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#0124『望郷』ジュリアン・デュヴィヴィエ監督 1937年フランス

望郷
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2006年8月の記事ですが、今読み返すと、この名作に対してあまりにあっさりしているので、ちょっと書き加えました。

完全ネタバレ記事です。ご注意ください。


以下、転載文



小さい頃、母親の口から”ペペル・モコ”という名前を何度か聞いた覚えがあって、”ペペル・モコ”という奇妙な音の響きが記憶に残っていたのを良く覚えています。その時、母はペペル・モコに扮するジャン・ギャバンの魅力を実に楽しそうに話してくれていたらしいのです。母は元来それほどの映画好きではないのですが、それでも夢中にさせるほど、この作品のジャン・ギャバンには魅力があったらしいのですね。

この名作も前回観たのはいつだかわからないくらい昔。ギャビー(ミレーユ・バラン)の美しいクローズアップやラストの有名な鉄格子のシーンは記憶にあるものの、ストーリーはほとんど忘れており、かなり新鮮に観直すことができました。

大泥棒ペペル・モコ(ジャン・ギャバン)は、パリ警察の手を逃れてフランス領アルジェのカスバに逃げ込んでいます。この作品の主役といってもよい、アルジェ港を見下ろす丘に広がる城塞都市カスバは、街の入り口の階段を上がるや、坂道が連なる路地裏、屋上で隣家とつながるテラスなどの入り組んだ街並みがさながら迷路のようで、警察の手はまったく届きません。大泥棒ペペル・モコをがっちり守る要塞都市として鉄壁の頼もしさを見せるカスバ。いまや町の顔役となっているペペル・モコはこの街を拠点に以前悠々と悪事を重ねています。

この、カスバの街の映像がねぇ、実に異国情緒があふれて手、ムードがあって良いんですよ。ヨーロッパ映画ってアメリカの映画と比べて、美しい街を背景とした作品が撮れるという利点がありますね。もちろんアメリカ映画にも、ヒッチコックの『めまい』におけるサンフランシスコの街並とか、美しい街の映像を見せるものがありますが、質でも量でもやはり比ではない。偉大なメロドラマであり悲劇であるこの作品は、この街並みの情緒なくして成立しないと思いますが、ペペル・モコにとってのカスバの意味が、彼の運命とともに大きく変わっていく様も見事です。

この美しい街には観光客も多く、そんな中にパリからやって来たギャビー(ミレーユ・バラン)がいるんですね。彼女と知り合い、当然のごとく愛し合うようになるペペル・モコですが、その愛情が思いもしなかったもうひとつの感情をペペル・モコにもたらします。それは、パリへの耐え難いほどのノスタルジア。

せっかく芽生えた愛もはかなく、些細な行き違いからギャビーはペペル・モコに別れを告げることなくパリに帰ることになります。ギャビーを追いかけたい。そして、パリに戻りたい。しかし、カスバではペペル・モコに手も足も出ない警察が、裏切り者レジス(シャルバン)を使って、千載一遇のチャンスとばかり彼が街を出る瞬間を狙っています。ギャビーを愛し、”望郷”の念に囚われたペペル・モコにとって、カスバの街は彼を守る要塞から、彼を束縛する監獄になってしまったのです。ペペル・モコはその中であがきます。前半の意気揚々たる余裕の姿とは打って変わり、焦り、わめき散らして、見境もなく坂道を転げるように駆け落ちるただの男。

デュヴィヴィエ監督は、このあたりの運命が徐々に暗転していく様を映像化するのが本当にうまいなぁとしみじみ感じますね。さまざまな人物の思惑が積み重なって悲劇的運命に導かれていく様が見事。中でも、彼の身を案ずるがために必死に引き止めようとする情婦インス(リーヌ・ノロ)は、カスバの町が女の姿になって彼を逃すまいとしているかのよう。彼女自身の心情の痛々しさが鮮明に描かれるほどに、ペペル・モコの逃れられない運命も際立ってくるような、そんな手際の素晴らしさに感心しました。

ペペル・モコが警察を振り切り港にたどり着いたとき、愛するギャビーを乗せて、焦がれる想いの行き着く先、パリに向かう客船はまさに岸壁を離れたばかり。しかし、鉄格子にさえぎられて最後の最後でペペル・モコは倒れます。「ギャビー!」という叫びも船の汽笛にかき消され、彼女には届かない。。。。

心に突き刺さるようなラストシーンでした★★★★★

<スタッフ&キャスト>
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
原作:ロジェ・ダシェルベ
脚本:アンリ・ジャンソン/ロジェ・ダシェルベ
撮影:ジュール・クリュージェ
音楽:ヴィンセント・スコット
出演:ジャン・ギャバン/ミレーユ・バラン
    リーヌ・ノロ/リュカ・クリドゥ/ルネ・カール
    マルセル・ダリオ/シャルパン
    ジルベール・ジル/ガストン・モド

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あ!

館長を泣かせてしまった・・・。いやいや、もうコメントに来てくれないかと思ってこっちが泣きそうでしたよ。よそに書き込みしないとかおっしゃらずに、ぜひ遊びに来てくださいね。

インス・・良かったですね。こういう女の心情は万国共通だなぁ、などと思ってみたりします。TBお返しに参上します^^。

グリーンベイさん、こんばんは。

博覧強記のグリーンベイさんの万に一つを指摘するなんて・・・恐れ多くてできませぬ。。。
しかし、大坂四郎がネチネチっと石原裕次郎を追い詰めるなんて、まさにはまり役だと思いません?同じく裕次郎の『帰らざる波止場』では、志村喬が一筋縄ではいかない老刑事を演じていて良かった。日活スコープがうまく映像的にフランス映画にも負けてないと思いました。『赤い波止場』も楽しみ楽しみ^^

>彼の身を案ずるがために必死に引き止めようとする情婦インス(リーヌ・ノロ)は、カスバの町が女の姿になって彼を逃すまいとしているかのよう。彼女自身の心情の痛々しさが鮮明に描かれるほどに、ペペル・モコの逃れられない運命も際立ってくるような

そうなんですううう(号泣)!その通りなんですううう(号泣)!

インスとぺぺはもはや離れられない腐れ縁であり、それが余計に切ないですね。
子供の頃に観まして、子供心にもぐっとくる映画でありました。ラストシーンの痛々しさは他に類を見ません。TB持ってまいりました。

 FROSTさん・・・今日は。
うーーーん。ハハハ・・・笑。
「赤い波止場」は・・・北原三枝嬢でしたね・・・訂正させていただきます。
北原三枝嬢には触れず大阪志郎だけを載せる辺り・・・FROSTさんて本当に優しい方なんですね・・・。涙
日活映画が好きだとは・・・素晴らしい。これからも楽しい意見の交換を期待しています。映画少年も日本映画専門チャンネルで裕次郎、アキラ、赤木・・・とか「男の紋章」シリーズなど楽しく見てお ります・・・。(笑)

グリーンベイさん、こんばんは。

ハイカラというわけでもないんですが、母にはいくつか好きで好きでしょうがない映画があるようで、『望郷』『慕情』『南太平洋』の三本の話は良く聞かされましたよ。当時はぜんぜん興味なかったんですが・笑。
いやー、もうデュヴィヴィエのためにあるようなシチュエーションで、素晴しいの一言に尽きますね。
石原裕次郎の『赤い波止場』。実はつい先日DVDが手に入ったところなんですよね。まだ未見ですが。大坂志郎の刑事役なんて観なくたってはまり役とわかりそう。今度の週末あたりに観てみましょうか。(実は日活ファン)

 FROSTさん・・・今晩は。
うーーーん。母上様がペペル・モコを度々口にするのを聞いた。公開当時に母上様がフランス映画に興味を待たれていた・・・ハイカラなご家庭にお育ちになったですね・・・まず、感服した次第です。先の「舞踏会の手帳」(37)とこの「望郷」(36)というフランス映画の古典とも云うべき2作品を再見なさいましたか・・・なんと幸せな時間を持たれたことでしょう。
女は怪しげなカスバに君臨するお洒落なボス(ペペ)の魅力に惹かれ・・・。
男は懐かしいパリそのままの雰囲気の大人の女性に惹かれる・・・。ラストの「ギャビー」と叫ぶが・・・汽笛ににかき消される・・・まさにデイブイビエの職人芸が遺憾なく発揮した作品でした・・・参りました。
この作品は日活で裕次郎と浅丘ルリ子嬢共演でリメイクされている・・・。
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