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#0121『サボタージュ』アルフレッド・ヒッチコック監督 1936年イギリス

サボタージュ
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前回に引き続き2006年1月の記事。ヒッチコック痛恨の一本となってしまった『サボタージュ』を転載します。主演女優のシルヴィア・シドニーについて一言も触れていませんが、その後フリッツ・ラング監督の『暗黒街の弾痕』を見て大ファンになってるんですよね。この作品ももう一回観ないといけませんな。


以下、転載文


街のしがない映画館主ヴァーロック(オスカー・ホモルカ)の正体は破壊工作員。同居している妻(シルヴィア・シドニー)も義弟スティービー少年(デズモンド・テスター)もそのことを知らない。うすうすその事実に感づいているスコットランド・ヤードは近所の青果店に店員として刑事を送り込み、常に監視を続けている。ある日、ピカデリーサーカスでの爆弾テロを請け負ったヴァーロックだが、刑事の目が厳しく時限爆弾を運ぶことができない。年端も行かないスティービー少年をだまして爆弾を運ばせることを思いつくのだが・・・

破壊工作員・ヴァーロックはかなり魅力的。オスカー・ホモルカは、この作品が映画デビューですかね。1898年生まれとありますから製作時は38歳。後にはマリリン・モンローの『七年目の浮気』や『戦争と平和などに出演しています。

こわもてながら意外と意気地なしで、後半に見せるいかにももっともらしいが責任逃れ以外の何ものでもない妻への言い訳が、”小物のテロリスト”という感じをよくあらわして良い。

同時期の『三十九夜』『バルカン超特急』などに比べると、ヒッチコックらしいシャレが少なくちょっと重い感じがします。毎度のことながら、このテロリスト集団が何者で、何を目的として活動しているのかなど背景は明らかにされていないので、観客の意識は完全に"少年スティービーと時限爆弾の成り行き"がどうなるのかに集中するのですが、その部分のストーリー作りにヒッチコックは大きな後悔を残した作品となってしまいました。・・・なんて書いても観ていない人には全然何のことかわかりませんよね。困ったな。

要は、この映画でヒッチコックは自分自身のサスペンス哲学のタブーを犯してしまい、そのことで当時の映画ファンからもかなりたたかれたということなんですが、私の筆力ではネタバレしないと書けませんので、下の方に完全ネタバレで改めて書かせていただきます。(とはいっても、allcinemaの解説で全部ネタばらしちゃってますけど、しかも解釈がなんか変だし^^;。)にほんブログ村 映画ブログへ


ともかく、佳作であることは間違いません。ヒッチコックが後々まで失敗を悔やんだ映画として興味のある方はぜひご覧ください ★★★☆☆

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(2006/12/14)
ジョイス・バーバー、デズモンド・テスター 他

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以下は、完全にネタバレしていますので、ストーリーを知りたくない方は読まないでください。

ということで、この映画の最大のクライマックスは義弟スティービー少年が、そうとは知らずに時限爆弾を持ち歩くシーンです。警察の目を恐れるヴァーロックは、黒幕からくれぐれも失敗するなと念を押されたにもかかわらず自分で爆弾を持ち出すことができません。スティービーに映画フィルムを届けさせるという口実で時限爆弾も持たせて、ピカデリーサーカスの荷物置き場に13:30までに届けるよう指示します。実はこの時限爆弾13:45に爆発するようセットされており、ヴァーロックは15分の余裕を見て頼んでいるのですが、この余裕15分というあたりが慎重なようなそうでもないような、ヴァーロックの中途半端な悪人振りを象徴しているように見えます。

スティーヴィー少年は、めったに行けないレストランでステーキを食べさせてもらって有頂天になっている姿などもあどけなく、愛嬌たっぷりの少年。その少年が爆弾を抱えて歩き回っているだけでも観ている方はハラハラしてくるのですが、子供なるがゆえに途中いろいろ道草を食います。その姿もまた少年らしくて観客はだんだん少年をかわいく思えてくる。それと平行してなんども時計の映像が映し出されます。ますます、「ああスティービー、早くしないと爆弾が・・・」と観客はドキドキ緊張してきます。

で、ヒッチコックはこの少年を満員のバスもろとも爆弾で吹っ飛ばして殺してしまったわけです。にほんブログ村 映画ブログへ


ヒッチコックはエッセイでサスペンスについて、「実は観客は本当の惨劇を望んでいない」と語っています。ハラハラどきどきしながらも、観客は主人公が本当に死んでしまったりすることはないと"知っており"、最後には危機を脱することでアー良かったと満足する、それがサスペンスの醍醐味であると語っています。本作は観客が完全にかわいい少年スティーヴィーに感情移入してしまっている状態で爆殺してしまったわけで、観客のサスペンス心理を大きく裏切ることになってしまいました。

結果は、世の中からの非難がかなりあったようで、「あのデブを爆弾の上に座らせろ!」などと過激な投書などもいただいたようです。そのようなことがあり、ヒッチコック自身この映画をあまり好ましく思っていないということです。

主役クラスの登場人物を結構残酷に殺してしまって。。。なんてストーリーは今の映画ではさほど珍しくもないのかもしれませんが、当時の社会や人々の倫理観などからみても受け入れられるものではなかったのかもしれません。昔の映画はそういう多くの制約やタブーの中で知恵をしぼって脚本・演出を工夫しているから面白いのだとも言えるのでしょうか。

事件についてのヴァーロックの言い訳は自分勝手の極み、悪役も大物ならもう少しモノの言いようがあるだろうと思えるほど卑怯な言い逃れ。ヴァーロックの小物振りをくっきりと表現するホモルカの演技がすばらしい。

まあ、弟を殺されてあの言い訳を聞かされたら、殺してやりたいと思う妻の気持ちもわからなくもありません。が、本当に殺してしまうのも少し復讐としてはダイレクトすぎて工夫に欠ける感じもしました。警察の捜査に対して夫に協力するそぶりを見せておいて土壇場で裏切って暴露するとか、そういう展開かなと予想してたんですけど。

ラストは、『恐喝(ゆすり)』と同じく、罪を告白して罰を受けようとするヒロインをその恋人役の警官がかばってことはうやむやに・・。これって、ハッピーエンドじゃないですよね。ヒロインにとっては残酷な結末なのでした。

<スタッフ&キャスト>
監督: アルフレッド・ヒッチコック
製作: マイケル・バルコン
原作: ジョセフ・コンラッド
脚本: チャールズ・ベネット/イアン・ヘイ
撮影: バーナード・ノールズ
音楽: ルイス・レヴィ
出演: シルヴィア・シドニー
    オスカー・ホモルカ
    ジョン・ローダー
    デズモンド・テスター
    ジョイス・バーバー

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テーマ : クラシック映画
ジャンル : 映画

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