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#0085『拳銃無頼帖 抜き射ちの竜』 野口博志監督 1960年日本

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監督:野口博志/企画:浅田健三
原作:城戸礼/脚本:山崎巌
撮影:永塚一栄/美術:大鶴泰弘
音楽:山本直純
出演:赤木圭一郎/浅丘ルリ子/
   宍戸錠/香月美奈子
   沢本忠雄/二本柳寛/
   西村晃/藤村有弘/
   菅井一郎

時間が出来たときに、プログラムを確認せずフィルムセンターに行くというのが結構面白くて今回が3回目(2006年9月現在)。かかっていたのは、日活第三の男、赤木圭一郎の拳銃無頼帖シリーズ”抜き射ちの竜”。

抗争中の暴力団組長宮地と”抜き射ちの竜”こと剣崎竜二(赤木圭一郎)が、拳銃を握って夜の資材置き場で向き合っている。じりじりと距離を詰める。苦しそうな息遣いが聞こえるが理由はわからない。死角から狙う宮地組幹部を間一髪の早撃ちで撃ち倒し、振り向くや否や組長宮地も射殺する。幹部の手から落ちたライフルが地面で暴発する。敵を倒した竜二もその場に倒れて苦しみだす。ここで竜二が麻薬に犯されていることがわかる。

この冒頭のシーンがかなり良くて、余裕の宮地組長と苦しげな竜二の表情のカットバックと背景の資材置き場の風情がばっちり記憶に残る。”へえ、ヨーロッパ映画にも全然負けてないじゃない”と思わず感心してしまう。

竜二はこの後、中国人ギャング団のボス楊(西村晃)に拾われ、その恩を返すために雇われる。赤木圭一郎と楊の片腕”コルトの銀”こと宍戸錠が微妙なライバル関係を保ちながら、最終的に楊の組織と対立していく様子が描かれ、そこにヒロイン浅丘ルリ子が絡んでくる。

が、はっきり言ってストーリーは他愛ないし、台詞が棒読みだったり演技もわざとらしかったり。今の時代から見て映画全体の完成度はそんなに高くないと思う。

それでも、登場人物の魅力(というかかっこよさ)がそんな未熟な部分をカバーして余りある。特に、宍戸錠が演じる”コルトの銀”はすこぶるかっこいい。クールな殺し屋でありながら男気があり自分の流儀は曲げない。顔全体がつりあがるような独特の笑い方をするが、ソフト帽にロングコートという姿とその笑い顔がめちゃくちゃ良く似合う。

赤木圭一郎に殴られても、笑顔を絶やさず、

「俺の顔に色をつけた奴はこれまでに3人いる。前の二人は墓の下におねんねしているぜ」

なんて台詞をなんのてらいもなく吐くあたりでは、なんか見ていてゾクゾクするものを感じてしまう。そう思ったのは自分だけではないらしく、隣に座っていたおじさんが小さく手をたたいていたのには思わず笑ってしまった。

こういう絵に描いたようなキャラクターを、役者が臆面もなく演じる単純明快さが日活ヒーローアクションの魅力なのだろう。宍戸錠は今回の作品ですっかりお気に入りになってしまった。当時夢中になって石原裕次郎や小林旭、宍戸錠などを追いかけていた観客の気持ちに近づけたかもしれない。

宍戸錠の話しばかりになってしまったが、”第三の男”赤木圭一郎も当然のごとくカッコいい。ちなみに、この作品の公開は1960年の2月14日。ちょうど一年後の1961年2月14日に赤木圭一郎はゴーカートの事故で亡くなってしまった。生きていればもっともっといい作品を残しただろうに、惜しいことをしたものである。★★★★☆

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トムさん、こんばんは。

うむむ、これで完成型ですか。トムさん、日活アクションを熱愛してらっしゃるようですね・笑。かくいう私もかなり好きですが、完成型と言い切る境地にはいまだ達せず。しかし、けしてその棒読み云々が低評価には結びつきません。味のある登場人物に、凝った映像の名場面もたびたび。しびれる映画であることは間違いないです。

FROSTさん、こんにちは。
いやあ、たまりませんね。日活のフィルム・ノワール。

>ストーリーは他愛ないし、台詞が棒読みだったり演技もわざとらしかったり。・・・映画全体の完成度はそんなに高くない・・・。
いえ、これは完成度の問題ではないというか、これはこれで完成しているのだと思います。カメラやライトの職人芸、赤木や宍戸の棒読みは、あれで完成形態なのだと思います。
わたしは、トリュフォーやゴダールが、ハリウッド・ノワールのテイ・ガーネットやラウォール・ウォルッシュなんかを絶賛していたこと、アラン・ドロンがジャン・ギャバンやハンフリー・ボガードをモデルにしてフィルム・ノワール作品に傾倒していった理由などと同様に、日本の日活全盛期は素晴らしいと感じています。
では、また。
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