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#0067『西部戦線異状なし』ルイス・マイルストン監督 1930年アメリカ

西部戦線異状なし
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監督:ルイス・マイルストン
製作:カール・レムリ・Jr
原作:エリッヒ・マリア・レマルク
脚本:マックスウェル・アンダーソン/デル・アンドリュース/ジョージ・アボット
撮影:アーサー・エディソン
音楽:デヴィッド・ブロークマン
出演:リュー・エアーズ/ウィリアム・ベイクウェル
    ラッセル・グリーソン/ルイス・ウォルハイム
    スリム・サマーヴィル/レイモンド・グリフィス
    ジョン・レイ/ウォルター・ブラウン・ロジャース
    ベリル・マーサー

ネタバレです。ご注意ください。

戦争に関するあらゆる馬鹿馬鹿しい現実が盛り込まれている。

大ヒットした『プラトーン』('86)以来、数々作られた戦争群像劇はすべてこの作品の変奏だといっていいのかもしれない。そういう新しい作品群でも何度も見せつけられたとおり、戦闘の現実はあまりにも厳しくて悲惨で、世間知らずに戦場に向かう若者はあまりにも愚かで哀れである。ただ、この映画の怖さはそれだけではなく、戦争遂行が精密機械のようにシステマティックに行われていく、その現実描写の凄みにある。

国家が操作しているその精密機械は、あくまでも非人間的で馬鹿馬鹿しい現象を撒き散らす。まだ現実の厳しさを知らない夢見がちな若者たちを言葉巧みに兵士として志願させる大学教授。整列すら出来ない若者たちを短期間でそれなりの兵士に仕立て上げる予備隊。ベルトコンベヤーのように彼らを前線に送り込む軍用列車。前線に着いた彼らは塹壕を掘り、命令に従って突撃する。敵が優勢になると砲撃音のやまない陣地にジッと立てこもり、機会を得るとまた命令に従い突撃する。兵士が無傷な間は延々とそれが続き、負傷すると病院に担ぎ込まれて、死が近くなると死体置き場の隣に移される。そこからはだれも帰ってこない。兵士が不足するとすぐに補充兵が送られてくる。

ただし、この精密機械は肝心なところで機能不全になっており、前線の兵士たちに満足な食料を供給することができない。一番肝心な燃料が常に欠乏しているのだが、兵士たちはそれを理由に機能停止することは許されず、我慢して働き続けるしか術が無い。

戦地を離れ故郷に戻ってもこの精密機械はきっちりと作動している。戦争の現実から用心深く遮断されている一般国民は、戦意だけ高揚しており、口々に腹立たしいほど楽観的な作戦を主張しあい、口角泡を飛ばして議論している。明日は前線に戻るという夜、母親が息子に「戦場では女の人に気をつけるのよ」と諭す。我が身を犠牲にしても良いほどに息子を心配している母親でさえ、戦場の実態は何も知らない。

この精密機械の極めて優秀な歯車だった主人公のポール(リュー・エアーズ)は、図らずも手にかけたフランス兵の死体と塹壕で一夜を過ごしたことから、一歯車の分際であるにもかかわらずその精密機械に疑問を持ってしまう。休暇で訪れた母校では、恩師が今日も変わらず学生たちを志願兵に仕立て上げている。思わず命の大切さを訴えるが、若者たちには臆病者とののしられる。戦地に戻った彼は、はみ出した欠陥歯車として、極めて人間的な優しい心から塹壕外に止まった蝶に手を伸ばしたところを、敵狙撃兵に射殺される。

戦争は、国民の人間性も若者たちの夢も未来も踏みにじりつつ、かくもシステマティックに行われていく。これは敵方のフランスでも同様で、ドイツ軍の塹壕に迫るフランス兵は自軍の砲撃に吹き飛ばされ、ドイツ軍のマシンガンになぎ倒されながらも機械のように押し寄せてくる。結局、戦争は国家のシステム同士がギリギリときしみ音を上げながらせめぎあうことであり、そこに他の戦争映画に描かれがちなヒロイックな個人やドラマチックな美談の存在する余地は無い。若者たちは、無機質な戦争システムの歯車としてのみ機能し、たんたんと破壊されていくのみであるという認識に改めて戦慄を覚える。加えて周到にそのシステムを作りあげ運用している政治家や軍上層部が全く姿を見せないところがこの作品のさらなる凄みであり不気味さを感じる。

トーキーが出来たばかりの1930年の作品で、セリフが説明過多な部分も多々ある。また、シーンのつなぎがぎこちなかったりもするのだが、作品全体はそんな細かなことに左右されるわけもない。★★★★★

トレーラーが見れます ⇒ こちら

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