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#0112『チート』セシル・B・デミル監督 1915年アメリカ

チート
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今回は新作記事のアップです。1915年、巨匠セシル・B・デミル監督による『チート』。日本の大俳優早川雪洲の出世作です。雪洲が白人女性に焼きごてで刻印するというショッキングな場面が話題になりました。

かなり昔の映画ですので、簡単にストーリーをご紹介しておきましょう。

株式仲買人リチャード・ハーディ(ジャック・ディーン)は全財産を賭けた大勝負の最中だが、そんな彼を尻目に妻エディス(ファニー・ウォード)は、やりたい放題の浪費三昧。妻を熱愛し、彼女のためだけに仕事に励むエディスもさすがに堪忍袋の緒が切れ、ついつい彼女に小言を言ってしまう。夫に浪費をたしなめられた彼女は面白くない。遊び友達であるビルマの象牙王アラカウ(早川雪洲)に何かと愚痴をこぼします。

ある日、パーティで株の儲け話を持ちかけられたエディスは、遊ぶ金欲しさの誘惑に負け、赤十字の会計係として預かっていた基金の金1万ドルをつぎ込んでしまった。しかし、エディスの投資は失敗。その上基金の金も翌日には返済しなければいけなくなる。

窮地に陥ったエディス。彼女に邪まな想いを寄せるアラカウが援助を申し出る。わらにもすがる思いでアラカウから1万ドルを借り受けたエディスは、なんとか基金の金を返済しことなきを得る。アラカウへの返済期日となるが、リチャードの投資が大成功。エディスは真相を隠して夫に1万ドルをねだり、小切手を受け取ってアラカウに金を返しに行く。

しかし、エディスを我が物にすることが目的だったアラカウは小切手を受け取らず、彼女への思いを遂げようとする。もみ合いになった上、アラカウはなんとエディスに焼きごてを押し当てる。アラカウの所有の印である焼印がはっきりと彼女の左肩に残る。悶絶しつつもエディスはアラカウの銃で彼の肩を射ち何とかその場を逃れる。

直後に妻の行動を不審に思ったリチャードが現われる。アラカウが血まみれで倒れる現場に、自分の振り出した1万ドルの小切手を見つけたリチャードは事情を察し、駆けつけた警察にアラカウを撃ったのは自分であると告げる。そして、リチャードの裁判が始まる。。。

”雪洲””焼きごて”ばかりがクローズアップして語られますが、観て驚き、作品として非常に緊迫感あふれる傑作でした。

撮影面で印象的なのは、冒頭の暗い室内でアラカウが置物に焼きごてで刻印をしているシーンの明暗感(ストーリーの暗示としても秀逸)、およびその焼きごての本番シーン。このシーンは、エディスを組み伏せた雪洲の髪振り乱した形相と、瞬間一筋立ち上る煙というごく簡単な映像だけで、ジュッという音と絶叫が聞こえてくるような壮絶なシーンを実現しています。サイレントならではの名シーンです。

しかし、それ以外映像面では単純な方で、ほとんど水平の固定カメラで人物の全身もしくは上半身を撮るという感じ。観客の視線は舞台を見ているのとほぼ同じなので、この緊迫感の源はシナリオと演出の妙。

エディスの物欲、リチャードの愛情、アラカウの冷酷、三人三様の有り様をくっきり描きわけ(演出も見事です)、それが前半のクライマックスである焼きごてシーンにぎゅっと収斂するのです。強烈なインパクトを持つこのシーンも、そこにいたる筋運びの巧妙さがあってこそ。

また、後半の法廷シーンでは、自分の身代わりとして裁判にかかった夫を思い改心したエディスとリチャードの夫婦愛と、冷酷な東洋人への憎悪に二極化されてこれまた見事な対比となります。そして、真相を知り荒れ狂う傍聴人たちが津波のようにアラカウに襲いかかる、これまたインパクトのあるシーンにきっちりつながります。

脚本を担当した、ジャニー・マクファーソンという人は、デミル監督に信頼されていたらしく、1910年代のデミル作品の多くに関わり、20年代の巨編『十誡』や『キング・オブ・キングス』でも脚本を担当しています。彼のシナリオとデミルのメリハリの利いた演出がこの作品の真髄であるといえましょう。

また、主役早川雪洲とファニー・ウォードの演技ももちろん秀逸。
デミルが本作品の製作に当たって、当時舞台(剣戟芝居だったらしい)に出ていた早川雪洲を発掘します。雪洲は当時まだ市民権を得ていなかった活動写真などに出るつもりはなく、とんでもない出演料を吹っかけます。しかし、デミルはそれを二つ返事で了承し、映画史に残る名優早川雪洲が誕生しました。雪洲はこの映画をきっかけにハリウッドのスターにのし上がったわけですが、抗う女性に焼印を押すような極悪人にもかかわらずこれほどの人気を得たのは、やはりその美男子ぶりゆえ。あのふてぶてしく、冷たく、謎めいた視線が当時のアメリカ女性には東洋の魅力を感じさせたのでしょう。「雪洲がスクリーンでこちらを見るから」と、女性たちが入念に化粧をして映画館に向かったという逸話は有名。しかし、日本では、「女に焼印を押すような非道な日本人がいるはずがない」と大変な反感を招き、国辱俳優とされ、その後長く日本に帰ることができなくなりました。在米邦人からの抗議も激しく。製作当初は日本人”ヒシュル・トリ(鳥居?)”という設定でしたが、1918年にビルマの象牙王”ハカ・アラカウ”と変更されたそうです(このDVDは変更後バージョン)。ということで、この作品も結局現在まで公開されていません。

さらに、雪洲に加えて相手役のファニー・ウォードがうまい!小悪魔的な若妻から、借金に追い込まれて苦悩にのた打ち回る姿、最後の法廷シーンで夫の無実を訴えるシーンなど芝居上手。ブロードウェイやボードビルでコメディエンヌとして活躍していた彼女の映画デビューはこの『チート』。その後26作品に出演していますが、彼女のデータを調べてみて驚いたのは、なんと、1871年生まれ、この作品のときは44歳だったということ。早川雪洲より18歳も年上だったんですねぇ。いつも、実年齢より20歳~30歳若い役を演じていたそうですが、さすがに無理になって女優を引退したのが49歳のとき。引退後パリで”若さの泉”という美容室を経営していたということです。。。
女性はすごい(いや、怖い)。★★★★☆

<スタッフ&キャスト>
監督:セシル・B・デミル
製作:ジェシー・L・ラスキー
脚本:ヘクター・ターンブル
ジャニー・マクファーソン
撮影:アルヴィン・ウィコッフ

出演:ファニー・ウォード
    ジャック・ディーン
    早川雪洲
    ジェームズ・ニール
    阿部豊

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