
”BLOW”
今、ブログで”全米興行収入のちょっと下のランクから掘り出し物の作品を発見する”というチャレンジを再開しましたが、やってみようと思うようになったきっかけが本作品でした。
井筒監督が”こちトラ自腹じゃ!”の中で唯一5つ星をつけていたことに興味を惹かれて鑑賞。2001年の興行ランキングで一瞬6位あたりにつけていたようですが、全く気がつきませんでした。そのときの1位は『千と千尋の神隠し』、2位『ジュラシックパーク3』3位『PLANET OF APES/猿の惑星』。三作とも観ましたが、2位3位あたりよりは、こちらの方が圧倒的に面白かった。『千と千尋〜』は名作だと思いますがそれと比べても遜色はないと思います。こういう作品に気がつかないまま通り過ぎていたのは誠にもったいないことだと痛感ですね。
さて、この作品、1960年代-70年代に米国のコカインマーケットを作り上げた伝説の麻薬ディーラー、”ボストン”・ジョージ・ユングの半生を描いた物語。本人は2015年まで刑務所に服役中だそうな。DVDの特典映像に本人も登場します。
ジョージ・ユングは貧しい家を嫌ってカリフォルニアに移り、マリファナの売人からはじまってあっという間にアメリカの麻薬ビジネスを席捲します。マーケット側では俳優やミュージシャンなどの進歩的な有名人をまず顧客にし、調達の側ではコロンビアの麻薬王と手を結び莫大な量のコカインを確保する。抜群のビジネスセンスだったことが伺えます。70年代ファッションと軽めのノリで次々にビジネスを成功させていくユングを演じるジョニー・デップがとにかくうまい。
ユングは人間的魅力もある人物として描かれています。度胸があり、家族を愛し、仲間を裏切らない。筋は通す。こういう性格は父親譲りらしく、目力が印象的なレイ・リオッタ演ずる父は、ユングが麻薬ビジネスに手を染めていることを知っても一言も責めずにただ「大丈夫か?」と息子の身を案ずるのみ。父が会社経営に失敗して貧乏に転落したことがユングを悪の道に走らせることになったのですが、父は何があっても人を信じるという尊い性格も息子に残していたのでした。
本来は優しい愛情豊かな男が境遇ゆえに悪の道に走り、不運なことにその道で才能を発揮してしまいました。この上ない不幸だなぁ。家中に置き場のないくらい続々と流れ込んでいた金が無くなってしまったとき、彼は本来金など関係なく愛すべきだった人たちまで失ってしまった。刑務所を仮出所して、別れた妻と一緒に暮らす娘にどうしても会いたくて、彼女の登下校を待ち伏せる。その時の格好は安っぽい下品なジャージにペラペラのジャンパー、足元は薄いサンダル。
ジョニー・デップは人生の蹉跌をいやというほど味わったジョージ・ユングという男にほれ込んだらしく、徹底的に研究して実に魅力的に演じました。デップファンの方に言わせれば”なにを今さら”なのでしょうがそのうまさに驚きました。特典に登場するユング本人も、、自分の役を全身全霊で演じてくれたデップを大いに気に入っている様子でした。『パイレーツ〜』などの娯楽作品も楽しいが、こういう作品のジョニー・デップを知ることが出来て良かったと思います。★★★★★
<スタッフ&キャスト>
監督:テッド・デミ
製作:テッド・デミ/デニス・リアリー/ジョエル・スティラーマン
製作総指揮:マイケル・デ・ルカ/ジョージア・カカンデス
原作:ブルース・ポーター
脚本:デヴィッド・マッケンナ/ニック・カサヴェテス
撮影:エレン・クラス
音楽:グレーム・レヴェル
出演:ジョニー・デップ/ペネロペ・クルス
ジョルディ・モリャ/フランカ・ポテンテ
レイチェル・グリフィス/レイ・リオッタ
イーサン・サプリー/ポール・ルーベンス
マックス・パーリック/クリフ・カーティス
ミゲル・サンドヴァル/ケヴィン・ゲイジ
ジェシー・ジェームズ/ミゲル・ペレツ
ダン・ファーロ/トニー・アメンドーラ
ボブ・ゴールドスウェイト/マイケル・トゥッチ
モネット・メイザー/エマ・ロバーツ
ジェームズ・キング/チャールズ・ノーランド
ローラ・グラウディーニ/ゴンザロ・メネンデス
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