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#0108『巴里の屋根の下』ルネ・クレール監督 1930年フランス

巴里の屋根の下

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久しぶりに“オールド・ムービー・パラダイス!”から転載記事をひとつ。

2006年5月に掲載した記事で、ルネ・クレールの『巴里の屋根の下』。アルベール・プレジャンの歌声も楽しい詩的レアリスムの名作ですね。少々、「一生懸命調べて書きました!」って感じの記事ですが、一応オリジナルのままで転載。ご容赦ください。


以下、転載文


1930年代フランス映画黄金時代の幕開けとなった記念すべき作品。フランス初のトーキー作品でもあります。

30年代のフランス映画の特徴に”リアリズム”というキーワードがあります。同じリアリズムでも、戦後のイタリア映画などでは、ロケを多用した大変現実的な映像が見られますが、いわゆるリアリズム=現実描写という言葉から連想されるのとはちがい、この作品の舞台となるパリの町並みはすべてセットで作られています。美術監督ラザール・メールソンは、この作品で目に映る限りのすべての風景をセットで作り上げました。彼はクレールの「巴里祭」やジャック・フェデー「外人部隊」「女だけの都」など歴史に残る名作の美術も担当しています。

そのメールソンが作ったパリの町並みは実に魅力的です。冒頭のパリの遠景からアルベール(アルベール・プレジャン)が歌う街角にクローズアップされる間、画面に映る街の風情が実に素敵です。よーく見ると建物のサイズが少し小さかったり、壁のラインがちょっと傾いていたりするのですが、不思議とそこになんとも言えない説得力があり、物語の舞台として独特の味わいを生み出しています。

歌う人々の姿越しに向こうのアパートの窓で洗濯ものをパタパタと干している人がいたり、カメラがクレーンにのって上昇していく間に、アパート各階の部屋の奥まで覗けたり。また、天井の煙突から炊事の煙が立ち昇っていたりもします。こういうディテールまで丁寧に作りこまれ、いかにも当時のパリらしい雰囲気が漂います(いや、実物は見たことはないですけどね)。

この時代の映画作りとして、実際に存在する風景・場面でもわざわざセットを組んで撮るということが頻繁に行われたそうです。ほんの少しの建物の線の出し方とか、ロケでは撮影不可能な角度からカメラに絵を収めることで、客観的なリアリティというよりも、監督や脚本家の美的感覚をリアルに表現する、そういう意味でのリアリティを追求した結果の工夫でした。

1930年という時代にこれだけの映画技術が尽くされていたということを考えると、このセットを見るだけでもこの作品を見る価値は十分にあるのではないかと思います。

フランス初のトーキーとしてこの作品を演出するときに、ルネ・クレールは会話・音声をすべてのシーンに盛り込まず、6割方に音声ををつけず音楽などをバックに演技をさせたのですが、その演出が成功していることは疑う余地がありません。このあたり、キネマじゅんぽうさんの記事がとてもわかりやすいのでぜひご参照ください。

「音なし演出」で特に気に入ったのは、アルベールとルイ(エドモン・T・グレヴィル)にちょっかいを出してきたチンピラの相手をどちらがするかでけんかになってしまうシーン。サイレントのコメディそのものの楽しいシーンです。こういう場面でも舞台となる酒場のセットの精巧さや小道具のしゃれた使い方が、ちょっと奇抜な”サイレント的なトーキー演出”をしっかりとサポートしています。

もうひとつ印象的なのは、アルベールが歌うシャンソンもとても素敵なこと。登場人物の一人が”耳にこびりついて離れん!”と言うとおり、見終わってから1ヶ月たっても忘れられないメロディです。

今まで見たフランス映画でははじめて楽しく見終わった一本でした。(ん?ラストがかわいそう?アルベールにとっては間違いなくあれが一番いい決着でしょう。)★★★★☆

監督:ルネ・クレール
脚本:ルネ・クレール
撮影:ジョルジュ・ペリナール/ジョルジュ・ローレ
音楽:ラウル・モレッティ/アルマン・ベルナール

出演:アルベール・プレジャン/ポーラ・イルリ/ガストン・モド/エドモン・T・グレヴィル

詳しい作品情報はこちら
⇒allcinema
⇒IMDb(英語)

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ジャンル : 映画

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館長こんにちは。

館長がパリなんかにいくと、見たいもの聞きたいもの、触りたいものだらけで大変でしょうねぇ・笑。
この記事を書いた当時、フランス映画史を一生懸命研究していた関係で、知ったか記事になってますが、セットやトーキーに関する技巧面だけでなくて、ドラマとしてとっても洒落てて、人間味があっていいですよね。そして、やっぱりあの歌。素朴で軽やかでずーっと耳に残ってます。クレールの中でも特に好きな作品です。

なんとまあ、あのパリの風景がセットであたっとは!
大変味のある、だからこそリアルな情景でした。以前夫と旅行したパリの雰囲気とはまた違ってなんともいえない感慨を覚えたものです。

素晴らしい作品であるのに、拙宅で記事を書いたときには全くリアクションがありませんでした(涙)。FROSTさんがこちらに転載してくださるのを首を長くして待っていた次第です(笑)。TBを送らせていただきました。
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