アルフレート・アーベル)の執務室にはコンピューターのようなものも見え、本人や秘書のジョセフがコンピューター(のようなもの)のデータをチェックしながら工場の生産性などについて、明らかになんらかの判断をしているようです。さらには、テレビ電話まで登場し、この後数十年間のSF要素をかなりカバーしているのではないかと思われるほどです。

また、工場で画一的に働かせられる労働者たちの、デフォルメされた姿もインパクトがあります。整列して勤務交代する労働者は、うなだれ、とぼとぼと足取り重く、さらに地下深くにある住居にたどり着いても喜びの姿も安堵の姿もありません。職場では、無目的な単純作業がパントマイムのように延々と続き、一人のミスで大事故が起きます。たまたま事故を目撃したフレーダーセンの息子フレーダー(グスタフ・フレーリッヒ)は、父に事故の有様を涙ながらに訴えますが、「そんなことは当然ありうることだ」と一蹴されるだけ。人間性のかけらも認められない労働者の姿は悲惨ですらあります。

メトロポリス_マリアそして、なによりもロボットマリアの造形。淀川長治氏は、「『スターウォーズ』のC-3POは、マリアの出来損ないの物まねに過ぎない」と言い切り、ドイツ人とアメリカ人のデザイン感性までコメントしていますが、確かにマリアの造形は素晴しい。C3POでも怖い。何が怖いって、目が怖い。目は意思の宿るところであるとするならば、この不気味な目のロボットは一切の意思を否定した、究極の非人間的なものを象徴してるようです。C-3POは「マリアの物まね」などと言われていても、あの親しみやすいびっくりまなこが与えられた時点で、人間との関係においてマリアとはまったく異なる存在意義を与えられているのだと思います。

いろいろと調べてみると、フリッツ・ラングがこの映画に盛り込んだ事物の先進性には驚くばかり。建築物に見られる”アール・デコ様式”や”ロボット”という言葉などは、この映画が作られた1926年の直前に世の中に出たばかりのもの。フレーダーセンのコンピューターにいたっては、この時期まだ”巨大な計算機”に過ぎず、オフィスで仕事の分析に使うなどは何十年も後になって実現する使い方。テレビ電話などは言うに及ばずです。にほんブログ村 映画ブログへ

ネットのレビューを読んでいると、セットが書割りみたいでチャチだとのたまう方もいらっしゃいますが、それは無理難題というもの。チャチなのは一番表層の表現技術に関する部分(昔は技術がなかったんだから仕方がない)だけで、その着想、造形、実現度などにおいては恐るべき水準であると言えます。さらに言うと特殊撮影やカメラワークなどの工夫についてもやはり素晴しい。チャチと一蹴するか、驚嘆の目を持ってみるかは見る側の感性次第ということでありますね。

さて、この映画がフリッツ・ラングのオリジナル版に比べて半分以下の尺に編集されてしまったのは、よく知られた話で、今ではオリジナルフィルムは残っていないのだそうです。そういう事情なので、この映画のストーリーについて云々しても仕方がないのだろうなと思うものの、やはりストーリーが陳腐であることが残念至極。中途半端な階級闘争、安易な恋愛過程、マリア発明にいたる経緯もおそらく省かれてしまったに違いありません。

フリッツ・ラングのマリアの造形にはかなりの思い入れが込められていたはずで、完全に非人間的なものにすらたやすく操られる大衆のもろさを描きたかったのかもしれないし、マッド・サイエンティスト・ロトワング(ルドルフ・クライン=ロッゲ)と、マリアのモデルになったと言われるフレーダーセンの亡き妻との、一くさりの物語があったのかもしれません。

この映画を編集した人たちは、SF的世界観の衝撃を最大の売り物と見て、ストーリーを省みずオリジナルを切り刻んだのかもしれません。その結果、いかにも中途半端なメロドラマになってしまった感があり、目を見張るSF要素を受け止めるだけのストーリーが存在しないちぐはぐな映画になってしまったのでしょうか。

もっとも、今の世の中、映像のインパクトだけあればそれでよしと考えているような、確信犯的”似非SF"映画が大手を振ってまかり通ってますが、そんなのと比べたら。。。(以下省略)★★★★☆

<スタッフ&キャスト>
監督:フリッツ・ラング
製作:エリッヒ・ポマー
脚本:テア・フォン・ハルボウ/フリッツ・ラング
撮影:カール・フロイント/ギュンター・リター

出演:アルフレート・アーベル
    ブリギッテ・ヘルム
    グスタフ・フレーリッヒ
    フリッツ・ラスプ
    ルドルフ・クライン=ロッゲ

【Tag:メトロポリス】



⇒その他のサイレント映画はこちらから

↓↓最後まで読んでいただきありがとうございました。ぜひ、ワンクリックお願いいたします^^
にほんブログ村 映画ブログへ

【Technorati Tags】
              

メトロポリスメトロポリス
(2006/10/21)
アルフレッド・アベル、グスタフ・フレーリッヒ 他

商品詳細を見る


ブログパーツ

スポンサーサイト

テーマ : ■■□ サイレント映画 □■■
ジャンル : 映画

★引っ越しました!★
お越しいただいた皆様、ありがとうございます。 新しくシネマぞろ★を始めました。下のリンクよりぜひお立ち寄り下さい!
場内ご案内
はじめてご来場のお客様は
こちらから
上映作品を探す

【上映作品INDEX】
⇒タイトル別/あ行-さ行
⇒タイトル別/た行-わ行
⇒製作年別/1910年代-1940年代
⇒製作年別/1950年代-2000年代
⇒ファーストインプレッションリスト
【特集INDEX】
⇒サイレント映画特集
⇒ヒッチコック特集
⇒フィルム・ノワール特集
【500円DVD INDEX】
⇒500円DVDリスト(07/12/09更新)
 全358タイトル

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。

ブログ内検索
カスタム検索
最近の記事を読む
コメント御礼!
トラックバック感謝!
上映作品ランキング


ご来場感謝!!
Google
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:文芸座館主

Blogranking.net

RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

お気に入り!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。