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#0097『用心棒』黒澤明監督 1961年日本

用心棒

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映画は、"見せぬが華"ってところがあると思うのです。見せないことが観客のイマジネーションを掻き立てて、実際に見えているものより何倍も奥深く面白い物語を作り上げる。最近の映画は、このあたりのニュアンスが違うようで、見せることこそが価値観。大金を惜しみなく投入し、最新鋭のコンピューターを駆使して、世の中に存在しないものだってなんだって、とにかく力づくで見せる。もちろん、例外もありますが、マスを巻き込むメジャー作品は大体”見せる映画”が多い。しかし、それが必ずしも作品の質の向上につながらないのがつらいところです。

黒澤作品では、前回アップした『羅生門』などは観客に考えさせ想像させる見せない映画の類ではないかと思います。黒澤監督は、登場人物の顔にかかる木々の影まで計算し、非常に微妙な形で彼らの心象を表現します。同じ出来事が何通りにも再現され、観客は一生懸命それらをつなぎ合わせたり照らし合わせたりしながら映画の意図を読み取ろうとするのです。『羅生門』における黒澤監督の見せない手腕は超一流。

ところがこの『用心棒』。何から何までまる見え。まる出し。

人物の後ろにも場面の後ろにも出来事の後ろにも、スクリーンに見えるもの以外の要素はまるでなし。そして、驚くべきはこの映画が、それにもかかわらず、最高に面白いということです。良い映画とか素晴らしい名作とかそんな言い方じゃなくて、これ、面白い!実に痛快な時代劇

痛快とは、痛いほど快いと書きますが、なにがそんなに痛いほど快いのかというと・・・。

舞台設定がまず傑作。宿場大通りの目と鼻の先に、敵同士の博徒一家が陣取っています。右手に女郎夜清兵衛、左手には新興やくざ新田の丑虎。そのちょうど中間点に、桑畑三十郎(三船敏郎)が居座る居酒屋。道向かいには、腰ぎんちゃくのおかっぴきがいて、こいつが『ここのつでござ~い~』とか、時を告げると、両サイドからわらわらとヤクザ者が出てきてにらみ合う。居酒屋の窓を開けるとその様子がパノラマ劇場みたいに見渡せる仕掛けになっています。

つまり、観客はボクシングの特等席でかぶりつきになって試合観戦するようなもの。

そして登場人物はというと、実に見事にデフォルメな面々。品性のかけらもない博徒の親分と、絵に描いたような凶悪ヅラの手下ども。主要人物でも、丑寅の弟亥之吉(加藤大介)の眉毛なんかつながってるし、末弟の卯之助(仲代達也)は、見た目は優男ながら、マフラーに懐手その手には6連発の短銃と、漫画などに登場する典型的な悪役風情。

現実感などまるで無視した舞台設定と人物設定。黒澤監督の腕によりをかけたセッティングで、万全に仕込まれた極上のエンタテインメントをトコトン見物する。『用心棒』はそんな映画。

で、その画竜点睛、桑畑三十郎その人と言えば・・・、これがまた最高に魅力的。二つの博徒一家を片付けて町に平和を取り戻す。大義名分はそういうことですが、そのプロセス自体が楽しくて仕方がない様子。自分の作戦とことの展開にワクワクドキドキの様子がまあかわいい。

両の手を懐に突っ込んで、肩をグリグリって回す姿とかね、丑寅の屋敷に乗り込んで上がりがまちにどかっと腰掛けてチラッと奥を流し見たときの目元の魅力。極めつけは、クライマックスで卯之助の短銃(ピストル)と対峙した時。恐れもせず、すたすたと卯之助の前まで歩き、ニカっと笑うと、おもむろにススッと横移動。射撃をかいくぐると懐の出刃包丁をドカッっと投げてピストル封じ! この一連の動作、びりびり来ますねぇ。

通常は女優さんのグッとくるような仕草を見つけるのが映画鑑賞の楽しみの一つなんですが、この『用心棒』では三船敏郎にグッときっぱなし。強いわ、茶目っ気あるわ、知恵も働くし、色気もあるわで言う事なし。最高。

完成した作品を鑑賞する立場からすると、なんにも考えずに大喜びしてれば良いんですが、作る側にとっては、観客のイマジネーションに頼らずに、一方的にこれだけの面白さを提供するのってそんなに簡単に出来ることじゃないと思うのです。

黒澤監督の作品は一作観るごとに驚かされますが、『用心棒』のような作品も見せれば『羅生門』のような作品も見せる。実に様々なスタイルを見せてくれるところが本当に凄い。次の作品を観るのが楽しみです。

で、次はなにって、『椿三十郎』に決まってるじゃないですか^^。★★★★★

■映画評の宝庫:オカピーさんの『用心棒』評

<スタッフ&キャスト>
監督:黒澤明
製作:田中友幸
菊島隆三
脚本:黒澤明
菊島隆三
撮影:宮川一夫
美術:村木与四郎
振付:金須宏
音楽:佐藤勝
監督助手:森谷司郎/出目昌伸/吉松安弘/和田嘉訓
記録:野上照代
照明:石井長四郎

出演:三船敏郎/仲代達矢/東野英治郎/司葉子
    山田五十鈴/加東大介/河津清三郎/志村喬
    太刀川寛/夏木陽介/藤原釜足/沢村いき雄
    渡辺篤/藤田進/山茶花究/西村晃
    加藤武/中谷一郎/大橋史典/堺左千夫
    千葉一郎/谷晃/土屋嘉男/清水元
    佐田豊/大友伸/天本英世/大木正司
    寄山弘/大村千吉/本間文子/羅生門

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(2007/11/09)
三船敏郎;東野英治郎;山田五十鈴;加東大介;仲代達矢

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オカピーさん!

オカピーさん!こんばんは!ついさっき『椿三十郎』もアップしました・笑。黒澤作品を全部観たわけではないのですが、単純明快な面白さでは確かにずば抜けてますね。海外作品まで含めてもこれほど面白い映画はめったにないと思います。個人的には『椿三十郎』よりこちらでした。三船敏郎良いわ。
TBやっぱりダメですか。ご迷惑おかけします。こっちに記事のURLはっときますね。

TB反映されず。

ご無沙汰しておりました。^^;
リメイク版「椿三十郎」の公開であちらこちらで三十郎シリーズの記事UPが目立ちます。
私が上げたのは随分前ですし、ブログ用に書いた記事ではないので相当良い加減ですが、TB致しました(が、反映されていないみたいです)。
最近はfc2との相性も良いと思っていたのですが。TT

それはさておき、黒沢明はくどいのが欠点と思っているのですが、本作では全くそれがないですね。
黒沢明全作品の中で、初見の印象で一番面白かったのは「用心棒」です。「七人の侍」は観直してみて「すげーや」と思いましたけど、初見の時はまだ餓鬼だったから。

遊びに来てくださいね。^^
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