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#0059『魔人ドラキュラ』トッド・ブラウニング監督 1931年アメリカ

Bela Lugosi
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監督:トッド・ブラウニング
製作:カール・レムリ・Jr
原作:ブラム・ストーカー
脚本:ギャレット・フォート
撮影:カール・フロイント
出演:ベラ・ルゴシ/ヘレン・チャンドラー
    デヴィッド・マナーズ/エドワード・ヴァン・スローン
    ドワイト・フライ

<作品関連情報>
    ⇒IMDb(英語)

以前記事をアップした『吸血鬼ノスフェラトゥ』と同じブラム・ストーカー原作の映画化。名優ベラ・ルゴシのドラキュラ伯爵がヴァンパイアのイメージを決定付けました。

モンスター映画はなにが怖いのだろうと改めて考えてみました。映画自体の世界観やそれを体現する美術や音楽は別とするとこんな感じでしょうか。

(1)モンスターそのものの怖さ
   ・モンスターの造形(姿形と性格)のおどろおどろしさ、生態、誕生の背景など
(2)モンスターの行動の怖さ
   ・人を襲う、ものを破壊するなどの方法と残酷さなど
(3)モンスターの行動が人間社会に与える影響の怖さ
   ・社会的不安、パニック、疑心暗鬼など

この視点で、『吸血鬼ノスフェラトゥ』と『魔人ドラキュラ』を見てみると、同じ原作ながら映画としての味付けが異なっているようです。

両作品とも(1)のモンスターそのものには当然工夫を凝らしており、マックス・シュレックが演じたノスフェラトゥもベラ・ルゴシのドラキュラ伯爵も甲乙つけ難し。ヴァンパイアの造形としては、長くベラ・ルゴシの演じた貴族的な容姿が定着したわけですが、ノスフェラトゥの例の姿も一度見たら忘れられません。

しかし、(2)と(3)については両作品でウェイトが違い、『吸血鬼ノスフェラトゥ』は(3)、『魔人ドラキュラ』は(2)を中心に描かれているようですね。ノスフェラトゥが直接人を襲うシーンはほとんどなく、人を襲う怪物の怖さというよりも、ノスフェラトゥが現れたことにより広がる社会不安のようなものが不気味に伝わってくる映画でした。彼が上陸したブレーメンの町では、ペストの蔓延(吸血鬼はペストの病原だと考えられていた)と吸血の被害で街が壊滅するほどの死者を出しますが、これも個々にノスフェラトゥが人を襲う直接描写はなく、行列になって棺桶が進んでいくショットで町全体の不安感を描写しています。こういう不安感が現実社会で蔓延していた時代の不安とシンクロしたところが表現主義の名作といわれる所以でもあります。

一方の『魔人ドラキュラ』の重点はまさに(2)の主人公たちを襲うドラキュラ伯爵の怖さ。貴族然とした身なりのよさと慇懃で詩を吟ずるようなしゃべり方。その高貴な風貌とは裏腹に、獣に姿を変え、人の心を操り、どこにでも侵入し、生血をすすることで人間を僕としてしまう。いくら警戒しても狙った獲物の枕元に忍び込んでくるドラキュラを防ぐ手立てはない。たびたび登場する目元に照明を当てたドラキュラ伯爵のアップが非常に良く効いていてます。この時代の映像の限界か、直接吸血鬼が獲物を噛み吸血するシーンはありませんが、それでも度々ヒロインのミーナを襲うシーンは十分の怖さを感じさせてくれます。

また、本作ではモンスターの悪逆非道に焦点を立てていることから、『吸血鬼ノスフェラトゥ』にはなかった、対抗役の重要なキャラクターが登場します。ドラキュラの永遠の宿敵であり、ヴァンパイア・ハンターとして有名なヴァン・ヘルシング教授。最近では、インディー・ジョーンズのようなアクション派ヘルシングもありましたが、ここでは当然白髪の老教授。ヘルシング役者として有名なピーター・カッシングはまだ登場しませんが、演じたエドワード・ヴァン・スローンもなかなかの趣。ビン底眼鏡に訛った英語がドンくさい感じですが、実は非常に頭脳明晰。次々ドラキュラ伯爵を追い詰めていく展開は痛快。

モンスター映画は四半世紀前から作られて、ドラキュラもその後どんどん新作が発表されていきます。しかし、ドラキュラの造形((1)の部分)はすでに世の中的に定着しているわけですから、(2)で勝負する限りは、いかに人を襲うかそのショッキング度合いを競うしかないわけですよね。実際、新作が出来るたびに、この映画のドラキュラ伯爵には無かった牙が生え、描写されなかった吸血シーンがスクリーンにのるようになり、鮮血がほとばしり、首は飛ぶわ、何するわ・・・。

結局シリーズ化されるといずれ完全に行き詰るというのはモンスター映画の宿命ではないかと思うわけですが、それはまた後々のことで、元祖のこの作品は面白かった。あの『フリークス』を撮ったトッド・ブラウニング監督さすがの一本でした。★★★★☆

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ドライヤーの『ヴァンパイア』

は、スタンバイ中です。サイレント特集で『吸血鬼ノスフェラトゥ』が面白かったので、実は次に吸血鬼特集をやろうかと思っていくつか作品を集めてるのです。
1931年 カール・T・ドライヤー『ヴァンパイア』
1943年 ルー・ランダース『吸血鬼蘇る』
1958年 テレンス・フィッシャー『吸血鬼ドラキュラ』
1968年 ロマン・ポランスキー『吸血鬼』
1992年 F・F・コッポラ『ドラキュラ』
などなど。
しかし、特集にして20本~30本くらい吸血鬼映画をそろえようとすると、ずいぶんと妙な作品まで対象にせざるを得なくなりそうで躊躇しているところでした。
ハマーフィルムのその後の作品くらいまでを含めてミニ特集にしてみるのも面白いかもしれませんね(用心棒さんにはかないませんが)。

いやあ、おっしゃるとおりですね

FROSTさん、こんばんは。
全くもって、同感です。
ショック度と本当の意味での恐怖とは、似て非ですよね。
わたしは、クラシックの復古には、実は賛成派なのですが、作り手もそうとうの覚悟をして、観る側も余程きびしい眼で観ることが、必須だと思います。
「キング・コング」「オペラ座の怪人」「ゾロ」・・・確かに素晴らしい題材ばかりですが、旧作を凌駕するところまではなかなか・・・困難なように思います。

続編においても、おっしゃられているように
>粗製濫造も簡単に出来てしまう・・・
わたしは続編だけで独立できていなければならないと思います。

ところで、カール・テオドア・ドライヤー監督の『吸血鬼(ヴァンパイヤ)』はご覧になっています?凄く恐い作品で、映画としての素晴らしさも信じられないほど多く表現されていました。

では、また。

トムさん、こんばんは^^

私などもクリストファー・リーとピーター・カッシングというと特別な思い入れがあります。今、古い吸血鬼映画を見直すとベラ・ルゴシのクラシックなドラキュラぶりが良いと思えるのですが、子供の頃はドラキュラと言えばクリストファー・リーで、牙の生えた口を半開きするだけで震え上がっていたものでした。
トムさんのおっしゃるとおりで、古典的名作のありようを忘れてショック度だけを競うようなリメイクホラーは、その作品からホラーに触れた人に大きな悪影響を与えてしまうと思います。
最近では、なんでもかんでも続編ばやりでモンスターでもスパイダーマンなどのヒーローものでも骨の髄までしゃぶりつくされてしまいますが、キャラクターの魅力(上で分類したところの(2)ですね)だけで続編を作れる回数って意外と少ない。どうしても、魅力の工夫がわざとらしくなり、それでも行き詰って他のキャラクタの力を借りて・・。『スパイダーマン3』なんかの敵2体に加えて黒いスパイダーマンなどというキャラの上書きまでしないとストーリーが持たないというのは、3回目にして限界に突き当たっているのではないかと思うわけです(新たな三部作が始まるらしいですが・・)。
モンスターやヒーローなどのキャラクタものは、映画としても一番わかりやすい部類で、見ていて肩も凝らず純粋に楽しめる魅力的な分野だと思いますが、それゆえ粗製濫造も簡単に出来てしまうのが残念なところですね。

FROSTさん、こんばんは。TBさせていただきました。
わたしの世代は、子どもの頃に、よく場末の映画館に観に行ったホラーといえば、ピーター・カッシングのヘルシング教授やクリストファー・リーのドラキュラでした。ハマーフィルムのテレンス・フィッシャー監督ものです。しかし、基本的に古典であることを大切に美しさを追求することを忘れてしまった最近のB級ホラーは、作品そのものばかりか、初期の名作品まで悪印象にしてしまうような気がします。
FROSTさんの(1)から(3)の分類は納得です。

そうそう

あの薄い唇と独特のしゃべり方(真似してみた)が良いですなあ。
エド・ウッド作品の常連でしたか。そういえばちょっと前に『エド・ウッド』録画したまま置いてあるんですが、いい機会なので観てみることにします。

そのルゴシが…

やっぱり「ドラキュラ」は、ベラ・ルゴシですよね。雰囲気がなんとも良いんですよ。
しかし、その頂点まで上り詰めたスターが後に、“史上最低の監督”と呼ばれたエド・ウッドの映画の常連になるとは…とほほ…。
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