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#0138『サンライズ』F・W・ムルナウ監督 1927年アメリカ

サンライズ
”SUNRISE:A song of two humans.” にほんブログ村 映画ブログへ

ドイツの名監督F・W・ムルナウがウィリアム・フォックスに招かれてハリウッドで撮った作品。ストーリーは、田舎に避暑にやってきた都会の洗練された女にのぼせ上がってしまった朴訥な農夫が女にそそのかされて妻を殺そうとするが、紆余曲折の果てに妻との愛を再確認し幸せを取り戻す、というもの。

一応不倫の果ての妻殺しというモチーフがありますが、ミステリー・サスペンス風の映画ではなく、夫婦が信頼を取り戻す過程が中心のロマンスストーリーになっています。

この映画の冒頭のナレーション字幕にいわく、

日が昇り、また沈む場所であるなら、時を問わず、場所を決める必要もない。農夫と彼の妻が繰り広げる、ごくありふれた日常の調べ。。。

ということで、誰か特定の個人ではなく、夫婦の普遍的な愛の物語という体裁で語られるため、登場人物一切に名前もありません。

特筆すべきは映像面で、サイレント映画の中でもトップクラスの映像技巧派作品といって良いと思います。画面構成、カメラワークなどに当時として斬新な試みが多く盛り込まれており、ブルーバックの合成画面による特殊撮影なども見られます。素晴らしいのは、それが人間の葛藤や心模様の変化などの内面心理を劇的に表現している点で、いかにもサイレントらしいインスピレーションにあふれた映像が次々に目に飛び込んできます。第一回アカデミー賞でも、撮影賞と芸術的憂愁作品賞を受賞しました。

私が気に入ったシーンをいくつか上げてみると、、、

夜中に都会の女が待つ水辺に向けて農夫が急ぐシーン。曲がりくねった野原の小道を急ぐ農夫を追いかけて、カメラは右に左にそして奥へと滑るように移動します。もともと縦方向(スクリーン手前から奥行き方向)の構図が素晴しい作品ですが、ここの縦横にスムーズに移動するカメラワークと、藪を抜けた先に月明かりに佇む都会の女のショットまで続くワンカットのシーンは、非常に洗練されたシーンであると思います。

また、農夫が妻を船旅に連れ出し、湖上でことに及ぼうとするシーンは、絶品のサイレントサスペンスシーン。まるで表現主義的モンスターのように背を丸め、目を伏せてオールをこぎ続ける農夫。なにか不穏なものを感じ取っている妻は、彼の顔を覗き込み微笑みかけようとするが、農夫はかたくなに顔を上げない。徐々に固くなる妻の表情。心配そうにあたりを見回すと、水面で遊んでいた水鳥がパッと飛び立ち、いつの間にか岸ははるか遠くになっている。

ついに、ゆっくりと農夫の手は止まり、顔を伏せたまま目だけが妻のほうを仰ぎ見る。。。ゆらりと立ち上がり妻に迫る農夫、のけぞり思わず手を合わせる妻、あわやという瞬間に湖上に響く教会の鐘の音。。。やはり、妻を殺すことはできず正気に帰った彼は、対岸に向かってがむしゃらにボートをこぎます。勢い良く水を切るへさきの映像からは、彼の心の後悔、自分への怒り、妻への申し訳なさが入り混じったやり場のない思いがあふれ出してきます。

緊張、不安、心配、安堵、哀れみ。。。台詞もない映像がどれほどの感情を呼び起こすことができるか、まさにそれが映画の素晴しさでもあるのですが、そういうことを改めて、徹底的に、再確認することができました。



他にも、街の床屋で理髪師と爪とぎ女と農夫と妻のクローズアップをつないで感情の推移を見せるちょっとコミカルなシーンも面白いし、特撮では妻殺しに思い悩む農夫に二重露出の都会の女がしなだれかかり、ついに農夫が決心に至るシーンもすばらしい。そういえば、都会の女が農夫をそそのかすときの台詞が崩れていくやつも・・・・・。

数え上げるときりがない。映像表現技巧の見本市のような作品でした。

夫婦がお互いの愛を再確認する都会の(二人の仲を裂いたのも都会が原因だが、二人が仲直りするのも都会が舞台。このあたりも粋)シーンから、ラストの湖上の嵐のシーンへの落差も観客の心をしっかりとつかみ、ストーリー的なメリハリも抜群。今までに見たサイレント映画の中でも1,2を争う面白さでありました。第一回アカデミー賞主演女優賞(別の作品ですけど)のジャネット・ゲイナーも可憐。★★★★★

<スタッフ&キャスト>
監督:F・W・ムルナウ
原作:ヘルマン・ズーデルマン
脚本:カール・マイヤー
撮影:チャールズ・ロッシャー/カール・ストラス

出演:ジャネット・ゲイナー
    ジョージ・オブライエン
    マーガレット・リヴィングストン
    ボディル・ロージング
    J・ファレル・マクドナルド
    ジェーン・ウィントン

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