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#0098『郵便配達は二度ベルを鳴らす』ルキノ・ヴィスコンティ監督 1942年イタリア

郵便配達は二度ベルを鳴らす
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<作品関連情報>
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)


現在、『椿三十郎』('62 黒澤明監督)の感想記事を執筆中ですが、もう少しかかりそうなので、ヨーロッパ映画の記事をひとつ転載。今回はイタリア映画。昨年9月にオールド・ムービー・パラダイス!に掲載しました。この作品は、ヴィスコンティ版以外に、ラナ・ターナーが魅力的なテイ・ガーネット版('46)も見ましたが、男と女の愚かさが切なすぎる本作の方がお気に入りです。クララ・カラマーイの生活と人生に疲れ果てた感じが記憶に残ります。

以下、転載文

ネタバレ!ご注意ください。

ヴィスコンティといえば、『夏の嵐』『ルードヴィヒ』など19世紀後半あたりの豪華絢爛コスチュームドラマを思い浮かべます。彼の出自がそもそもミラノの貴族家系ですから、こういう作品群は言ってみればホームグランドで勝負していると言うことになります。

しかし、このデビュー作はそれらとは全く異なり、庶民階層の姦通・夫殺しなど生々しいものを題材としたネオリアリズムの先駆とも位置づけられるハードな作品でした。

放浪生活を続ける元整備工ジーノ(マッシモ・ジロッティ)が、とあるカフェに流れ着き、若妻ジョヴァンナ(クララ・カラマーイ)と恋に落ちるところから物語りがはじまります。

ジョヴァンナは過去の悲惨な生活がトラウマとなっており、何よりも地に足の着いた堅実な生活が大切。カフェの主人である夫ブラガーノは年が離れている上に横暴ですが、彼女は不満が爆発しそうになりながらも生活のために我慢しています。

一方のジーノは放浪の人。大体、放浪癖のある人間と言うのはロマンティストに見えますが、実はひとところに留まることによって生じる人間関係のしがらみや責任などに関わりたくないと考えていたりするもので、ジーノもそういう人間のようにも見えます。

この二人、愛し合ってしまったものの、惚れた腫れたの後にさてどうしようかと考えたときに答えがない。いったんは強引に駆け落ちに持ち込むジーノですが、結局ジョヴァンナは不安定で先の見えない生活に踏み切ることが出来ず、土壇場で今の生活にとどまります。

飛び出したジーノは、行商人スパニョールと出会います。このスパニョールは、原作には登場しないオリジナルキャラクターだそうですが、放浪の象徴でありジーノの分身。安定の象徴であるジョヴァンナと対になるキャラクターとも見え、安定と放浪のいずれを選択するかというジーノの葛藤が、より鮮明に映像化されます。スパニョールは彼に放浪生活に戻るよう説得を重ねます。

しかし、偶然ジョヴァンナと再会したジーノは、やはり想いを断ちがたく、再び彼女への愛に突っ走ります。一度はジーノへの想いを捨ててしまったように振舞っていた彼女もついにはそれに応えます。

さて、そうすると行き着く結論はひとつしかありませんね。ジョヴァンナにはどうしても今の生活が必要で、ジーノとも一緒に暮らしたい。ジーノもどうしてもジョバンナと一緒になりたい。そうすると邪魔になるのはブラガーノ。

かくして、哀れブラガーノは二人の手により自動車事故に見せかけて殺されることになります。酒に酔い、車を降りて夜道に休むブラガーノ。車のライトに照らされて闇の中にブラガーノだけが浮かび上がります。その闇の中で殺しの段取りを相談するジーノとジョヴァンナの声。なんと怖い演出。

ジョヴァンナにとって、ブラガーノ殺しは”願望成就”。ついに邪魔者のいない安定生活を手に入れたと喜びます。警察での事情聴取の後、思わず刑事に握手の手を差し出してしまうジョヴァンナ。

一方、ジーノは自分でも予想しなかったほど激しい罪悪感に見舞われ、挙句の果てに店を売ってよその土地に移ろうと言い出します。しかし、せっかく理想の生活を手に入れたジョヴァンナにとって、そんな話はもってのほか。彼女はジーノを説き伏せ、店の再開を宣伝するためにバンドを雇いパーティを開きます。

このパーティは彼女の願望成就の祝いの宴でもあります。しかしパーティが盛り上がる中、ジーノは部屋にこもって罪悪感にもだえ苦しみます。そして、ふと外を見るとそこには噂を聞いて訪ねてきたスパニョールの姿が。

ここがジーノにとって二度目の選択にして最後のチャンスでした。ジョヴァンナ(安定)をとるか、スパニョール(放浪)をとるか。しかし、スパニョールの口からジョヴァンナに対する非難を聞いて、思わず彼を殴り倒してしまったジーノは、ついにスパニョールと訣別。思い返して呼び止めるジーノの声を無視してスパニョールは去ってしまいます。こうして、ジーノの最終選択(=悲劇の選択)は半ば勢いでなされてしまったのでした。

パーティが終わって散らかった店内。まだ罪悪感や迷いを払拭できないジーノは、ジョヴァンナの手を振り切って部屋にこもってしまいます。暗がりの中一人ぼっちでパーティの残り物を一口食べ、絶望のあまりそのままテーブルに突っ伏してしまうジョヴァンナの姿。

彼女が夢見て、夫を殺してまで手に入れたジーノと安定した生活。しかし、まさにそのジーノのために、彼女の幸せは早くも崩れ去ろうとしている。このシーンは、胸にぐっと迫ってきます。

ジーノは心の平和を得られないまま、現実から逃避し、仕事もせず、酒を飲み、他の女に走ります。以前の着の身着のままではなく、仕立てのいいスーツを着ていますが、身なりのよさが心中のむなしさを逆に強調するようで、ジーノの姿はピエロのように見えてしまいます。

ジョヴァンナにとってジーノは今や理想の伴侶ではなく、殺したブラガーノと同じような悩みの種になってしまいました。ジーノをなじ、「私を裏切れば警察にブラガーノ殺しの真相を話す」と口走るジョヴァンナ。しかし、実はこの時点ですでに警察は二人に不審の目を向けて捜査を開始していたのでした。

捜査の手が間近に迫っていることに気付いた二人は、ジョヴァンナがジーノの子供を身篭っていたことをきっかけに再び心を交わせます。ついに店を捨てる決心をして自動車で逃亡を図る二人ですが・・・・・・。

ジョヴァンナとジーノの姿があまりにも愚かで虚しい。でも、それだけに深く心に刻み付けられる傑作。

ヴィスコンティが由緒正しい貴族の出身であることを考えると、全く無縁な庶民層を舞台としてこれだけリアルな映画をつくりあげたことは驚きですね。「初期作品におけるリアリズムの追求が、後のコスチューム劇のクオリティを支えている」ということですが、ヴィスコンティの純粋な想像力がいかに優れていたかをうかがい知ることが出来る名作だと思います。★★★★☆

<500円VD情報>
コズミック版の500円DVDで見ましたが、後半のコントラストがきつくなった映像がかなり辛い。俳優の顔が白抜けしています。お勧めできず。。。

<スタッフ&キャスト>
監督:ルキノ・ヴィスコンティ
原作:ジェームズ・M・ケイン
脚本:ルキノ・ヴィスコンティ/マリオ・アリカータ/ジュゼッペ・デ・サンティス
    ジャンニ・プッチーニ/アントニオ・ピエトランジェリ
撮影:アルド・トンティ/ドメニコ・スカラ
音楽:ジュゼッペ・デ・サンティス
 
出演:マッシモ・ジロッティ
    クララ・カラマーイ
    フアン・デ・ランダ
    エリオ・マルクッツオ

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テーマ : ヨーロッパ映画
ジャンル : 映画

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ぶーすかさん、復帰おめでとうございます。お待ちしてました。今年もよろしくお願いします。
この映画は、逃げ場もなく生活に追いつめられたジョヴァンナの心情と、自分の罪にうろたえるジーノの風情が強く印象に残りました。これほどの洞察力があれば、中産階級の物語も簡単に描けそうですが、面白いもんですね。

郵便配達人なんて全然出てこなかった…

私もヴィスコンティというと豪華な貴族たちの生活を描いた作品をすぐ思い浮かべてしまいますが、「家族の肖像」などイタリアの庶民の生活をリアルに描いた作品も印象的ですね。豪華と超貧困…とても極端な感じがしますが、中産階級をあまり描かないのが巨匠なのかなぁ。
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