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#0117『雄呂血』二川文太郎監督 1925年日本

雄呂血
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最近また、1920年代くらいの映画を良く見ていますが、日本では大正時代。和暦で聞くとその古さがより実感できますね。このころの日本映画というと、まったく観た事がありませんでした。”バンツマ”坂東妻三郎の名前は聞いたことがありましたけど。田村正和のお父さんですよね。

この映画は、日本映画の中でもかなりエポックメイキングな作品。大体初期の映画では、正義は正義、悪は悪、そして正義が必ず(圧倒的な強さで)勝つというわかりやすい作品が主。でも現実の人間社会はそう単純に物事運びませんよね。したがって、映画も成熟とともに現実世界の道理に近づいていきます。

冒頭に、”世人、無頼漢と称する者必ずしも真の無頼漢のみに非ず。善良高潔なる人格者と称さるるもの、必ずしも真の善人のみに非ず”とあるように、『雄呂血』のストーリーはそれまでの日本映画にはない現実の厳しさ・冷たさを語るものとなりました。

正義と義侠の心にあふれながら、ほんの少しの我慢が足りなかったり、考えの足りない行動が原因でどんどん悪人の汚名を着せられ、身を滅ぼしていく若侍九里富平三郎(坂東妻三郎)の物語。まあ、現実的というか、現実でもそこまでは・・・というくらいひどいことが続きますけど、展開のメリハリが効いててノリがよい筋運びなのですぐに物語に引き込まれてしまいました。だんだんよれよれになっていく阪妻の演技が哀愁こもってていいんですよ、また。表情なんかも意外と自然。

もうひとつ感心したのは映像。製作総指揮の”日本映画の祖”牧野省三が映画を語るに”1スジ(シナリオ)、2ヌキ(撮影)、3ドウサ(演技)。その二番目の撮影がかなり凝ってます。スーパーインポーズとかフェードなんかも使う。”ならず者”と恐れられるようになった平三郎が、さらわれてきたお千代に迫るシーンで、悪心にはやる平三郎をズームイン、正気に返る彼をズームアウトする場面なんか、平三郎の心の葛藤がものすごくよく表現されてるんですよね。

クローズアップなんかもすごくうまいと思うんですよ。この時代、アメリカ映画でもこんなに撮影凝ってたかなぁ。かなりのレベルであることは間違いない。で、やっぱり極めつけはクライマックスの大立ち回り。この場面素晴しい。クレーン撮影なんでしょうね。俯瞰とスリリングなカット割りで大迫力。これはすごい。他にも、半鐘を鳴らす役人のシルエットがドライヤーの『バンパイア』みたいだったり、結構いろんなところで感心しました。そうそう、台詞(サイレント映画用にポイントになるせりふを字幕で見せるもの)の字体を変えたり、大きな字にしたりで感情を表現するなんてこともしてます。

もうひとつ初体験だったのは活弁。このところずっと見てるチャップリン短編集のDVD-BOXに、永井一郎氏の活弁っぽいナレーションが入っているんですけど、今回見たVHSはプロ中のプロ名活弁士松田春翠氏のフル活弁つき。見事な芸ですね。最後の立ち回りの最中は一切しゃべりを入れないところなどもツボを心得ていらっしゃる。

登場人物のせりふだけじゃなくて背景とか心情とか全部見事に弁じてくれるので、トーキーよりわかりやすいくらい。日本の映画ファンに限ってはサイレントからトーキー化されたとき、かえって映画がわからなくなったんじゃないかしら。そう思えるくらいでしたね。

でも、これ良し悪しなんだろうなぁ。この作品と松田春翠氏の活弁はぴったりマッチしていて違和感はありませんでしたが、作品の性質によってはじっくり画面から映画の風情を読み取りたいと思うこともあるはず。なんていってもそれがサイレント映画の楽しみですからねぇ。そういう作品でこうやられちゃちょっと困るかも。

とにかく、『雄呂血』は面白かった。ちょっとクセになりそうですねぇ。機会があれば一度ご覧になったほうがいいと思いますよ。絶対。★★★★☆

<スタッフ&キャスト>
監督:二川文太郎
原作:寿々喜多呂九平
脚本:寿々喜多呂九平
撮影:石野誠三
総指揮:牧野省三
助監督:村田正雄/宇沢芳幽貴
出演:阪東妻三郎
    関操
    環歌子
    春路謙作
    中村吉松
    山村桃太郎
    中村琴之助
    嵐しげ代
    安田善一郎
    森静子

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おろち

これは本当に見事な映画です
やがて暗黒時代(昭和恐慌、中国戦争大二次大戦)に向かっていくのを暗示していたというか、予言していたような映画で、とにかくクライマックスはチャンバラ・立ち回りを越えて舞踏のようでしたよね
★引っ越しました!★
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