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失恋
『チャップリンの失恋』のエドナ・パーヴィアンスとチャップリン

作品一つ一つをじっくりと作り上げ、ストーリー・ギャグのどれをとってもかなりの完成度を感じるこの頃の作品。『チャップリンの失恋』という記念すべき作品も生まれました。個人的には、ようやく見ていて素直に笑えるようになってきました。

『チャップリンの駆け落ち』THE JITNEY ELOPEMENT 1915年4月1日 チャールズ・チャップリン監督
富豪の娘エドナ(エドナ・パーヴィアンス)と恋仲のチャップリン。エドナに伯爵との結婚話が持ち上がり、チャップリンは彼女と結婚したさに伯爵になりすましてエドナの父に会う。うまくことは運んでいたが、途中で本物の伯爵が現れチャップリンは追い出されてしまう。傷心を抱えてやってきた公園で見合い中の伯爵とエドナに遭遇。警官も交えたドタバタの末、チャップリンとエドナは車で駆け落ちし、伯爵たちも警官の車で追いかける。最後は伯爵たちの車を海に落としてハッピーエンド。

公園のドタバタシーンが、キーストンコメディぽくて良いのですが、なんといっても見せ場は中盤以降のカーチェイス。この頃のチャップリン短編喜劇は自動車レースをモチーフにした作品が多いのですが、チェイスはこれが初めて。走る車の横からカメラを併走させて撮影するシーンがありますが、かなりのスピード感です。彼女と結ばれてハッピーエンドの作品もこの頃には結構あります。チャップリンの帽子芸が増えている!。

『チャップリンの失恋』THE TRAMP 1915年4月11日 チャールズ・チャップリン監督
これは、後のチャップリン映画の原型となる貴重な作品。。キーストン時代の『チャップリンの画工』で、少しそれらしい役をやっていましたが、この作品では失恋し本格的に一本道を去っていくチャップリンが初めて登場します。途中まではトボトボと、そして元気を取り直して足早に去っていくところも後の作品と同じですね。
強盗に襲われたエドナ(エドナ・パーヴィアンス)を助けたことがきっかけでエドナの家に居候することになったチャップリン。すっかりエドナと相思相愛。と思っていたのはチャップリンだけで、実は彼女には婚約者がいた。すべてを知ったチャップリンは、急用が出来たと家を出て行こうとする。選別も断り、エドナと握手して出て行くのだが、エドナはチャップリンの置手紙で彼の気持ちを知る。

浮浪者”スタイル”と言っているのでうっかりしていましたが、本格的な浮浪者を演じるのもこの作品が初めてなのだそうです(衣装も普段よりボロボロ)。音声担当の永井一郎氏が、”ペーソス”と言う言葉を使っていますが、まさにペーソスに溢れたホロリとくる名作。興行的にも成功し、チャップリンの道を決めたと言われています。

余談ですが、これまでの作品ではいくら派手な銃乱射でも人に当たることはなかったのですが、この作品ではチャップリンが撃たれましたね。ちょっと驚きでした。

『アルコール先生海水浴の巻』BY THE SEA 1915年4月29日 チャールズ・チャップリン監督
ストーリー、キャラ、ギャグともに1年前から見るとかなりスマートになっていますが、この作品ではまたまた美人にちょっかいをだしてドタバタに発展するパターンに逆戻り。『チャップリンの失恋』のような人情派の作品はまだまだ定着していないようです。
海辺で過ごす夫婦。妻が用足しに出かけた間に、つまらないことから夫とチャップリンが大喧嘩になり、チャップリンは夫をノックアウトしてナンパに出かけます。出会ったのはエドナ・パーヴィアンスですが、彼女には大男の夫がいて、図らずも二組の夫婦と関わったチャップリンは海辺でドタバタの末、最後は全員すわったベンチが後ろにすっころんで幕。また、帽子の芸が増えてますね。

『チャップリンのお仕事』THE WORK 1915年6月21日 チャールズ・チャップリン監督
チャップリンはペンキ屋の丁稚。馬の代わりに馬車を引きながら登場。坂道や踏み切りなどのシチュエーションで、馬車をフルに使いこなして笑わせてくれます。その後、壁紙の張替えに向かった家で、ペンキ道具を使って恒例のドタバタ騒ぎになりますが、道具の使いこなしや動作の一つ一つまで計算されつくしたすごみを感じますな。

『チャップリンの女装』A WOMAN 1915年7月12日 チャールズ・チャップリン監督
いつものごとく公園を散歩中のチャップリン。エドナ一家の父親と美人の取り合いでひとモメしたあと、首尾よくオヤジを池に叩き込んで、そうとは知らずエドナと懇意になります。家まで上がりこんだチャップリンは、帰ってきたオヤジと遭遇し、乱闘中にズボンを取られて逃げるに逃げれなくなる。進退窮まってエドナの部屋に逃げ込んだチャップリンは見事に女装。これにイチコロになたオヤジと三回戦。最後は家からたたき出されて幕。
チャップリンの女装は、キーストン時代にも『多忙な一日』という作品がありました、まあ、もとが美男子ですから良く似合います。今回は着替えシーンもあり。

(参考文献:「チャップリンのために」 大野裕之編集 とっても便利出版部発行より)

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