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#0147『ラジオ・デイズ』ウディ・アレン監督 1987年アメリカ

ラジオ・デイズ
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1940年代前半のユダヤ人家庭のラジオ・ライフ。クイズ番組や音楽番組、スポーツ番組、果ては腹話術師まで。まだテレビの普及していなかった時代にラジオを楽しむ家族の様子や、番組放送の現場に関するさまざまなエピソードが積み上げられて一本の映画になっている。

ユダヤ人家族の男の子は10歳くらいで、1935年生まれのウディ・アレンと同じ年頃。彼自身の思い出を織り込んでいる自伝的な作品らしい。

ウディ自身が、「主軸になる物語がなくエピソードの羅列の映画をつくる時、エピソードの面白さやリズムやスタイルを巧く持続させなくてはいけないが、これには大変気を遣う」と述べているが、そのあたりエピソードの緩急、笑いとしんみり、いくつかあるストーリーのかみ合わせ具合などよく出来ていると思う。それに、室内の調度やファッション、町の様子などオールドアメリカンな雰囲気を十分楽しめるのも良い。

しかし、こういうタイプの映画は語られるエピソードと自分の実体験とのシンクロ具合でずいぶん面白さも変わるだろうなと思う。私自身は、日本人でテレビ世代なのでシンクロできる部分が案外少なく、ウディ・アレンが仕掛けている魅力の半分も受け取れていないのだろうなと思うと残念。そう言えば、『Always 三丁目の夕日』はテレビでちょっとしか見ていないがシンクロ率100%で面白かった。映画の出来不出来には関係のない話だけどね。

ミア・ファローの甲高い声と話し方は、『雨に唄えば』のリーナ・ラモントに似てる?スポットでダイアン・キートンが歌う「You'd be so nice to come home to」は絶品。
★★★★☆

<スタッフ&キャスト>
監督:ウディ・アレン
製作:ロバート・グリーンハット
製作総指揮:ジャック・ロリンズ/チャールズ・H・ジョフィ
脚本:ウディ・アレン
撮影:カルロ・ディ・パルマ
美術監督:サント・ロカスト
音楽:ディック・ハイマン

出演:ミア・ファロー/ ダイアン・ウィースト
    セス・グリーン/ジュリー・カヴナー
    ダイアン・キートン/マーセデス・ルール
    ダニー・アイエロ/ヘンリー・ジョーンズ
    ドワイト・ワイスト/ウィリアム・H・メイシー

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ラジオ・デイズラジオ・デイズ
(2008/04/25)
セス・グリーン

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#0146『奇跡』カール・テオドール・ドライヤー監督 1955年デンマーク

奇跡
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4月19日から26日まで、神田駿河台のアテネ・フランセ文化センターで、カール・ドライヤー監督特集を上映していました。日本では少なくとも当分は観れなくなるのだそうです。普段映画館にはあまり足を運ばないのですが、今回は例外。サイレントの代表作『裁かるるジャンヌ』、ドライヤーの遺作となった『ゲアトルーズ(ガートルード)』、そしてこのトーキーにおける傑作『奇跡』の三本を鑑賞しました。

ちなみに観れなかった上映作品は『吸血鬼(ヴァンパイア)』と『怒りの日』。『吸血鬼(ヴァンパイア)』はぜひ観たかったのですが、時間が合わずやむなし。自宅にDVDがあるので、改めて鑑賞してみようと思います。『怒りの日』は、しばらく観る機会はないかもしれません(悲嘆)。

映画の持つ”映像の力”を思い知らされた作品でありました。いくつもの忘れがたいシーンがありました。

なかでも、インガが死に至る一連のシーンはまさに映像の奇跡。自らをキリストと混同する狂人ヨハネスのつぶやきと、室内を照らす車のヘッドライトや響いてくるエンジン音がシンクロし、見えないはずの神の姿を、ドライヤーは部屋の中に浮かび上がらせてしまいました。間違いなくそこに神がいた。大鎌を振り上げ、インガの命を召し上げていった。今なら安易にCGで神の姿を作り出す監督もあまたいると思います。狂人のつぶやきとライトとエンジン音だけで、神の姿を造形したこのシーンはまさに映画における奇跡のシーンだと思います。

2時間強の映画の中で、すでに散々、映像の力を見せつけられた後にやってきたラストシーンはさらにすさまじく、そこには”映画の全て”が凝縮していると言っても過言ではありませんでした。

冒頭の写真からでもほんの少しだけ伝わってきますが、ラストシーンの舞台となるインガの葬儀会場の、その”空間”から伝わってくるはりつめた美しさをどう表現すればいいんでしょう。簡素にして無駄のない室内に、絶妙なシンメトリーで配置されるモノたち。真っ白な室内にゆるゆると動き漂う喪服の人々。悲しげにもれる彼らのすすり泣きと小声の会話。その場全体がぐっと圧縮されてキーンと音を発しているのでではないかという錯覚すら覚えました。

そして、その空間でやり取りされる奇跡をめぐる”意味”の交差。葬儀会場に集まった人々はインガを惜しみ、ひたすら神にすがり奇跡を望みます。最愛の妻に先立たれた憔悴の夫ミケル。わが身も滅ぶほど嘆き悲しんでも、彼の望みは神に通じません。科学の象徴たる医者と宗教の象徴たる牧師は、これまで対立の構図で描かれてきましたが、ここではすでに分かたれた存在ではありません。彼らはただ寄り添って部屋の隅に座るのみ。科学と宗教がその垣根を取り払ってさえ無力な、その姿をどう見ればよいのでしょう。隣人は慈悲の心を思い出し、異宗派であるインガの父親との間の長年の確執を捨て、2人は涙ながらに肩を抱き合います。しかし、宗派を超えた宗教的和解をもってしても神の奇跡に通じる力は生まれない。それはなぜなのか。

やがて、全ての人々が焦がれた奇跡は、それまで狂人として厄介者扱いされてきたヨハネスの手によって実現されます。そして、それを促したのはまだ分別もつかないわずか7歳の女の子でした。

この作品は、宗教に対して強烈な問いを投げかけていると言われています。それは、キリスト教に全く疎い私にも見事に伝わってきました。それだけの影響力のあるメッセージが、実物として目の前のスクリーンに写る映像から発せられてくるということに素直に感動しました。これまで、ストーリー重視で映画を観ていたのですが、映像が意味を作り出し、意味が映像を輝かせる、そういう映画の面白さに気づくことができた作品となりました。ちょっと無理して映画館に観にいって本当に良かった。私の映画人生はこの一本で間違いなく変わります。★★★★★

<スタッフ&キャスト>
監督:カール・テオドール・ドライエル
原作:カイ・ムンク
脚本:カール・テオドール・ドライエル
撮影:ヘニング・ベンツェン
音楽:ポウル・シーアベック
出演:ヘンリク・マルベルイ
    エミル・ハス・クリステンセン
    プレーベン・レーアドルフ・リュ
    ビアギッテ・フェダース

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奇跡奇跡
(2002/02/22)
ヘンリク・マルベルイ、プレーベン・レアドフ・リュ 他

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#0145『カルラの歌』ケン・ローチ監督 1996年イギリス

かるらの
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グラスゴーで二階建てバスの運転手をするジョージ(ロバート・カーライル)は、ニカラグアからやってきたカルラ(オヤンカ・カベサス)と出会う。ジョージの運転するバスに無賃乗車してきたカルラを、警察に突き出そうとする車掌から守ってやったことがきっかけで二人は愛し合いはじめる。
しかし、カルラには内戦さなかの故郷ニカラグアに恋人アントニオがおり、彼への想いを絶つことができない。苦しむカルラを救うためにジョージは彼女と一緒にニカラグアへと向かう。。。

全体的にドキュメンタリーのようなちょっと固めの映像が印象的な映画でした。いろいろ調べて見るとそのあたりの味わいがケン・ローチ監督らしいと言うことのようです。

が、ちょっと的が絞りきれていないような気がしますねぇ。ニカラグアの悲惨な内戦状況に翻弄されるカルラとアントニオの恋、激情的で後先考えないジョージのカルラへの献身を通した成長、そしてカルラとジョージの恋。そのあたりが主題かと思いますが、どれも心に染み通ってくるものがありませんでした。

前半ジョージとカルラの恋が結構いい感じで描かれ(バスで湖に行くシーンとか)ていたのですが、舞台がイギリスからニカラグアに移ったころからドキュメントな色合いが強くなってきてどちらも中途半端なメッセージになってしまいます。カルラとアントニオの恋はアントニオがほとんど画面に現れない演出ですが、これがあまりうまく効いてないようですねぇ。悲惨な体験をしたアントニオに対する感情移入がうまくできず、二人の運命に対しても十分な共感ができませんでした。なので、ラストシーンのジョージの決断にも感動できなかったんだなぁ。ちょっと残念。
★★☆☆☆

<スタッフ&キャスト>
監督:ケン・ローチ
製作:サリー・ヒビン
脚本:ポール・ラヴァーティ
撮影:バリー・アクロイド
音楽:ジョージ・フェントン
出演:ロバート・カーライル/オヤンカ・カベサス
   スコット・グレン/サルヴァドール・エスピノーザ
   ルイーズ・グッドール

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#0144『犬の生活』チャールズ・チャップリン監督 1918年アメリカ

犬の生活
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ネタバレを含みます。ご注意ください。

今回は新作記事のアップです。

12本の作品を発表し、チャップリンはミューチュアル社との契約を終えます。マネジャーを勤めていた兄シドニーは、ファースト・ナショナル社と”二巻もの8本で120万ドル”というこれまた破格の契約を締結。その知らせを聞いたときに、チャップリンは風呂上りで腰にタオルを巻いたまま、部屋の中を行ったりきたりしながらバイオリンを弾いていたそうです。

チャップリンは、作品作りの自由を手に入れるため、ハリウッドに、現像所・編集室・撮影所まで完備した自分のための撮影所、チャップリン・スタジオを建設します。そして、このファースト・ナショナル社において、『犬の生活』や『担え銃』、そしてあの『キッド』などの名作が誕生したのでした。これ以降の作品は"短編”といっても十分長編並みのクオリティの作品ばかりになりますので、一作品ずつ記事をアップして行きたいと思います。

『犬の生活』は、1918年4月9日に発表された、チャップリンのファースト・ナショナル社初作品。自伝では、「この作品ではじめて喜劇を建築構造的に考えるようになった」と語っており、チャップリンのフィルモグラフィの中でも重要な位置を占める作品。

キーストンをはじめ、これまでのスラップスティック・コメディは、ギャグが全てであり最優先。役者の個性もシナリオもたいして重視されていなかったんですね。シナリオなどと言うものは無くて、面白いギャグを思いついたらまず撮る。そこから、次々ギャグを連想して撮りまくり、最後を追いかけっこにして適当にストーリーをつける。キーストンでチャップリンのデビュー作を監督したヘンリー・レアマンなどは、「コメディは追いかけっこがすべてだ!」と言って聞かなかったそうです。

こういう映画作法に、チャップリンははじめから反発していました。チャップリンの”コメディ改革”のツボは、1.ギャグの切れと質を劇的に向上させたこと、2.コメディに計算されたシナリオを持ち込んだこと、3.笑いに涙を取り入れたこと。その他にもたくさんあるとは思いますが、この3つがやはりすごい。ミューチュアル時代ですでに、2.は試行錯誤され、かなりのレベルに達していますが、ファースト・ナショナル社で自由な製作環境を得、『犬の生活』でついに完成領域に至ったと言えます。このあと、製作期間もぐっと長くなり、会社と争いながら莫大な製作費をかけて作品を発表していきます。

ストーリーもご紹介。
ベッドもパンもない野良犬同然の生活のチャーリー。ある日、気弱な犬コロが野良犬たちに襲われているところに遭遇する。必死の思いで犬を助けだし、似たもの同士とばかりすっかり仲良しになるチャーリーと犬コロ。絶妙なコンビネーションで屋台のソーセージやパイをくすねてご機嫌のひとりと一匹は、さらに食べ物を求めてバーに潜入する。そのバーの中では、歌はうまいが、お客に媚を売れないばっかりに支配人にこき使われいる歌姫エドナがいる。哀れな身の上が互いに呼び合うのか、二人は仲良くダンスを踊ったりして楽しくすごす。しかし、無一文のチャーリーは一杯のビールを注文することができず、バーテンにたたき出されてしまう。

そのころ、通りでは2人組みの悪党が、酔っ払いの金持ち紳士から大入りの財布を強奪。警察に追われた彼らは、たまたまチャーリーのねぐらの空き地に財布を埋めて、バーにやってくる。その悪党にちょっかいを出されて逃げ出してしまったエドナは、あえなくクビを言い渡され、おまけに支配人は給料も払わない。

一方、ねぐらに戻ったチャーリーは犬コロと一緒に眠りにつくが、ピピッときた犬コロが財布を掘り出し一躍大金持ちになる。かわいいエドなのことが忘れられずにバーに戻ったチャーリーは、今度は札びらきってエドナと2人でいざ祝杯。しかし、居合わせた悪党たちは財布を取られたことに気づき、悪党とチャーリーの財布争奪戦に発展。結局、ここでも大活躍の犬コロが財布を取り戻し、悪党は警察に逮捕される。

場面変わって、畑で野良仕事に精を出すチャーリー。仕事が終わってうちに帰るといそいそと炊事に励むかわいいエドナとベビーベッド。その中には、かわいい子供と犬コロが。2人と犬コロたちは幸せに暮らしてハッピーエンド。

ソーセージやパイをくすねる屋台の主人は、実兄のシドニー・チャップリンが演じていますね。マネジャー業を一手に引き受けながら、ちょいちょいチャップリン映画にも出ていたようです。それぞれのシーンで、絶品のギャグがふんだんに味わえますので、それはぜひご自身の目で。★★★★☆

<スタッフ&キャスト>
監督:チャールズ・チャップリン
出演:チャールズ・チャップリン
    エドナ・パーヴィアンス
    チャック・ライスナー
    ヘンリー・バーグマン
    シドニー・チャップリン
    アルバート・オースティン

参考文献:チャールズ・チャップリン著「チャップリン自伝~栄光の日々」

チャップリン自伝-栄光の日々 (新潮文庫)
チャップリン自伝-若き日々 (新潮文庫)

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(2004/01/23)
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#0143『パームビーチ・ストーリー』プレストン・スタージェエス監督 1942年アメリカ

結婚五年目
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40年代の名喜劇監督プレストン・スタージェスの作品。1948年日本公開時の邦題は『結婚五年目』。DVDもその題名で出ていますが、その後原題どおりに改められたそうです。

タイトルバックがすでにドラマになっていて、なにか大騒動の末に若いカップルが結婚式にこぎつけます。物語はその”結婚五年目”のお話。末永く幸せに暮らしているかと思えば、現実はそう甘くはなく、夫のトム(ジョエル・マクリー)は画期的な空港建設技術を持ちながらプライドの高さゆえビジネスがうまくいかず、アパートの家賃も払えない状態。妻ジェリー(クローデット・コルベール、この夫婦、トム&ジェリーですね)は、そんな夫に愛想を尽かし、「あなたはあなたで頑張って、あたしはあたしで金持ちの男でも捜すから・・」とばかりに家を飛び出してしまいます。妻を忘れられないトムは、彼女のあとを追いかけますが、追いついた先のパームビーチでは、ジェリーが、大富豪ハッケンサッカー3世と知り合い、恋に落ちようとしているところ。ハッケンサッカーの姉も絡んだ四角関係の果て、あっと驚く結末が・・・。

芝居では女優陣の演技が光りますね。ジェリー役クローデット・コルベールの後先あんまり考えていない脳天気ぶりもかわいいのですが、富豪の姉がメアリー・アスター。ジョン・ヒューストン監督の『マルタの鷹』ではハンフリー・ボガートを騙す悪女オショーネシー役が見事でした。この作品では、とっかえひっかえ男を渡り歩く自由気ままな金持ち夫人の役にぴったりフィット。いたずらっぽい笑みを湛えた目元が魅力的ですねえ。

ということで女優を中心に役者さんたちは気に入ったのですが、ちょっと個人的にこういうドタバタ喜劇(これってスクリューボールって言っていいんですかね?)カテゴリーにのめり込めないようです。面白いとは思うんですけど、忙しくてなんかこう・・・今ひとつ。単なる個人的な好みですから気にしないで下さい。おかしな奴らが山のように出てきてこれでもかと笑わせてくれるので、楽しい気持ちになれるのは間違いなし。ラストシーンがまあ強引。いつもなら”ご都合主義だ!”なんて吼えがちですが、「そんな野暮なこと言わなくても良いじゃないの」という気持ちにさせられてしまったのは意外でした・笑
★★★☆☆

<スタッフ&キャスト>
監督:プレストン・スタージェス
脚本:プレストン・スタージェス
製作:ポール・ジョーンズ
撮影:ヴィクター・ミルナー
音楽:ヴィクター・ヤング
出演:ジョエル・マクリー/クローデット・コルベール
   ルディ・ヴァリー/メアリー・アスター
   シグ・アルノ/ロバート・ダドリー
   ウィリアム・デマレスト/ジャック・ノートン
   フランクリン・パングボーン/ジミー・コンリン
   モンテ・ブルー/チェスター・コンクリン

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結婚五年目結婚五年目
(2005/07/25)
クローデット・コルベール、ジョエル・マクリー 他

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テーマ : クラシック映画
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#0142『殺しのドレス』ブライアン・デ・パルマ監督 1980年アメリカ


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2006年10月の記事です。ブログでお世話になっている方のお薦めで鑑賞しました。そもそもは私が、『リオ・ブラボー』に登場するアンジー・ディキンソンの脚がきれいだと喜んでいたところ、ならばこの作品はぜひ観なさいということで教えていただいたんです。が、レビュー内容がてんで違う方に行ってしまいお叱りをいただいてしまいました。いやー、なつかしいなぁ・笑。

以下、転載文

この作品が公開された時、批判的な評価の中で多かったのが、”ヒッチコックの真似だ”というものだったらしい。ヒッチコックの真似?何がいけないのだろう?デ・パルマ自身が語っているように「ヒッチコックの使った表現手法はこの分野で最高峰のもの」であり、「彼のやったことを避けて通ることはできない」のである。

しかし、ヒッチコックの手法はそう簡単に真似られるものではない。というか、一つ一つは真似ることが出来てもそれを一つの映画の中で効果的に組み合わせて優れたサスペンス作品を作り出すことは至難の業である。ヒッチコック作品のリメイクに名作がないことは良く知られている通りで、ガス・ヴァン・サントの「サイコ」などはオリジナルをなぞるほど忠実にリメイクしたにもかかわらず魅力ある作品にはならなかった。

『殺しのドレス』は確かに、ヒッチコックを髣髴とさせる表現にあふれている。全体的には『サイコ』の影響が強いかもしれない。特にエレベーターの中の殺害シーンは、見た瞬間に「サイコ」のシャワールームを連想させる。ただ、ヒッチコック作品と大きく違うのは、殺害シーンのリアリティである。ヒッチコックも、倫理規定が緩和された1972年の『フレンジー』では強烈な絞殺シーンを撮っているが、それ以前の作品では規制のためにリアルな殺人シーンを撮ることができなかった。

本作のエレベータの殺人シーンは極めてリアルである。通常より一回りほど大きな剃刀を用意するあたりもヒッチコック手法といえるかもしれない。その剃刀の刃が、殺されるケイトの身体に食い込んで一瞬止まる。ケイトの表情が恐怖に引きつった瞬間、そこから一気にザクッと切り裂く。切り口がパックリ口をあけ、血が噴出す。この凶器が一瞬止まるところがものすごく残酷で思わず目をそむけそうになる。ヒッチコックは刃物によるリアルな殺害シーンを撮っていないので、この演出はデ・パルマのオリジナル。彼なりの努力と工夫を感じる。

その他にも、美術館でケイトが男の気を惹こうとするシーンも面白い。隣に座った男につい目が行くケイト(アンジー・ディキンソン)。男の方も無関心を装ってケイトの様子を伺っている。行きずりの男女の駆け引きや、間をはずしはずされしているうちに変化していく心理状態などが、セリフなしの演技と音楽(ここの音楽はこれ以上はないというくらいシーンにマッチしている)のみで手に取るように伝わってくる。この美術館のシーンに限ればヒッチコック云々というのは失礼なくらい良くできていると思う。

ただし、いわゆる巻込まれ型サスペンスの主人公として、若い娼婦とメカおたくの高校生というのは少し線が弱いのではないかと感じる。ここでもヒッチコック流から離れることを意図したのかもしれないが、巻き込まれた主人公がいかに反撃するかがこのタイプのサスペンスの面白いところだと思っているので、主人公にはある程度の力を備えていてほしい。そういう観点から行くと、二人の反撃具合はいかにも中途半端で結果、警察に助けられて終わったという感じがしなくもない。

話が長くなったが、「ヒッチコックのまね」という批判に対しては、確かにまねだが、”猿真似”のレベルではない。ヒッチコック作品に対する愛情とそれを超えたいという創意工夫は十分感じられる良い作品だと思う。★★★★☆


■■2010/11/27再見 Twitterログ■■にほんブログ村 映画ブログへ

映像でハラハラ、ムラムラさせてくれる映画ってほんと楽しい。作る方も映画好きなんだろうなぁって伝わってくるし。小難しいのも悪くないけど、やっぱり映画の楽しみってこれだよねぇ。最悪なのは説明過多な映画。【殺しのドレス】http://amzn.to/g5irhI #eiga
posted at 20:22:48

リービイとエリオットの会話シーンは、知ってて観るとかなり不気味で怖いな。【殺しのドレス】http://amzn.to/g5irhI #eiga
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地下鉄のシーン。エレベーターもそうだけど、場面の切り替えが上手いよね。【殺しのドレス】http://amzn.to/g5irhI #eiga
posted at 18:44:33

ああ、殺されてしまった。。開始早々から中年女の性の葛藤とか36分もぐったんぐったんに見せつけといて、その女を間髪入れずにきりきざんで抹殺してしまうなんてさ。何回観てもやっぱり凄すぎる。【殺しのドレス】http://amzn.to/g5irhI #eiga
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やはり,一度中断。続きは夕方だな。【殺しのドレス】http://amzn.to/g5irhI #eiga
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いやー、粘っこいな、さすが、デ・パルマ絶好調。ざわついて、むらむらきて、いらいらして、じりじりして、かけひきして,あ~この変態!【殺しのドレス】http://amzn.to/g5irhI #eiga 手袋が。
posted at 11:14:40

なるほどー、殺意がインプットされた瞬間はこの鏡のショットかぁ。うまいとおもいます。【殺しのドレス】http://amzn.to/g5irhI #eiga さて、注目の美術館のシーン。
posted at 11:04:45

アンジー・ディキンソンは、西部劇の頃からファンです。脚の。【殺しのドレス】http://amzn.to/g5irhI #eiga
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ああ、そうだ、このバスルームシーン。ほとんどじゃなくてギャグそのものだ。【殺しのドレス】http://amzn.to/g5irhI #eiga
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いきなりですけど、オープニングのこの静かで上品な雰囲気はほとんどギャグだね。【殺しのドレス】http://amzn.to/g5irhI #eiga
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一本映画を見始める。今日のつかみどりは、ブライアン・デ・パルマ【殺しのドレス】、これか。。。デ・パルマの変態性炸裂で、けっこう好きな映画w。再見なので、実況でもしながら。途中で中断しなきゃいけないタイミングかなぁ。まあいいか。http://amzn.to/g5irhI #eiga
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<スタッフ&キャスト>
監督:ブライアン・デ・パルマ
製作:ジョージ・リットー
脚本:ブライアン・デ・パルマ
撮影:ラルフ・ボード
編集:ジェラルド・B・グリーンバーグ
音楽:ピノ・ドナッジオ

出演:マイケル・ケイン
    ナンシー・アレン
    アンジー・ディキンソン
    キース・ゴードン
    デニス・フランツ
    デヴィッド・マーグリーズ
    ブランドン・マガート

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オールド・ムービー・パラダイス!
殺しのドレス殺しのドレス
(2008/03/05)
アンジー・ディッキンソン、マイケル・ケイン 他

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#0141『逃走迷路』アルフレッド・ヒッチコック監督 1942年アメリカ

逃走迷路
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軍需工場で大規模火災が発生し、主人公ケイン(ロバート・カミングス)は同僚を亡くした上、テロリストの容疑をかけられる。からくも警察の手から逃れたケインは火災現場から姿を消した男を追う。

イギリス時代に『サボタージュ(Sabotage)』”という作品があり、原題が紛らわしいですが、Sabotageは「破壊工作」。Saboteurは Sabotageをする人ということで「破壊工作員」。そういうことだそうです。はい。ちなみに作品としては何の関係もありません。

1942年制作と言えば『疑惑の影』と同じ年ですね。疑惑の影は純粋なサイコスリラーという感じでしたが、こちらは全体主義者の悪事を暴くべく孤軍奮闘する主人公と言うことで、戦意昂揚もかなり意識されているようです。

これまた賛否の分かれる作品のようですが、私はいい作品だと思いました。なぜかというとヒッチコックらしさがプンプン漂ってるから。冒頭の火災発生シーンで大量の煙がトタン張りの壁を伝い流れてくれう不気味な映像。ヒッチコック定番の巻き込まれ二重追跡劇。アクの強い悪役やブロンドのヒロイン。手錠をめぐるサスペンス。スパイの館からの脱出劇。そしてクライマックスの自由の女神での悪党との大立ち回り。ヒッチコック的魅力のショーケースとでも言えそうです。

ストーリー面では、ヒロインの行動にいまひとつ意味不明なところがあり、同じようなテーマの『三十九夜』や『北北西に進路を取れ』とくらべると十分こなれていないような感じがしますが、なにそんなこと、一つ一つのエピソードが非常に良くできているのでストーリーの未熟さを補っても十分におつりがきます。

主役の二人がヒッチコック映画らしくてよかったなあ。プリシラ・レインは、顔立ちに親しみが湧きます。サーカスのトラックで警官の尋問をはぐらかすためにあくびをしますが、なんかわざとらしくて愛嬌があって印象的でした。

しかし、ヒッチコックご本人はまったくキャストには不満だった様子。制作者セルズニックが本作の権利をユニバーサルに売ってしまったため、監督のヒッチコックも貸し出された形になってしまい、キャスティングの面でかなり制約を受けたようです。特にユニバーサルから押し付けられたプリシラ・レインには不満だったようで、トリュフォーとの対談では「下品でおよそヒッチコック作品にはおよそ似つかわしくない女優」とバッサリ。もともと女優の評価は非常に厳しいヒッチコックですが、やっぱり自分で選んだのではない女優の場合は特に辛口になるようですね。『見知らぬ乗客』のルース・ローマンや『私は告白する』のアン・バクスターも同様に酷評されています。★★★★☆

<スタッフ&キャスト>
監督: アルフレッド・ヒッチコック
製作: フランク・ロイド/ジャック・H・スカーボール
脚本: ピーター・ヴィアテル/ジョーン・ハリソン/ドロシー・パーカー
撮影: ジョセフ・ヴァレンタイン
音楽: チャールズ・プレヴィン/フランク・スキナー 
出演: ロバート・カミングス
    プリシラ・レイン
    ノーマン・ロイド
    オットー・クルーガー
    アラン・バクスター

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逃走迷路逃走迷路
(2006/12/14)
ロバート・カミングス、プリシラ・レイン 他

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#0140『父ありき』小津安二郎 1942年日本

chichiariki.jpg
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金沢で中学教員をする周平(笠智衆)は妻をなくして息子良平と二人暮し。修学旅行のボート事故で教え子を亡くした周平は引率教員として責任を感じて辞職し、生まれ故郷の信州に戻る。そこで良平は中学生となり寄宿舎生活を送ることになるが、周平は息子の将来のために人生をやり直す決意を固め、一人東京に出て工場勤めを始める。お互いにいつかは一緒に暮らしたいと願う二人だが、良平は仙台の帝大を出て秋田で中学教員となる。成長した良平(佐野周二)が東京を訪れ、父子は温泉宿で久々に二人の時間を過ごす・・・。

今まで見た小津映画は4作品(麦秋、お茶漬の味、東京物語、彼岸花)は全部1950年代でしたが、今回はじめて40年代、戦時中の作品です。4作品に共通する”小津様式美”のような特徴とは少し趣が異なるようですが、それでも”ああ、小津映画だ”という満足感には十分浸ることが出来ます。

笠智衆が演じる父親・周平は実にすばらしい。だんだんと距離が離れていく息子に対して、実に淡々と話しかけます。妻が無くなってからずっと二人で暮らしてきた父子ですし、父の細かなしぐさから息子をどれだけ愛しているか十分読み取ることができます。その息子と離れていく時に、むやみに感情を表に出すこと無く、自分の気持ちを押さえて話す父。見事なほどに無表情ですが、無表情ゆえにかえって父の心情が痛いほど伝わってきます。

今まで見てきた作品では家族が一つ屋根の下で住んでいるためにおきる摩擦とかすれ違いとかがテーマになっていましたが、この作品には”家”がありませんね。父親と息子の2ショットは列車の中であったり、駅の食堂であったり、荒れ城の石垣の上であったりします。あるのは父と子の親子の絆だけで一緒に過ごす家はありません。東京を訪れた良平と周平が過ごすのも”家”ではなく温泉宿。再度訪れた良平がはじめて父が暮らす”家”を訪れ一週間を過ごしますが、それも息子の出征によって長くは続くことのないさだめです。

結局この二人は互いに求めながら再び家族として同じ家で一緒に暮らすことがかなわないわけですが、この映画の作られたのが戦時中の、しかもそろそろ戦局が悪化してくる1942年であることを考えると、家族が次々と引き裂かれ、家がどんどん壊れていく中で、ひたすらに家族を求める姿を反戦的に描きたかったんだろうか、などと考えてしまいます。

脇を固める役者も味わい深く、特に同僚の教師平田を演じる坂本武が良いです。無骨な風情ですがなにかこう人としてのやさしさが滲み出していますね。若き日の佐分利信も登場。あまり登場シーンは多くありませんが印象に残る演技を見せてくれます。やっぱりスピーチがうまい(笑)

この作品、DVD- BOX以外はVHSしかないのですが、VHSの画質・音質が非常に悪かったのが残念。雑音がひどくてセリフの聞き取れないところもあり、画質音質には寛容な私もさすがにちょっと閉口しました。DVDはきちんとデジタル処理されているようですね。BOX買っちゃおうかなぁ。 → その後、廉価DVD発売されました。★★★★★

<スタッフ&キャスト>
監督:小津安二郎
脚本:池田忠雄/柳井隆雄/小津安二郎
撮影:厚田雄治
美術監督:浜田辰雄
衣裳:斎藤耐三
編集:浜村義康
音楽:彩木暁一
演奏:松竹交響楽団
音響効果:斎藤六三郎
 
出演:笠智衆/佐野周二
   津田晴彦/佐分利信
   坂本武

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父ありき父ありき
(2007/08/20)
笠智衆、佐野周二 他

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#0139『疑惑の影』アルフレッド・ヒッチコック監督 1942年アメリカ

疑惑の影
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これもブログをはじめた月(2005年11月)に書いた記事です。懐かしい。。。
記事中に書ききれていませんが、冒頭(だったかな)、叔父チャーリーが尾行する刑事をまくシーンが確かあって、その映像がすごく好きなんですよね。

以下、転載文。

【ネタバレ注意】

「世の中はそんなに悪くないよ。ただ、だれでも正気を失う危険性はある」

カリフォルニア州サンタローザ。その街で家族と共に平凡に暮らす長女チャーリーは、突然やって来た叔父に秘密の匂いを嗅ぎとる。やがて二人の刑事が現れ、チャーリーは叔父に未亡人殺しの疑いがかかっている事を知る。明るい日常生活の中でチャーリーひとりが、叔父が殺人犯かどうかの疑惑にさいなまれていく……。(allcinemaより)

ヒッチコック映画の中ではかなり”地味”な部類に入るのかもしれません(昨日”海外特派員”を観たばかりなのでそう感じるのかもしれませんが)。ひとつの家族の中でほとんどの物語が進行していきます。明るい平凡なアメリカ人一家と彼らが愛するチャーリー叔父(ジョセフ・コットン)。幸せな一軒の家の中に殺人鬼が潜んでいるわけですが、そのことにより派手な事件が起きるわけでもなく、衝撃的な映像も何一つありません(ラストは別かな)。

家族の中で一番叔父を慕っている長女チャーリー(テレサ・ライト)が、叔父の犯行に気づき、疑惑が確信に変わり、確信したことで逆に叔父に追い詰められていきます。他の家族は二人の関係と心理の変化に一切気づかないわけですが、そのことが実に息苦しいようなシチュエーションを作り上げています。

叔父がチャーリーの家に来てから、割と早い段階で刑事が現れます。刑事たちはすでに叔父が犯人ではないかと目星をつけているのですが、内偵中に他州で殺人容疑者が追い詰められ飛行機のプロペラに巻き込まれて死亡したという情報が入ってきます。このことで、一度は追い詰められたかに見えた叔父は自由の身となり、真実を知るチャーリーは絶望的に危険な立場に追い込まれます。それまで、チャーリーは叔父が犯人とは知りながら、何とか逃がしたいと葛藤しているわけですが、この後は一気に身に迫る恐怖と闘うことになります。このあたりのチャーリーの心理的な変化がテレサ・ライトの名演技とあいまって非情に印象的です。

今回のヒッチコックは、様々なキーアイテムによって織り成されるシチュエーションと心理変化を見事に描いた佳作でした。私は”メリー・ウィドウ(陽気な未亡人)の曲を知らなかったため、面白さを何割分か味わえなかったのが残念でした。★★★★☆

<スタッフ&キャスト>
監督: アルフレッド・ヒッチコック
製作: ジャック・H・スカーボール
原作: ゴードン・マクドネル
脚本: ソーントン・ワイルダー/アルマ・レヴィル/サリー・ベンソン
撮影: ジョセフ・ヴァレンタイン
音楽: ディミトリ・ティオムキン/チャールズ・プレヴィン
 
出演: テレサ・ライト/ジョセフ・コットン
    マクドナルド・ケリー/パトリシア・コリンジ
    ヘンリー・トラヴァース/ウォーレス・フォード
    ヒューム・クローニン

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疑惑の影疑惑の影
(2006/12/14)
パトリシア・コリンジ、ヘンリー・トラヴァース 他

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#0138『サンライズ』F・W・ムルナウ監督 1927年アメリカ

サンライズ
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ドイツの名監督F・W・ムルナウがウィリアム・フォックスに招かれてハリウッドで撮った作品。ストーリーは、田舎に避暑にやってきた都会の洗練された女にのぼせ上がってしまった朴訥な農夫が女にそそのかされて妻を殺そうとするが、紆余曲折の果てに妻との愛を再確認し幸せを取り戻す、というもの。

一応不倫の果ての妻殺しというモチーフがありますが、ミステリー・サスペンス風の映画ではなく、夫婦が信頼を取り戻す過程が中心のロマンスストーリーになっています。

この映画の冒頭のナレーション字幕にいわく、

日が昇り、また沈む場所であるなら、時を問わず、場所を決める必要もない。農夫と彼の妻が繰り広げる、ごくありふれた日常の調べ。。。

ということで、誰か特定の個人ではなく、夫婦の普遍的な愛の物語という体裁で語られるため、登場人物一切に名前もありません。

特筆すべきは映像面で、サイレント映画の中でもトップクラスの映像技巧派作品といって良いと思います。画面構成、カメラワークなどに当時として斬新な試みが多く盛り込まれており、ブルーバックの合成画面による特殊撮影なども見られます。素晴らしいのは、それが人間の葛藤や心模様の変化などの内面心理を劇的に表現している点で、いかにもサイレントらしいインスピレーションにあふれた映像が次々に目に飛び込んできます。第一回アカデミー賞でも、撮影賞と芸術的憂愁作品賞を受賞しました。

私が気に入ったシーンをいくつか上げてみると、、、

夜中に都会の女が待つ水辺に向けて農夫が急ぐシーン。曲がりくねった野原の小道を急ぐ農夫を追いかけて、カメラは右に左にそして奥へと滑るように移動します。もともと縦方向(スクリーン手前から奥行き方向)の構図が素晴しい作品ですが、ここの縦横にスムーズに移動するカメラワークと、藪を抜けた先に月明かりに佇む都会の女のショットまで続くワンカットのシーンは、非常に洗練されたシーンであると思います。

また、農夫が妻を船旅に連れ出し、湖上でことに及ぼうとするシーンは、絶品のサイレントサスペンスシーン。まるで表現主義的モンスターのように背を丸め、目を伏せてオールをこぎ続ける農夫。なにか不穏なものを感じ取っている妻は、彼の顔を覗き込み微笑みかけようとするが、農夫はかたくなに顔を上げない。徐々に固くなる妻の表情。心配そうにあたりを見回すと、水面で遊んでいた水鳥がパッと飛び立ち、いつの間にか岸ははるか遠くになっている。

ついに、ゆっくりと農夫の手は止まり、顔を伏せたまま目だけが妻のほうを仰ぎ見る。。。ゆらりと立ち上がり妻に迫る農夫、のけぞり思わず手を合わせる妻、あわやという瞬間に湖上に響く教会の鐘の音。。。やはり、妻を殺すことはできず正気に帰った彼は、対岸に向かってがむしゃらにボートをこぎます。勢い良く水を切るへさきの映像からは、彼の心の後悔、自分への怒り、妻への申し訳なさが入り混じったやり場のない思いがあふれ出してきます。

緊張、不安、心配、安堵、哀れみ。。。台詞もない映像がどれほどの感情を呼び起こすことができるか、まさにそれが映画の素晴しさでもあるのですが、そういうことを改めて、徹底的に、再確認することができました。



他にも、街の床屋で理髪師と爪とぎ女と農夫と妻のクローズアップをつないで感情の推移を見せるちょっとコミカルなシーンも面白いし、特撮では妻殺しに思い悩む農夫に二重露出の都会の女がしなだれかかり、ついに農夫が決心に至るシーンもすばらしい。そういえば、都会の女が農夫をそそのかすときの台詞が崩れていくやつも・・・・・。

数え上げるときりがない。映像表現技巧の見本市のような作品でした。

夫婦がお互いの愛を再確認する都会の(二人の仲を裂いたのも都会が原因だが、二人が仲直りするのも都会が舞台。このあたりも粋)シーンから、ラストの湖上の嵐のシーンへの落差も観客の心をしっかりとつかみ、ストーリー的なメリハリも抜群。今までに見たサイレント映画の中でも1,2を争う面白さでありました。第一回アカデミー賞主演女優賞(別の作品ですけど)のジャネット・ゲイナーも可憐。★★★★★

<スタッフ&キャスト>
監督:F・W・ムルナウ
原作:ヘルマン・ズーデルマン
脚本:カール・マイヤー
撮影:チャールズ・ロッシャー/カール・ストラス

出演:ジャネット・ゲイナー
    ジョージ・オブライエン
    マーガレット・リヴィングストン
    ボディル・ロージング
    J・ファレル・マクドナルド
    ジェーン・ウィントン

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サンライズ クリティカル・エディションサンライズ クリティカル・エディション
(2005/03/26)
ジャネット・ゲイナー、ジョージ・オブライエン 他

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テーマ : ■■□ サイレント映画 □■■
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#0137『ブロウ』テッド・デミ監督 2001年アメリカ

ブロウ
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今、ブログで”全米興行収入のちょっと下のランクから掘り出し物の作品を発見する”というチャレンジを再開しましたが、やってみようと思うようになったきっかけが本作品でした。

井筒監督が”こちトラ自腹じゃ!”の中で唯一5つ星をつけていたことに興味を惹かれて鑑賞。2001年の興行ランキングで一瞬6位あたりにつけていたようですが、全く気がつきませんでした。そのときの1位は『千と千尋の神隠し』、2位『ジュラシックパーク3』3位『PLANET OF APES/猿の惑星』。三作とも観ましたが、2位3位あたりよりは、こちらの方が圧倒的に面白かった。『千と千尋~』は名作だと思いますがそれと比べても遜色はないと思います。こういう作品に気がつかないまま通り過ぎていたのは誠にもったいないことだと痛感ですね。

さて、この作品、1960年代-70年代に米国のコカインマーケットを作り上げた伝説の麻薬ディーラー、”ボストン”・ジョージ・ユングの半生を描いた物語。本人は2015年まで刑務所に服役中だそうな。DVDの特典映像に本人も登場します。

ジョージ・ユングは貧しい家を嫌ってカリフォルニアに移り、マリファナの売人からはじまってあっという間にアメリカの麻薬ビジネスを席捲します。マーケット側では俳優やミュージシャンなどの進歩的な有名人をまず顧客にし、調達の側ではコロンビアの麻薬王と手を結び莫大な量のコカインを確保する。抜群のビジネスセンスだったことが伺えます。70年代ファッションと軽めのノリで次々にビジネスを成功させていくユングを演じるジョニー・デップがとにかくうまい。

ユングは人間的魅力もある人物として描かれています。度胸があり、家族を愛し、仲間を裏切らない。筋は通す。こういう性格は父親譲りらしく、目力が印象的なレイ・リオッタ演ずる父は、ユングが麻薬ビジネスに手を染めていることを知っても一言も責めずにただ「大丈夫か?」と息子の身を案ずるのみ。父が会社経営に失敗して貧乏に転落したことがユングを悪の道に走らせることになったのですが、父は何があっても人を信じるという尊い性格も息子に残していたのでした。

本来は優しい愛情豊かな男が境遇ゆえに悪の道に走り、不運なことにその道で才能を発揮してしまいました。この上ない不幸だなぁ。家中に置き場のないくらい続々と流れ込んでいた金が無くなってしまったとき、彼は本来金など関係なく愛すべきだった人たちまで失ってしまった。刑務所を仮出所して、別れた妻と一緒に暮らす娘にどうしても会いたくて、彼女の登下校を待ち伏せる。その時の格好は安っぽい下品なジャージにペラペラのジャンパー、足元は薄いサンダル。

ジョニー・デップは人生の蹉跌をいやというほど味わったジョージ・ユングという男にほれ込んだらしく、徹底的に研究して実に魅力的に演じました。デップファンの方に言わせれば”なにを今さら”なのでしょうがそのうまさに驚きました。特典に登場するユング本人も、、自分の役を全身全霊で演じてくれたデップを大いに気に入っている様子でした。『パイレーツ~』などの娯楽作品も楽しいが、こういう作品のジョニー・デップを知ることが出来て良かったと思います。★★★★★

<スタッフ&キャスト>
監督:テッド・デミ
製作:テッド・デミ/デニス・リアリー/ジョエル・スティラーマン
製作総指揮:マイケル・デ・ルカ/ジョージア・カカンデス
原作:ブルース・ポーター
脚本:デヴィッド・マッケンナ/ニック・カサヴェテス
撮影:エレン・クラス
音楽:グレーム・レヴェル
出演:ジョニー・デップ/ペネロペ・クルス
    ジョルディ・モリャ/フランカ・ポテンテ
    レイチェル・グリフィス/レイ・リオッタ
    イーサン・サプリー/ポール・ルーベンス
    マックス・パーリック/クリフ・カーティス
    ミゲル・サンドヴァル/ケヴィン・ゲイジ
    ジェシー・ジェームズ/ミゲル・ペレツ
    ダン・ファーロ/トニー・アメンドーラ
    ボブ・ゴールドスウェイト/マイケル・トゥッチ
    モネット・メイザー/エマ・ロバーツ
    ジェームズ・キング/チャールズ・ノーランド
    ローラ・グラウディーニ/ゴンザロ・メネンデス

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テーマ : ★おすすめ映画★
ジャンル : 映画

#0136『ゾンビ 米国劇場公開版』ジョージ・A・ロメロ監督 1978年アメリカ

お越しいただきありがとうございます。

この記事は、こちらに引っ越しました。

今後とも、

”シネマぞろ★”

を、よろしくお願いします。

テーマ : ホラー
ジャンル : 映画

#0135『美女ありき』アレクサンダー・コルダ監督 1941年イギリス

美女ありき

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2006年1月の記事です。たしかに、ヴィヴィアン・リーの大ファンには違いないのですが、それにしてもこの記事は彼女のことしか書いてありませんでした・笑。機会があれば再見して映画の記事書きます。


以下、転載文。


メロドラマの傑作中の傑作『哀愁』の翌年1941年に製作された本作は、イギリスの英雄ネルソン提督とエマ・ハミルトン夫人の恋愛に関する実話を映画化したものです。『哀愁』におとらずすばらしい悲恋の物語でした。

ネルソン提督にローレンス・オリヴィエ、エマにヴィヴィアン・リーが扮していますが、実生活でも二人は前年の1940年に結婚しています。二人とも家庭がある身の不倫関係で、’37年の『無敵艦隊』での共演がきっかけとなって交際がはじまり、『嵐が丘』撮影のためハリウッドに渡ったローレンス・オリヴィエを追いかけてヴィヴィアンも渡米。映画における役柄と同様に激しい恋の末の結婚だったようです。

1939年の『風と共に去りぬ』、40年の『哀愁』、41年の『美女ありき』とこの三年間は彼女にとって最高の年だったのでしょう。その美しさは輝くばかりで、演技も年々成熟していきます。

トラファルガーの海戦でネルソンが戦死したことを伝令仕官から知らされるヴィヴァン・リーの表情が特に印象的でした。一言も発せず、眉一つ動かさず。半ばうつろになった表情でじっと報せを聞き、夢遊病者のようにカーテンを閉め、その場にばったりと倒れる。

あまりの悲しみに魂が抜けたような表情を見せるときの彼女の演技は他の誰にも真似ができませんが、その中でもすばらしい場面だったと思います。

その後、ヴィヴィアン・リーの人生は過労による流産、結核、躁うつ病、裁判、そして最後オリヴィエとの離婚、孤独な死、と暗い色彩を帯びていきます。前にレビューした『アンナ・カレニナ』が撮られた1948年は結核と躁うつ病をオリヴィエと二人で乗り越えてきた時期にあたり、悲劇のヒロインを演ずる卓越した演技力は健在ながら、やはり容貌からは華やかさが消えて暗い翳りが見えます。無理もないかもしれませんが、やはりファンとしては悲しい気持ちになりますね。

ということで、ヴィヴィアンファンとしてはやっぱり次はこれを観ないといけませんかね。6年位前に見たときに、ヴィヴィアンのあまりの姿にショックだったので、しばらく見るつもりはなかったのですが。『欲望という名の電車』。ヴィヴィアン・リーの悲しい人生の最終章に撮られた作品ですね。この作品で二度目のアカデミー賞を獲得しています。

その後2本出演作があるものの、一本は落ちぶれたかつての人気女優の役、もう一本はついに助演の立場になっているようで、ちょっとつらくて見れないと思います。

ということで、美しさにあふれた幸せ絶頂の時の彼女を観た直後にもってくるのは非常に厳しいのですが、次回は『欲望という名の電車』。マーロン・ブランドのいやな奴ぶりも見ものです。★★★★☆

<スタッフ&キャスト>
監督:アレクサンダー・コルダ
製作:アレクサンダー・コルダ
脚本:ウォルター・ライシュ/R・C・シェリフ
撮影:ルドルフ・マテ
音楽:ミクロス・ローザ
 
出演:ローレンス・オリヴィエ/ヴィヴィアン・リー
   アラン・モーブレイサラ・オールグッド
   グラディス・クーパーヘンリー・ウィルコクソン
   ヘザー・エンジェルハリウェル・ホッブス
   ギルバート・エメリーマイルズ・マンダー
   ロナルド・シンクレアルイス・アルバーニ

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テーマ : クラシック映画
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#0134『群衆』フランク・キャプラ監督 1941年アメリカ

群衆
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合理化を進める新聞社からクビを言い渡されたアン(バーバラ・スタンウィック)は、最後の担当コラムに一発逆転を賭け、命懸けで政府に抗議する架空の男”JOHN DOE”をでっち上げる。クリスマスの夜に市庁舎屋上から飛び降り自殺すると宣言するJOHN DOEに対し、読者の反響が殺到、編集長コネルはアンの解雇を撤回して記事の続行を決定。元野球選手のホームレス、ウィロビー(ゲイリー・クーパー)を雇ってJOHN DOEに仕立て上げる。わずか50ドルの現金に目がくらんで、でっち上げに協力したウィロビーだが、彼の記事が掲載されるごとに新聞の売上げは大幅に伸び、JOHN DOEは大衆のヒーローとなっていく。隣人への愛を訴えかけたラジオスピーチがきっかけとなり、JOHN DOEを中心とした市民運動が全米に広がり、ウィロビーもヒーローとして振舞い始めるのだが。。。。

フランク・キャプラらしいコメディチックな演出が随所に見られ(ゲイリー・クーパーとウォルター・ブレナンの野球ごっこは必見)るだけに、後半のシリアスな展開が引き立ちますね。クライマックスの全米集会で、ウィロビーが権力に破れて退場していくシーンは、偽者の仮面がバリバリとはがれていく音まで聞こえるような迫真の名場面。一度動き出したらとまらない大衆の力とそれを操る権力者の憎憎しさ、なすすべもなく破れぼろぼろになっていく主人公の哀れさ。異様な迫力でした。偽者の予期せぬ大活躍とそれに起因する矛盾を丁寧に積み上げて、絶頂に至ったこの場面でこれでもかというほど見事に破壊する。この崩壊の切れ味にフランク・キャプラの手腕をくっきりと観てとることが出来ます。

1930年前後のゲイリー・クーパーの美貌(といっていいと思いますが)とプレイボーイぶりは確かにすばらしいのですが、個人的にはどうも中年クーパーに惹かれるようです。この作品のときゲイリー・クーパーは40歳ですが、『真昼の決闘』で見せた例の憂いを帯びたよう目つきがすでに見られます。40代後半時の浮気や出演作の不振、病気などで人生の苦難を味わった結果身についた憂愁の表情かと思っていたのですが一概にそれだけではなかったようです。

権力者に負けない大衆の力、利用するものと利用されるものの駆け引きの末に気づく本当の愛など明確なメッセージが伝わってくる作品ですが、個人的にはゲイリー・クーパー扮する JOHN DOEが戦い敗れてから最後に再び希望の光を見つけるまでのくだり、ここにこそこの映画のすばらしさが凝縮されていると思いました。絶望の底で希望の光を見つけ、ついに一人の人間が偽者から本物へと変わっていく時に、彼の見せる憂愁の表情は実に印象的で、ゲイリー・クーパーという役者を強烈に記憶に焼き付けてくれました。
★★★★★

<スタッフ&キャスト>
監督:フランク・キャプラ
製作:フランク・キャプラ
原作:リチャード・コネル/ロバート・プレスネル
脚本:ロバート・リスキン
撮影:ジョージ・バーンズ
音楽:ディミトリ・ティオムキン
音楽監督:レオ・F・フォーブステイン
 
出演:ゲイリー・クーパー/バーバラ・スタンウィック
    ウォルター・ブレナン/エドワード・アーノルド
    スプリング・バイイントン/ジェームズ・グリーソン
    ジーン・ロックハート

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群衆群衆
(2006/12/14)
ゲイリー・クーパー、バーバラ・スタンウィック 他

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#0133『4番目の男』ポール・ヴァーホーヴェン監督 1979年オランダ

DE VIERDE MAN
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2006年10月に書いた記事です。以下転載文。

講演会で、美人の美容室経営者クリスティーン(レネ・ソーテンダイク)と出会った小説家ジェラルド(ジェローン・クラッペ)は、誘われるままに彼女の家に泊まる。現在、彼女にはハーマンと言う恋人がいるのだが、実は過去に3度結婚して3度とも事故で夫を亡くしていた。果たして3人の夫たちは殺されたのか。だとすると4番目の男はどっち・・・。

ポール・ヴァーホーヴェン監督のオランダ時代の傑作スリラー。作品のテイストが『氷の微笑』にそっくりですね。『氷の微笑』はこの作品のセルフリメイクであろうと思われます。

クリスティーンとジェラルドのベッドシーンでは、情熱的なセックスの影に刃物の存在。『氷の微笑』でゾクゾクとスリリングだった、表のストーリーのすぐ裏側に死と惨劇の予感を潜ませる演出を、この作品ですでに見ることができます。

最後まで観客に確たる理解を与えないところも『氷の微笑』と同様。ホモセクシャルでアル中のジェラルドは、冒頭から何度も繰り返して死のイメージを見ています。ホモの同居人を絞め殺し、投宿先のホテルのドアは血まみれで、駅では葬儀屋が出迎える幻覚。

また、彼はハーマンにも肉体的欲望を抱いており(教会のキリスト磔刑像が裸のハーマンに見えて、彼のパンツをずり下ろしたりする・・)、物語すべてがジェラルドの欲望と幻覚の産物なのではないかという推測も十分成り立つのです。

複数の解釈が可能なシナリオと、ストーリーの皮一枚下にずっと付きまとう死の恐怖をイメージさせる映像。バランスが絶妙ですが、映画全体の緻密さ・完成度では『氷の微笑』の方がやはり一枚上手に思えます。それでも佳作であることは間違いなし。

ちなみに、撮影は『スピード』のヤン・デ・ボン。オランダ時代のヴァーホーヴェン作品はほとんどヤン・デ・ボンが撮影していました。★★★☆☆

<スタッフ&キャスト>
監督:ポール・ヴァーホーヴェン
製作:ロブ・ホウワー
原作:ジェラルド・リーヴ
脚本:ジェラルド・ソエトマン
撮影:ヤン・デ・ボン
音楽:ローク・ディッカー

出演:ジェローン・クラッベ/レネ・ソーテンダイク
    トム・ホフマン/ドルフ・デ・ヴリーズ
    ジールト・デ・ジョング/ハンス・ヴィールマン

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4番目の男4番目の男
(1999/03/25)
ジェローン・クラッペ

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#0132ミューチュアル時代のチャップリン短編映画-2(1917年)

チャップリンの勇敢
『チャップリンの勇敢』


ミューチュアル時代1917年の短編作品をお届けします。破格のサラリーで契約し、月に一本のペースで製作を続けてきたチャップリン。「ミューチュアル社で働いていた頃が、今にして思うと一番幸福だったかもしれない」と語っていますが、一方で彼の作品に対する完璧主義はますます顕著になり、アイデアを得るために一日考え続けることなどもざら。週1万ドルのサラリーの上に、製作費をすべて負担していたミューチュアル社社長は心配でしょっちゅう撮影所を訪れ、これがチャップリンの頭痛の種だったようです。

『チャップリンの勇敢』EASY STREET 1917年1月22日 チャールズ・チャップリン監督 
チャップリンの勇敢貧乏な境遇から一念発起して警官になったチャーリー。あの”キーストン・コップス”の頃から、おまわりさんには追い掛け回されるのが専門だったチャーリーが、今作品では珍しく警官役。赴任早々町を牛耳る乱暴者エリック(エリック・キャンベル)との対決となったチャーリーは、街灯のガスを吸わせて首尾よくエリックを逮捕し、一躍町の英雄に。教会の娘エドナ(エドナ・パーヴィアンス)とも仲良くなります。しかし、そこにエリックが戻ってきて大乱闘に。エドナの身にも危険が迫りますが、チャーリーの大活躍で再びエリックをノックアウト。町には平和が戻り、チャーリーとエドナはハッピーエンド。
市民社会に適応できないことを笑いとしてきたチャップリンが警官役になり、しかも町の平和を取り戻すヒーロー役。最後は街の人々に慕われ、エドナとも相思相愛という、およそチャップリン映画らしくない作品でした。相変わらず極悪ヅラのエリック・キャンベルに街灯のガスを吸わせてやっつけるところが最高。そういえば、チャップリンは本人も共演者も撮影中に怪我をしたことがないことが自慢だったそうですが、唯一このガス灯がチャップリンの顔にあたり、数針縫う怪我をしたのだそうです。

『チャップリンの霊泉』THE CURE 1917年4月16日 チャールズ・チャップリン監督
チャップリンの霊泉飲んで効く霊泉が売り物の湯治場にアル中の治療に現れたチャーリー。いつもの姿ではなく、白っぽいジャケットにカンカン帽で少しスマート。アルコール禁止の湯治場にトランクいっぱいの酒を持ち込んだチャーリー。それを盗み飲んでベロベロになったボーイが、残った酒を霊泉に投げ込んだため、湯治場中が酔っ払いの大混乱に陥ります。
酔っ払い芸のドタバタ劇。チャップリンをはじめかなりの人数が登場しますが、エドナ、エリックは言うに及ばずすべての脇役が名演技を繰り広げ、個人がというより”場”全体が大いに面白い。その中で繰り広げられるチャップリンの芸にも磨きがかかり、マッサージ師(ヘンリー・バーグマン)との格闘、回転ドアなどの”物がらみ”から微妙な顔芸まで見事の一言に尽きます。ついに笑いの空間全てを掌握したという感じですね。

『チャップリンの移民』THE IMMIGRANT 1917年6月17日 チャールズ・チャップリン監督
チャップリンの移民さて、有名な『チャップリンの移民』。淀川長治氏がこの作品で始めてチャップリンを面白いと思ったという作品です。アメリカに渡る移民船はすし詰め状態。老いた母と二人で乗船していた娘(エドナ・パーヴィアンス)は、虎の子のお金を盗まれて悲嘆にくれているところをチャーリーに助けられる。ニューヨークのカフェで再会しラブラブで食事をする二人だが、一文無しのチャーリーは食事代が払えず四苦八苦。偶然金持ちの画家に気に入られて窮地を脱し、モデル代の前払い金も得てエドナと結婚することになる。
涙に暮れるエドナのポケットに、そっとお金を入れてあげるチャーリー。でも、やっぱり思い直して自分のために札1枚残してまた彼女のポケットに。。。人情味あふれるチャーリーの人物像が完成に近づいたと言われる作品。参考文献(「チャップリンのために」大野裕之他著)によると、2巻143ショットのこの作品のために、54巻1264ショット分の撮影が行われたそうです。配役を変えたりセットを変えたり、撮影をしながらより完璧なイメージを追及していくチャップリンの完璧主義が冴える作品。

『チャップリンの冒険』THE ADVENTURER 1917年10月22日 チャールズ・チャップリン監督
チャップリンの冒険開巻するといきなり、チャーリーは警官隊に追われています。一見して脱獄囚とわかるシマシマ服で逃げ回るチャーリーですが、海へ逃げ込んだところで、溺れる母娘(エドナ・パーヴィアンス)と連れの男(エリック・キャンベル)を発見。三人を救ったことで、エドナの住む邸宅で世話になることに。しかし、彼女をチャーリーに奪われて嫉妬に狂うエリックが、チャーリーのことを脱獄囚だと気づき通報したことで、警官隊がやってくる。。
ミューチュアル社最後の作品は、まるでキーストンコメディのような警官隊との追っかけシーンが目を引きます。実はチャップリン、マック・セネットの下で働いていた頃から「追っかけは役者の個性をつぶす」といって嫌っていたらしいんですね。それが原因でキーストンの監督たちともかなりもめたそうで、ミューチュアルの頃になると、追っかけを見かける機会も少なくなります。心境の変化か新境地か。。少し中途半端なエンディングも含めて、疑問符がつく作品(と思ったら、NHKで放送されたこのバージョン(フランス語字幕のもの)はエンディング直前で中断されてしまっているようです。ちゃんとFINマークは出ているのですが・・・。実生活でチャップリンの秘書を勤めた日本人高野虎一さんが運転手役で出演しています(高野氏の出演はこの作品のみ)。

(参考文献:「チャップリンのために」 大野裕之編集 とっても便利出版部発行)
(参考文献:「チャップリン自伝-栄光の日々- チャールズ・チャップリン著 新潮文庫)

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#0131『レポマン』アレックス・コックス監督 1984年アメリカ

レポマン
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最近、1920年~30年くらいの映画ばかりになってきたので、ちょっと新しい映画をアップしておきます。といっても80年代ですが。アレックス・コックス監督は、かなりお気に入りの監督なんですが、今だに彼の作品は良くわかりません。。。。じゃ、なんで好きなんだと聞かないでください。わけのわからないところが良いのです。以下参照。

REPOSSESS MANとは、悪質なローン滞納者から車を取り返すプロ。大義名分あれど車泥棒である。主人公のパンク少年(エミリオ・エステベス)は金欲しさにレポマンになるのだが、アレックス・コックス監督はレポマンの世界を描こうなどとはさらさら考えていないらしい。

レポマンの世界云々どころか、そもそも、この映画の展開はすごく変だ。レポマンたちが懸賞金目当てで追いかけるシボレー・マリブのトランクには宇宙人の死体が4人分入っている。

・・・・宇宙人・・なんで、宇宙人? 

マリブを運転しているのはいかれた科学者。ふらふら車で逃げている。宇宙人の死体は放射能かなんか出しているらしく、直接見た人間は骨も肉も残さず死んでしまう(足首だけが残る)し、死体が腐ってくると被害はひどくなるらしい。何が起きているんだ?これからどうなるんだ?・・・・って、結局何の説明もないし、大惨事も起きやしない。

その後、主人公とレポマン仲間とか、United Fruits Outlet(UFO!)って間抜けな名前の政府組織に属する女子高生風エージェントとか、鉄の義手をはめた女科学者だとか、パンク強盗3人組とか、ヘアネットかぶったメキシコ人レポマンコンビとか、わけのわからない輩が入り乱れるが、どいつもこいつも決定的なことはなにもしない。

いったい、このアレックス・コックスは何が描きたいんだかさっぱりわからんと思っていると、画面を例のマリブがふらふら横切っていく。

ふら~ふら~っと蛇行しながら逃げる車とそれを追いかけるウゾウムゾウ。

そういえばコメディで、舞台の袖から袖にフラフラ逃げる男を「待て~!」とか言いながらドタバタ追いかける集団ってやつがあるけど、ひょっとしてそれがやりたかっただけなんじゃないか、アレックス・コックス?

それだけのために、レポマンに、マッドサイエンティストに、パンク強盗にあれにこれに、挙句の果てに宇宙人の死体まで用意したとしたら、これはある意味傑作な映画だ。(そうじゃないかもしれないけど)

無理無理解釈しようとすること自体が無駄な行為かも。ハリー・ディーン・スタントンはもう最高!★★★☆☆

<スタッフ&キャスト>
監督:アレックス・コックス
製作:ピーター・マッカーシー/ジョナサン・ワックス
製作総指揮:マイケル・ネスミス
脚本:アレックス・コックス
撮影:ロビー・ミューラー
音楽:ティト・ラリヴァ/スティーヴン・ハフステッター/イギー・ポップ
出演:エミリオ・エステヴェス/ハリー・ディーン・スタントン
    ヴォネッタ・マギー/オリヴィア・バラシュ
    サイ・リチャードソン/トレイシー・ウォルター
    スーザン・バーンズ/フォックス・ハリス
    ビフ・イェーガー

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#0130『マルタの鷹』ジョン・ヒューストン監督 1941年アメリカ

マルタの鷹
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アーチャーとサム・スペード(ハンフリー・ボガート)の探偵事務所の元に、ブリジット・オショーネシー(メアリー・アスター)と名乗る美女が訪れ、サーズビーという男から妹を取り返してほしいと依頼する。アーチャーがサーズビーに接触するが射殺されてしまい、犯人と思われるサーズビー自身もその直後に殺されてしまいます。実はブリジットの依頼は嘘で、彼女は「マルタの鷹」と呼ばれるスペイン国王の秘宝争奪に関わっています。同じくマルタの鷹を狙うカイロ(ピーター・ローレ)と名乗る男もスペードのもとに現れ、破格の報酬で鷹探しをスペードに依頼。スペードはいやおうなくマルタの鷹争奪戦に巻き込まれていきます。

1941年のジョン・ヒューストン初監督作品。原作はハードボイルドの巨匠ダシール・ハメット。原作が映画化されるのは実はこの作品で三回目で、過去二回はいずれも興行的に芳しくなかったようです。1930年代の善悪感や映画的なヒーロー/ヒロインのあり方と、原作の内容に乖離があり、中途半端な映像化となったことが失敗の原因となりました。本作では原作に忠実な映画化に徹したことにより、“フィルム・ノワール”というひとつのジャンルを確立するほどのヒット作となりました。

この作品、マルタの鷹を巡る駆け引きも面白いのですが、特にラストシーンがすごく良くて、それについてはネタバレせざるを得ないので追記に書きます。ので、こちらでは俳優さんのことをちょっと。

この作品で特に印象に残る俳優さんが二人。(ボギーは言うまでもないので書きません)

一人目は、マルタの鷹を狙う怪しさ満点のカイロ。演ずるのはピーター・ローレ。ピーター・ローレは、『カサブランカ』で主人公リックの店で逮捕されるチンピラ偽造旅券屋役で印象に残っていました。顔立ちが独特なのですがハンガリー出身の俳優さんですね。1931年のフリッツ・ラング監督作品”M”で、なぜか気弱なロリコンにという設定にされた”デュッセルドルフの怪物”を演じて評判となりました。1964年に60歳でなくなるまでに約40本の映画に出演した名脇役。ヒッチコック作品にも出演しており、『暗殺者の家』の撮影中に、こめかみに大きな傷跡のメイク(魚の皮でつくっていたらしい)をつけたまま結婚式を挙げた話は有名です。

二人目はカイロのボス、ガットマンを演じるシドニー・グリーンストリート。
作品中、おもむろに「あのデブ」といわれるほどの立派な体躯。元々は舞台俳優でジョン・ヒューストン監督が惚れこんで出演を依頼したという逸話があります。この映画がデビュー作ですが、とてもはじめてとは思えない落ち着きのある演技が記憶に残ります。特に、ラストで一度くじけたかと見せかけてすばやく立ち直って去っていくあたりがなぜか好きなんですよ。翌年には、やはり『カサブランカ』で主人公リックの商売敵であるカフェ”ブルー・パロット”のオーナーを好演しています。

翌年の『カサブランカ』でも三人そろって(似たような役柄で)出演しているところをみると、当時かなり人気があったのだろうなと思います。★★★★★



以下は完全ネタバレですので、くれぐれもご注意ください(真犯人までもろバレ・・・)。



「相棒が殺されたら、犯人は絶対に逃がさない。それが探偵ってものさ」

さて、アーチャーが殺された後、スペードは事務所の看板からあっさり相棒の名前を消してしまい、アーチャーの机もそそくさと片付けさせてしまいます。そればかりか、実はアーチャーの女房とは不倫の仲。なのに、アーチャーの死後訪れてくる奥さんには全く冷たく、おまけに秘書とも怪しげ?金に汚く、暴力的で、依頼人ブリジットともできてしまうという無軌道ぶり。マルタの鷹を狙う敵ともかけひき、挑発、暴力と目的のためには手段を選ばない非情ぶりを発揮します。こういうところは、実にフィルム・ノワール的(この作品が元なので当たり前ですが)で、それまでの”善は善、悪は悪”の勧善懲悪的ヒーロー観とは一線を画すダークなヒーローぶりが見事です。

で、記事冒頭のセリフは、最後に明らかになったアーチャー殺しの犯人に対してスペードが言うせりふ。ラストシーンでヒロインを追い詰めて警察に引き渡すなどということは、当時の映画的常識からは考えられないことであったようです。

このシーン、スペードの表情は苦渋に満ちてますね。「俺は君が好きなのかもしれない。君が警察に捕まったらさぞ夢見が悪いだろう」とまで言っています。スペードは本当にブリジットを愛してしまっていたんでしょう。当然相手の気持ちも知っています。それでも最後の最後で、相棒の敵を討つ。恋愛よりも友情と復讐を選んだということになります。非情なダークさを見せながらも、心の芯の部分では死んだ相棒を思う一本気さというか、そういうものがこのヒーローの最大の魅力なのだとおもいます。そのあたりのキャラクターがきっちりと際立ったヒューストンの演出はまさに見事の一言に尽きると思いました。

<スタッフ&キャスト>
監督:ジョン・ヒューストン
製作:ハル・B・ウォリス/ヘンリー・ブランク
原作:ダシール・ハメット
脚本:ジョン・ヒューストン
撮影:アーサー・エディソン
音楽:アドルフ・ドイッチ

出演:ハンフリー・ボガート/メアリー・アスター
ピーター・ローレ/シドニー・グリーンストリート
ウォード・ボンド/グラディス・ジョージ
エリシャ・クック・Jr/バートン・マクレーン
ジェローム・コーワン/ウォルター・ヒューストン

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マルタの鷹マルタの鷹
(2006/12/14)
ピーター・ローレ、ハンフリー・ボガード 他

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#0129『聖山』アーノルド・ファンク監督 1926年ドイツ

聖山
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レニ・リーフェンシュタールの映画女優としてのデビュー作『聖山』。1926年のサイレント映画。

少し、複雑な心境。

その前に簡単にストーリーをご紹介しておきましょう。

切り立った断崖の海辺の町に育ったディオーティマ(レニ・リーフェンシュタール)は、一流のダンサーとなる。共に山を愛するカール(ルイズ・トレンカー)とヴィゴ(エルンスト・ペーターセン)の二人は、それぞれディオーティマと親しくなるが、ディオーティマの心はカールにある。結婚の約束ののち、カールは登山に出かけるが、その間にディオーティマはスキー競技会で優勝したヴィゴと親しく接する。ディオーティマの中では彼はまだ子供であり恋愛の対象外であったが、二人が親しくしている場面を偶然帰ってきたカールが目撃してしまう。相手の男が親友とは知らぬまま、傷心のカールはヴィゴを伴って冬山に向かう。絶壁でのビバーク中に、カールはディオーティマが親しくしていた相手がヴィゴであることを知る。怒りの形相でにじり寄るカールを恐れたヴィゴは、足を踏み外して転落。その命綱を握るカールは行いを悔い、宙吊りになったヴィゴを引き上げようとするが、一人の力ではどうしようもない。二人の身を案じるディオーティマは豪雪の中を命がけで山小屋に向かう。ようやく山小屋にたどり着いたディオーティマの願いにより、救援隊が二人の捜索を始めるのだが。。。

と言うことで、アーノルド・ファンク監督お得意の山岳ドラマ。しかし、全くもって面白くない。ドラマとして見ると星二つ必至の作品ですが、冷静に見直してみると、アーノルド・ファンク監督がこの映画で撮りたいものは3つだけらしいと言うことがわかってきました。

その3つとは。

1.レニ・リーフェンシュタール、その人。
2.山。しかも絶壁。
3.一流スポーツ選手によるスキー競技会の模様。

つまりはストーリーなどはどうでも良いらしいのです。一応、ディオーティマと二人の男の恋愛劇という筋立てになっていますが、三人の馴れ初めすら省いてしまっているくらいで、まったく持って潔い。

したがって、開巻からリーフェンシュタールの踊ること踊ること(↓のYouTube動画参照)。まるで、ダンサー/レニ・リーフェンシュタールのプロモーションビデオのよう。彼女は、映画女優になる前にダンサーとして身を立てた人ですから、冒頭のダンスは鍛えられたプロの技なのですが、いかんせん、彼女が何者かも良くわからないうちにいきなり踊りだすので、彼女がなぜ踊っているのかもわからず、観ている方は置いていかれ気味。

上記2.の山岳映像は際立っています。切り立った絶壁の上に立つ役者の映像を見るだけで息が止まりそう。DVDプレイヤーの小さな画面で観ても身がすくむ。映画館の大スクリーンなら、この映像だけでも『聖山』は記憶に残る作品になるでしょう。ちなみに、うちのライブラリには、同監督の『モンブランの嵐』もありますが、そちらではさらにすごい絶壁映像を見ることができます。

ただ、それでも、この映画は秀作には届かないでしょう。当時、かなりのヒットを記録したという記事もあるのですが、少なくとも今現在の目から見ると、同時期の優れたサイレント映画からは見劣りしてしまいます。したがって、”作品としては”やっぱり★★☆☆☆。

では、なぜ心境複雑なのかというと、レニ・リーフェンシュタールという人の波乱万丈の人生を知ってしまったから。。出演俳優がどんな人生を送ろうが、それは映画自体の出来とは無関係のはずですが(演技ににじみ出ていると言う見方もできるかもしれませんが)、彼女の強烈な生命エネルギーに満ちた人生に触れてしまうと、この『聖山』についても、ドラマとしてだめだとか、ダンスになじめないとか言ってることが小ざかしく感じられてくるのですよ。もっとも、この作品は彼女が監督したわけじゃありませんが。

彼女の人生については、リンクした、ブロ友豆酢館長の素晴しい記事「“美”に捧げた生涯―レニ・リーフェンシュタール」などをぜひお読みいただきたいのですが、ここでは簡単に記しておきます。

曰く、”究極の美の追求者”。

1902年生まれのレニは、ダンサーとして身を立てるも、ひざの故障で断念。映画女優に転身して、この『聖山』(’26)などに主演する。その後、当時前例のなかった女流映画監督を目指し、『青の光』(’31)で監督デビュー。とにかく“美しいもの”だけを追い求めるがゆえに世事には疎かったのか、当時勢いを増すヒットラーの誘いに応じる。ナチス党大会を描いた『意志の勝利』(’35)や、ベルリンオリンピックのドキュメンタリー『オリンピア 民族の祭典/美の祭典』(’38)でヴェネチア映画祭金賞を獲得するも、戦後一転してナチ協力者のレッテルを貼られる。裁判は4年に及び、無罪を勝ち取ったが世間からの誹謗中傷はやまず、辛酸を嘗め尽くす。しかし”究極の美を追求する“という自らの信念を曲げず、60歳にして”人間における美”を捜し求めてアフリカの奥地に分け入り、ヌバ族の写真を撮り続けて70歳にして再び写真家として世に出る。71歳から水中写真の世界に没頭し、90歳を越えてもなお海に潜り、ついに100歳にして海中記録ドキュメンタリー『ワンダー・アンダー・ウォーター 原色の海』(’02)で再度映画監督として復活。2003年102歳で生涯を終える。

今回の記事はレビューなんだか感想なんだかわからなくなってしまいましたが、それもたまには良いですか。“意志の勝利”とはまさに彼女のためにあるような言葉で、それによって人間はここまでの高みに昇れるのだということを学びました。

彼女のドキュメンタリー映画『レニ』('93)を注文してしまった。そちらの感想もまたいずれ。

<スタッフ&キャスト>
監督:アーノルド・ファンク
原作:アーノルド・ファンク
脚本:アーノルド・ファンク
撮影:ハンス・シュネーベルガー
出演:レニ・リーフェンシュタール
    ルイズ・トレンカー
    エルンスト・ペーターセン
    フリーダ・リヒャルト
    ハンネス・シュナイダー



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<作品関連サイト>
⇒豆酢館 “美”に捧げた生涯―レニ・リーフェンシュタール
⇒人間と藝術 追悼 レニ・リーフェンシュタール
⇒ベルリンの壁崩れて沈黙を破ったレニ・リーフェンシュタール「民族の祭典」監督が語る”政治とオリンピック”

⇒Reni Riefenstahl Official Site (English/German) 

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#0128『ゲームの規則』 ジャン・ルノワール監督 1939年フランス

ゲームの規則
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2006年10月の記事です。改めて読んでみて、まったく映画に太刀打ちできてないと思った次第です
映画評論家ドナルド・リチーという人の著書”映画のどこをどう読むか”にこの『ゲームの規則』が取り上げられており、非常に興味を持っていた作品なのですが、実際見るとまあ、登場人物の多いこと、ストーリーの複雑なこと。たくさんの人間がくんずほぐれつしながら、物語が徐々に形作られていくような感じで、到底一度見たくらいで太刀打ちできるものではありませんでした。

最近、身の回りがルノワールづいていますので、近々再見ということにしたいと思います。


以下、転載文。



一部ネタバレしていますのでご注意下さい。

なかなか映画を一本通して見る時間はとれないので、何度かに分けて見ることになってしまいます。本当はあんまり良くないんですよね。ストーリーがわからなくなるし、なんといっても途中で一度画面を閉じてしまうと同じ映画を見ていても感じるものがすごく少なくなってしまいます。

それでも、背に腹は変えられませんから、時間を拾い集めながら映画を観るわけですが、時々そのような事では到底通用しない作品に出くわします。

今回の『ゲームの規則』が、まさにそれでした。とにかく登場人物が多く、そこかしこで恋愛ゲームが展開してストーリーも複雑、台詞も多いので、ちょっと間を空けるとすぐにわからなくなってしまいます。ストーリーが本番を迎えるコリニエール館のシーンにたどり着くまでに何回見直したことか。オープニングの"フィガロの結婚”の詩なんか覚えちゃいましたよ。今日ようやく腰を落ち着けて通しで見ることが出来ました。

さて、『素晴しき放浪者』で大ファンになったルノワール監督。37年の『大いなる幻影』は、思いのほかオーソドックスで美しく、これはこれで良かったのですがやはりちょっとくせ球っぽい作品が見たい。その点で、この『ゲームの規則』は大いに楽しめて大満足です。

『ゲームの規則』の”ゲーム”ってなんでしょう?”規則”の方はいくつか劇中で話題に上ります。冒頭で、大西洋横断飛行に成功し、大々的にインタビューを受けるアンドレ(ローラン・トゥータン)は、祝福に駆けつけてこなかったクリスティーヌ(ノラ・グレゴール)に対して恨みをぶちまけます。それに対して、アンドレの友人オクターヴ(ジャン・ルノワール)が「社交界には規則がある」と諭しています。後半でも、夫を捨てて一緒に逃げようというクリスティーヌに「屋敷に招いてくれた友人に何も言わずにその妻を連れ出すわけにはいかない。」と、アンドレは頑として譲りません。このあたりから推測すると、ブルジョワ社会の人間関係のルールのことを規則と言っているようです。とすると、ゲームとはブルジョワ階級の生活を指しているのかもしれません。

コリニエール館には、ブルジョワ階級の面々とその使用人たちという二つの階層社会が出来ているわけですが、ブルジョワ組は狩りに仮装パーティに大騒ぎ。彼らの馬鹿騒ぎをサポートする使用人たちの方がよほどしっかりしているように見えます。そういえば、ブルジョワ組と使用人たちを隔てる距離は意外と近いようで、館主ロベール(マルセル・ダリオ)とその召使マルソー(ジュリアン・カレット)の会話などはまるで友人同士のようですね。

大騒ぎの館の中では、同時平行でいくつもの恋愛ゲームが進行しています。クリスティーヌとアンドレ、クリスティーヌの夫ロベールとジュヌヴィエーヌ(ミラ・パレリー)。オクターヴと女中リゼット(ポーレット・デュボスト)、リゼットと召使マルソー(ジュリアン・カレット)・・・・(文字ではとても伝えきれない)。

物語の終盤に向けて、リゼットとその夫シュナンシュール(ガストン・モド)、マルソーの三角関係のドタバタが起こりますが、同じタイミングでブルジョワ側でもクリスティーヌを中心としてアンドレとロベールが争う三角関係が進行しており、そこにオクターヴも加わって館の中は大混乱となっていきます。

ブルジョア側・使用人側、両方で起きていた入り乱れた男女関係が交差したとき、一気にラストに向けた悲劇が起こり場は一瞬で暗転します。喜劇から悲劇への切り替えも実に見事。映画の中盤で、ブルジョア組みが狩りに興じるシーンがあり、勢子に追われて逃げ惑ううさぎなどの小動物が、猟銃で撃たれて吹っ飛ぶ姿が何度もリアルに描かれていましたが、ここに生きてくるとは思いませんでした。

館で起きた悲劇に、ブルジョワたちは意気消沈。なんとか館主ロベールはスキャンダルにならないよう処理しますが、招かれていた軍人たちは「ブルジョワ階級は減っていく。もうすぐ姿を見なくなるぞ」と話しています。こういうドタバタ騒ぎを描きながら、戦前の貴族社会が廃れていくさまを描いていたのかななどとも考えてみたりしました。

などと、もっともらしく書いてみるものの、レビューとしてはとっちらかっちゃって散々ですね(^^;)。まあ、この作品は一度観て「面白くてよかったね」で片づけられるものではありませんから、たくさん映画を観てからもう一度戻ってくれば、もっといろいろな事が伝わってくるだろうと思います。★★★★★

監督:ジャン・ルノワール
製作:クロード・ルノワール
脚本:ジャン・ルノワール 脚本協力:カルル・コッホ
撮影:ジャン・バシュレ
音楽:ロジェ・デゾルミエール
出演:マルセル・ダリオ/ジャン・ルノワール
   ノラ・グレゴール/ローラン・トゥータン
   ポーレット・デュボスト/ミラ・パレリ
   オデット・タラザク/ジュリアン・カレット
   ガストン・モド


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#0127『嵐が丘』ウィリアム・ワイラー監督 1939年アメリカ

嵐が丘
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2006年10月の記事です。どうも、この映画は好きになれませんでした。シナリオも演出も演技も原作を読んだときの衝撃に及びません。原作抜きにこの映画だけを考えても、やはり線が細い感じがするんですよね。。。

以下、転載文

キャスト&スタッフが豪華ですね。ハリウッドを挙げてローレンス・オリヴィエをお出迎えしたという事なのでしょうか。さて、淀川長治さんも大好きだったゴールドウィン&ワイラー。名作も数々あるだけに期待し・て・い・た・の・で・す・が・・・・・

すいません、心に響いてきませんでした・涙

嵐が丘の原作を読んだのは確か高校の頃でした。詳細は覚えていませんが、ヒースクリフの執念と悲しいストーリーに感動して、しばらく他の本が読めなかった記憶があります。

その記憶を元にこの作品を観ると、あっれー?・・こんなんでしたっけ?いやいや、良いところはたくさんあるんですよ、もちろん。嵐が丘と荒野の情景はイメージどおりだし、オリヴィエはさすがの貫禄だと思います。マール・オベロンは可もなく不可もなくと感じましたが、女中役のフローラ・ロブソンなんかもいい味が出てます(レオ・G・キャロルも出てる!)。

なぜキャシーはヒースクリフを愛しながらエドガーと結婚してしまったのかもっと掘り下げて見せてよ!というのがひとつ。

オリヴィエのヒースクリフに狂ったような執念が見えない!というのが二つ。

主役の二人以外のキャラクターは全部ほったらかしのまま終わってしまった。というのが三つ目。

響いてこなかった理由はその3つですね。高校の時、本を持つ手も心も震えたのは、まさにこのうちの上二つが原因だったと思うんですが。なんか、allcinemaの解説と観点が同じで面白くもなんともないんですが、上記正直な感想でした。ということで。★★★☆☆

<スタッフ&キャスト>
 監督:ウィリアム・ワイラー
 製作:サミュエル・ゴールドウィン
 原作:エミリー・ブロンテ
 脚本:ベン・ヘクト/チャールズ・マッカーサー
 撮影:グレッグ・トーランド
 音楽:アルフレッド・ニューマン
 出演:ローレンス・オリヴィエ
    マール・オベロン
    デヴィッド・ニーヴン
    ジェラルディン・フィッツジェラルド
    フローラ・ロブソン
    レオ・G・キャロル
    ドナルド・クリスプ

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#0126『メトロポリス』フリッツ・ラング監督 1926年ドイツ

メトロポリス
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 80年前のSF映画。描かれているのは100年後、すなわち2026年の世界。フリッツ・ラングの代表作『メトロポリス』を鑑賞するのは、実は今回が初めてなのですが、素直な感想は”なんてちぐはぐな映画・・”。
 
メトロポリス『メトロポリス』で一番驚かされるのは、やはりその圧倒的な世界観。地上にそびえる摩天楼やその間を縫って空中に張り巡らされた交通網、地下の大工場などのインフラレベルはもちろん、資本家フレーダーセン(アルフレート・アーベル)の執務室にはコンピューターのようなものも見え、本人や秘書のジョセフがコンピューター(のようなもの)のデータをチェックしながら工場の生産性などについて、明らかになんらかの判断をしているようです。さらには、テレビ電話まで登場し、この後数十年間のSF要素をかなりカバーしているのではないかと思われるほどです。

また、工場で画一的に働かせられる労働者たちの、デフォルメされた姿もインパクトがあります。整列して勤務交代する労働者は、うなだれ、とぼとぼと足取り重く、さらに地下深くにある住居にたどり着いても喜びの姿も安堵の姿もありません。職場では、無目的な単純作業がパントマイムのように延々と続き、一人のミスで大事故が起きます。たまたま事故を目撃したフレーダーセンの息子フレーダー(グスタフ・フレーリッヒ)は、父に事故の有様を涙ながらに訴えますが、「そんなことは当然ありうることだ」と一蹴されるだけ。人間性のかけらも認められない労働者の姿は悲惨ですらあります。

メトロポリス_マリアそして、なによりもロボットマリアの造形。淀川長治氏は、「『スターウォーズ』のC-3POは、マリアの出来損ないの物まねに過ぎない」と言い切り、ドイツ人とアメリカ人のデザイン感性までコメントしていますが、確かにマリアの造形は素晴しい。C3POでも怖い。何が怖いって、目が怖い。目は意思の宿るところであるとするならば、この不気味な目のロボットは一切の意思を否定した、究極の非人間的なものを象徴してるようです。C-3POは「マリアの物まね」などと言われていても、あの親しみやすいびっくりまなこが与えられた時点で、人間との関係においてマリアとはまったく異なる存在意義を与えられているのだと思います。

いろいろと調べてみると、フリッツ・ラングがこの映画に盛り込んだ事物の先進性には驚くばかり。建築物に見られる”アール・デコ様式”や”ロボット”という言葉などは、この映画が作られた1926年の直前に世の中に出たばかりのもの。フレーダーセンのコンピューターにいたっては、この時期まだ”巨大な計算機”に過ぎず、オフィスで仕事の分析に使うなどは何十年も後になって実現する使い方。テレビ電話などは言うに及ばずです。にほんブログ村 映画ブログへ

ネットのレビューを読んでいると、セットが書割りみたいでチャチだとのたまう方もいらっしゃいますが、それは無理難題というもの。チャチなのは一番表層の表現技術に関する部分(昔は技術がなかったんだから仕方がない)だけで、その着想、造形、実現度などにおいては恐るべき水準であると言えます。さらに言うと特殊撮影やカメラワークなどの工夫についてもやはり素晴しい。チャチと一蹴するか、驚嘆の目を持ってみるかは見る側の感性次第ということでありますね。

さて、この映画がフリッツ・ラングのオリジナル版に比べて半分以下の尺に編集されてしまったのは、よく知られた話で、今ではオリジナルフィルムは残っていないのだそうです。そういう事情なので、この映画のストーリーについて云々しても仕方がないのだろうなと思うものの、やはりストーリーが陳腐であることが残念至極。中途半端な階級闘争、安易な恋愛過程、マリア発明にいたる経緯もおそらく省かれてしまったに違いありません。

フリッツ・ラングのマリアの造形にはかなりの思い入れが込められていたはずで、完全に非人間的なものにすらたやすく操られる大衆のもろさを描きたかったのかもしれないし、マッド・サイエンティスト・ロトワング(ルドルフ・クライン=ロッゲ)と、マリアのモデルになったと言われるフレーダーセンの亡き妻との、一くさりの物語があったのかもしれません。

この映画を編集した人たちは、SF的世界観の衝撃を最大の売り物と見て、ストーリーを省みずオリジナルを切り刻んだのかもしれません。その結果、いかにも中途半端なメロドラマになってしまった感があり、目を見張るSF要素を受け止めるだけのストーリーが存在しないちぐはぐな映画になってしまったのでしょうか。

もっとも、今の世の中、映像のインパクトだけあればそれでよしと考えているような、確信犯的”似非SF"映画が大手を振ってまかり通ってますが、そんなのと比べたら。。。(以下省略)★★★★☆

<スタッフ&キャスト>
監督:フリッツ・ラング
製作:エリッヒ・ポマー
脚本:テア・フォン・ハルボウ/フリッツ・ラング
撮影:カール・フロイント/ギュンター・リター

出演:アルフレート・アーベル
    ブリギッテ・ヘルム
    グスタフ・フレーリッヒ
    フリッツ・ラスプ
    ルドルフ・クライン=ロッゲ

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(2006/10/21)
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#0125『女の顔』グスタフ・モランデル監督 1938年スウェーデン

女の顔
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バーグマンのスウェーデン時代の作品。シリーズでDVD化されているうちの一本です。相変わらず美しいのですが、映画としてはもう一歩。こうしてみるとハリウッドの脚本家は優秀だなと思います。

以下、転載文。

久々のイングリッド・バーグマン作品ですが、こういう役もやっていたのかと感慨深い作品。スウェーデン時代のサスペンス映画です。

金持ちの不倫を嗅ぎつけゆすりを働くグループ。著名な整形外科医の妻を脅すために段取る男たちを、きたない言葉を吐き散らしながら仕切る女ボス。このアンナ・ホルムがバーグマン。

その悪女ぶりだけでもかなりすごいが、おまけに顔の左半分が火傷でケロイド状。アップになるのは1・2回しかありませんが、よく見ると目の下と唇の上がそれぞれ引き攣れており、かなりリアルな特殊メイク。顔の左だけが黄金バットのようになっています(若い人知りませんね、すみません。要は骸骨の醜いやつです)。

肝っ玉の据わった悪女ぶりですが、人の視線を感じると思わず目じりをこするフリをして顔を隠そうとする仕草が出てしまう。このあたりの女心が妙にリアルです。

ハリウッドに渡って『カサブランカ』を撮る4年前、23歳ですから、輝くばかりの美貌を備えている時期にこの役柄。スウェーデンではもう主役級の女優として活躍していたころでしょうに。スターのイメージを何よりも大事にしていた当時のハリウッドではまずありえないことでしょう。

悪人の父親を持ち、火事で顔半分を焼かれて将来の希望をなくし、自分も悪の道に染まったアンナ。整形外科医の妻は金になると踏んで自宅まで乗り込みますが、妻との”商談”中に戻った整形外科医に同情され、手術を受けることになります。こうして、美貌と人間らしい心を取り戻した彼女は、悪党の道から足を洗おうとするのですが・・・・。

という感じで、そこそこのサスペンス作品になっていますが、脚本はもう一息。手術前後のアンナの心理の変化が唐突過ぎて今ひとつ感情移入が出来ませんでした。

悪役トルシュテンのキャラクターもちょっと弱いかなぁ。心を入れ替えて陰謀を阻止しようとするアンナとトルシュテンの駆け引きに今ひとつ緊迫感がでません。

前半の醜いバーグマンが強烈なインパクトなだけに、美しいバーグマンに戻ると共に作品全体から毒気がなくなってしまったのはちょっと残念。

それでもハリウッド以降は絶対見られないバーグマンの姿、一度見ておく価値はあると思います。★★★☆☆

<スタッフ&キャスト>
監督:グスタフ・モランデル
製作:ヴィクター・サヴィル
原作:フランソワ・ド・クロワセット
脚本:イエスタ・スティヴェンス/スティナ・ベルイマン/ラーンヒルド・プリム
撮影:オーケ・ダールクイスト
音楽:エリック・ベントソン
出演:イングリッド・バーグマン/トーレ・スベンベルイ

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(2005/11/25)
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#0124『望郷』ジュリアン・デュヴィヴィエ監督 1937年フランス

望郷
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2006年8月の記事ですが、今読み返すと、この名作に対してあまりにあっさりしているので、ちょっと書き加えました。

完全ネタバレ記事です。ご注意ください。


以下、転載文



小さい頃、母親の口から”ペペル・モコ”という名前を何度か聞いた覚えがあって、”ペペル・モコ”という奇妙な音の響きが記憶に残っていたのを良く覚えています。その時、母はペペル・モコに扮するジャン・ギャバンの魅力を実に楽しそうに話してくれていたらしいのです。母は元来それほどの映画好きではないのですが、それでも夢中にさせるほど、この作品のジャン・ギャバンには魅力があったらしいのですね。

この名作も前回観たのはいつだかわからないくらい昔。ギャビー(ミレーユ・バラン)の美しいクローズアップやラストの有名な鉄格子のシーンは記憶にあるものの、ストーリーはほとんど忘れており、かなり新鮮に観直すことができました。

大泥棒ペペル・モコ(ジャン・ギャバン)は、パリ警察の手を逃れてフランス領アルジェのカスバに逃げ込んでいます。この作品の主役といってもよい、アルジェ港を見下ろす丘に広がる城塞都市カスバは、街の入り口の階段を上がるや、坂道が連なる路地裏、屋上で隣家とつながるテラスなどの入り組んだ街並みがさながら迷路のようで、警察の手はまったく届きません。大泥棒ペペル・モコをがっちり守る要塞都市として鉄壁の頼もしさを見せるカスバ。いまや町の顔役となっているペペル・モコはこの街を拠点に以前悠々と悪事を重ねています。

この、カスバの街の映像がねぇ、実に異国情緒があふれて手、ムードがあって良いんですよ。ヨーロッパ映画ってアメリカの映画と比べて、美しい街を背景とした作品が撮れるという利点がありますね。もちろんアメリカ映画にも、ヒッチコックの『めまい』におけるサンフランシスコの街並とか、美しい街の映像を見せるものがありますが、質でも量でもやはり比ではない。偉大なメロドラマであり悲劇であるこの作品は、この街並みの情緒なくして成立しないと思いますが、ペペル・モコにとってのカスバの意味が、彼の運命とともに大きく変わっていく様も見事です。

この美しい街には観光客も多く、そんな中にパリからやって来たギャビー(ミレーユ・バラン)がいるんですね。彼女と知り合い、当然のごとく愛し合うようになるペペル・モコですが、その愛情が思いもしなかったもうひとつの感情をペペル・モコにもたらします。それは、パリへの耐え難いほどのノスタルジア。

せっかく芽生えた愛もはかなく、些細な行き違いからギャビーはペペル・モコに別れを告げることなくパリに帰ることになります。ギャビーを追いかけたい。そして、パリに戻りたい。しかし、カスバではペペル・モコに手も足も出ない警察が、裏切り者レジス(シャルバン)を使って、千載一遇のチャンスとばかり彼が街を出る瞬間を狙っています。ギャビーを愛し、”望郷”の念に囚われたペペル・モコにとって、カスバの街は彼を守る要塞から、彼を束縛する監獄になってしまったのです。ペペル・モコはその中であがきます。前半の意気揚々たる余裕の姿とは打って変わり、焦り、わめき散らして、見境もなく坂道を転げるように駆け落ちるただの男。

デュヴィヴィエ監督は、このあたりの運命が徐々に暗転していく様を映像化するのが本当にうまいなぁとしみじみ感じますね。さまざまな人物の思惑が積み重なって悲劇的運命に導かれていく様が見事。中でも、彼の身を案ずるがために必死に引き止めようとする情婦インス(リーヌ・ノロ)は、カスバの町が女の姿になって彼を逃すまいとしているかのよう。彼女自身の心情の痛々しさが鮮明に描かれるほどに、ペペル・モコの逃れられない運命も際立ってくるような、そんな手際の素晴らしさに感心しました。

ペペル・モコが警察を振り切り港にたどり着いたとき、愛するギャビーを乗せて、焦がれる想いの行き着く先、パリに向かう客船はまさに岸壁を離れたばかり。しかし、鉄格子にさえぎられて最後の最後でペペル・モコは倒れます。「ギャビー!」という叫びも船の汽笛にかき消され、彼女には届かない。。。。

心に突き刺さるようなラストシーンでした★★★★★

<スタッフ&キャスト>
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
原作:ロジェ・ダシェルベ
脚本:アンリ・ジャンソン/ロジェ・ダシェルベ
撮影:ジュール・クリュージェ
音楽:ヴィンセント・スコット
出演:ジャン・ギャバン/ミレーユ・バラン
    リーヌ・ノロ/リュカ・クリドゥ/ルネ・カール
    マルセル・ダリオ/シャルパン
    ジルベール・ジル/ガストン・モド

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#0123『第3逃亡者』アルフレッド・ヒッチコック監督 1937年イギリス

第3逃亡者
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2006年1月の記事から。ヒッチコックイギリス時代の典型的捲き込まれサスペンスの佳作。名作『三十九夜』と比べると小粒な感じの作品ですが、面白さでは引けをとっていないと思います。最後の真犯人に向けてカメラがぐぐーーと寄っていくところは良かったですねぇ。

以下、転載文。

海岸に打ち上げられた絞殺死体は女優のクリスティーン。第一発見者のロバートは助けを呼びに行く姿を目撃され、現場から逃亡した容疑者として逮捕される。裁判の直前に逃亡したロバートは、偶然行動を共にすることになった警察署長の娘エリカとともに、彼の無実の証拠となるコートを探す。

ふとしたきっかけで事件に巻き込まれた主人公が、ヒロインと一緒に逃亡しながら真実を追う。と、ヒッチコックお得意中の得意技。やっぱり面白いです。あの名作『三十九夜』でも冴え渡ったプロットですが、今回は題名も示すとおり若い女性(エリカ=ピルブーム)の視点で描こうとしているようです。『三十九夜』よりものんびり感が漂ってますかね。私にとっては『三十九夜』の超スピーディな展開よりもなじめました。

今回の主人公ノヴァ・ピルビームは、『暗殺者の家』で一人娘ベティを演じていた名子役。前作のときは、ガリガリの女の子でお転婆ぶりを発揮していましたが、3年ちょっとで立派にロマンスを演じられるようになっているのには驚きました。女の子の成長は早いなぁ。ヒッチコックも才能を認めていた女優ですが、本作の二年後、『三十九夜』『暗殺者の家』 のアシスタント・ディレクターを務めたペン・テニスンと結婚してスクリーンから遠ざかっていましたが、第二次大戦で夫が戦死したことを契機に復帰。しかし、出演作は少なく、1950年に再婚するとともに完全に映画の世界から身を引いてしまったということです。セルズニックが『レベッカ』の主役に推薦したものの、ヒッチコックのイメージに合わず話は流れてしまったようですが、もしこの時『レベッカ』に主演していれば、もっと多くの作品に出演するメジャーな女優になっていたかもしれませんね。残念。

ところで、冒頭の海岸にクリスティーンの死体が打ち上げられるシーンは、後期60年代くらいのヒッチコックの映像を見ているようですね。死体が波にもまれて手足を水面に突き出しながら流れ着いてくるカットとその後にワンカットだけ挿入されるかもめの映像に妙にゾッとさせられました。あんまりうまく文章で描写できませんが、このあとに撮られる『バルカン超特急』や『レベッカ』などにもなかった雰囲気のカットだと思います。後のヒッチコックらしさを表す映像表現がフッと出てきたのかなとか想像すると結構楽しくなってきます。同じ監督の作品を見続ける楽しさのひとつかもしれませんね。

前年の、『間諜最後の日』がプロットという点から見るとヒッチコックらしくない作品で入り込めなかったのですが、本作は一転してそのあたりはヒッチコックらしさ満々。イギリストーキー時代の傑作のひとつと言ってもよいのではないかと思います。★★★★☆

<スタッフ&キャスト>
監督: アルフレッド・ヒッチコック
原作: ジョセフィン・ティー
脚本: チャールズ・ベネット
    エドウィン・グリーンウッド
    アンソニー・アームストロング
撮影: バーナード・ノールズ
音楽: ルイス・レヴィ
 
出演: デリック・デ・マーニイ
    ノヴァ・ピルビーム
    パーシー・マーモント

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第3逃亡者第3逃亡者
(2006/12/14)
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