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#0113『素晴しき放浪者』ジャン・ルノワール監督 1932年フランス

素晴しき放浪者
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現在『蜘蛛女のキス』の記事を書いておりますが、今日中に間に合いそうにないので、『素晴しき放浪者』を転載しました。

2006年8月の記事ですが、この作品は、”ホントにクラシック映画って面白いなぁ”と感じさせてくれた映画で、見終わって少なからず興奮気味、文章も錯乱気味ですね・笑。

未見の方にはストーリーすら良くわからない文章になっていますので多少補足しますと。(ネタバレしてます)

ここに登場するレスタンゴワ氏(シャルル・グランバル)というのは、パリのセーヌ河沿いで書店を経営する紳士なのですが、ある日、目の前の川に飛び込んだ浮浪者を救出するんですね。この浮浪者がブーデュ(ミッシェル・シモン)。助けられた彼は、そのままレスタンゴワ氏の元に居候することになるのですが、ブーデュには世間的な常識や配慮が一切ないわけです。結果、文化人であり常識人であるレスタンゴワ氏の生活をブーデュがめちゃくちゃにしていくわけですが、これが実に愛すべき自由人ぶり。食事にけちをつけたり商売の邪魔をするのは茶飯事で、高価な本につばを吐き、婦人や女中(レスタンゴワ氏の愛人)まで誘惑する始末。最後は、その女中と結婚することとなって、ついに彼も所帯を持って年貢の納め時かと思ったのもつかの間、新婚の河くだりの船から落ちてどこかに流れていってしまう。なんとも天真爛漫な作品でした。

以下、転載文

ネタバレですよ

もう10日以上も前に観終っているこの”素晴らしき放浪者”。ずっと書きかけのレビューを抱えたままアップできずにいます。面白くなかったわけじゃなくてですね、あんまり見事なのでどう書いていいものやら・・。

” ミッシェル・シモン演ずる放浪者ブーデュがとにかく素晴らしい。言う事・やる事・容姿・風貌・着ているものまで、すべて気に入った。というのも、自分の中にブーデュをうらやましいと思う気持ちがあるからで、ひょっとしたら(レスタンゴワ氏に代表される)現代人はみんな、多かれ少なかれそんなことを感じるんじゃないか”

と、書きたいことはこの程度なんですが、あまりの作品のおおらかさを前にしてなにを書いても小賢しい感じがして、書いては消し、書いては消し・・・。

最近読んだ、中条省平著「フランス映画史の誘惑」に、ジャン・ルノワールについて「<詩的レアリスム>という狭い美学的基準には到底おさまりきれないスケールの大きな作家」とありますが、本作品を観て全く納得しました。

伸びやかというか大らかというか、時間とか空間とか常識とか、すべてから自由な主人公ブーデュの姿が、なんともいえない幸福感を与えてくれます。

レスタンゴワ家で散々追い掛け回していた女中アンヌ・マリと結婚することになって、結婚式後の川くだりの船上、ミシェル・シモンの顔芸は最高ですよ。「あれれ、なんか変なことになってきたぞ」といわんばかりの困り顔は絶品。おかしさも最高潮です。

レスタンゴワ家ですったもんだの挙句、だんだん文明人化して、さすがの”素晴らしき放浪者”ブーデュもついに年貢の納め時かというときに、あろうことか

”流れてきたはすの花を拾おうと手を伸ばす”
”船が転覆して川に落ちる”
”そのままブーデュはどこかに流れていってしまう”
”流れ着いた先で案山子の服を着込んで、また放浪生活に戻っていく”

・・・・・・て、最高でしょう、これ。

この一連のくだりは、テンポといいリズムといい、今までの映画で観たこともないほどの見事なシーンです。このあたりは、百万言を費やしても映像を観ない限りはほとんどなにも伝わらないと思いますんで、ネタバレを恐れず書いちゃいましたけど。

このシーンから発散する爽快感というか幸福感というかそういうものをきっちり受け取りたいなと、とにかくそう思いました。

なんか、書いてることが支離滅裂ですけどね、とにかくこのシーンだけは見たほうが良いと思いますよ。自分の中の深いところにある願望がゆさぶられてそこから幸せな気分になります。いやぁ、ルノワールってホントにすごいわ。★★★★★

<スタッフ&キャスト>
監督:ジャン・ルノワール
原作:ルネ・フォーショワ
脚本:ジャン・ルノワール
撮影:マルセル・リュシアン
音楽:ラファエル/ヨハン・シュトラウス
出演:ミシェル・シモン
    シャルル・グランバル
    マルセル・エイニア
    セヴェリーヌ・レルシンスカ
    ジャン・ダステ


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素晴らしき放浪者素晴らしき放浪者
(2000/02/25)
ミシェル・シモン、シャルル・グランバル 他

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