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#0129『聖山』アーノルド・ファンク監督 1926年ドイツ

聖山
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レニ・リーフェンシュタールの映画女優としてのデビュー作『聖山』。1926年のサイレント映画。

少し、複雑な心境。

その前に簡単にストーリーをご紹介しておきましょう。

切り立った断崖の海辺の町に育ったディオーティマ(レニ・リーフェンシュタール)は、一流のダンサーとなる。共に山を愛するカール(ルイズ・トレンカー)とヴィゴ(エルンスト・ペーターセン)の二人は、それぞれディオーティマと親しくなるが、ディオーティマの心はカールにある。結婚の約束ののち、カールは登山に出かけるが、その間にディオーティマはスキー競技会で優勝したヴィゴと親しく接する。ディオーティマの中では彼はまだ子供であり恋愛の対象外であったが、二人が親しくしている場面を偶然帰ってきたカールが目撃してしまう。相手の男が親友とは知らぬまま、傷心のカールはヴィゴを伴って冬山に向かう。絶壁でのビバーク中に、カールはディオーティマが親しくしていた相手がヴィゴであることを知る。怒りの形相でにじり寄るカールを恐れたヴィゴは、足を踏み外して転落。その命綱を握るカールは行いを悔い、宙吊りになったヴィゴを引き上げようとするが、一人の力ではどうしようもない。二人の身を案じるディオーティマは豪雪の中を命がけで山小屋に向かう。ようやく山小屋にたどり着いたディオーティマの願いにより、救援隊が二人の捜索を始めるのだが。。。

と言うことで、アーノルド・ファンク監督お得意の山岳ドラマ。しかし、全くもって面白くない。ドラマとして見ると星二つ必至の作品ですが、冷静に見直してみると、アーノルド・ファンク監督がこの映画で撮りたいものは3つだけらしいと言うことがわかってきました。

その3つとは。

1.レニ・リーフェンシュタール、その人。
2.山。しかも絶壁。
3.一流スポーツ選手によるスキー競技会の模様。

つまりはストーリーなどはどうでも良いらしいのです。一応、ディオーティマと二人の男の恋愛劇という筋立てになっていますが、三人の馴れ初めすら省いてしまっているくらいで、まったく持って潔い。

したがって、開巻からリーフェンシュタールの踊ること踊ること(↓のYouTube動画参照)。まるで、ダンサー/レニ・リーフェンシュタールのプロモーションビデオのよう。彼女は、映画女優になる前にダンサーとして身を立てた人ですから、冒頭のダンスは鍛えられたプロの技なのですが、いかんせん、彼女が何者かも良くわからないうちにいきなり踊りだすので、彼女がなぜ踊っているのかもわからず、観ている方は置いていかれ気味。

上記2.の山岳映像は際立っています。切り立った絶壁の上に立つ役者の映像を見るだけで息が止まりそう。DVDプレイヤーの小さな画面で観ても身がすくむ。映画館の大スクリーンなら、この映像だけでも『聖山』は記憶に残る作品になるでしょう。ちなみに、うちのライブラリには、同監督の『モンブランの嵐』もありますが、そちらではさらにすごい絶壁映像を見ることができます。

ただ、それでも、この映画は秀作には届かないでしょう。当時、かなりのヒットを記録したという記事もあるのですが、少なくとも今現在の目から見ると、同時期の優れたサイレント映画からは見劣りしてしまいます。したがって、”作品としては”やっぱり★★☆☆☆。

では、なぜ心境複雑なのかというと、レニ・リーフェンシュタールという人の波乱万丈の人生を知ってしまったから。。出演俳優がどんな人生を送ろうが、それは映画自体の出来とは無関係のはずですが(演技ににじみ出ていると言う見方もできるかもしれませんが)、彼女の強烈な生命エネルギーに満ちた人生に触れてしまうと、この『聖山』についても、ドラマとしてだめだとか、ダンスになじめないとか言ってることが小ざかしく感じられてくるのですよ。もっとも、この作品は彼女が監督したわけじゃありませんが。

彼女の人生については、リンクした、ブロ友豆酢館長の素晴しい記事「“美”に捧げた生涯―レニ・リーフェンシュタール」などをぜひお読みいただきたいのですが、ここでは簡単に記しておきます。

曰く、”究極の美の追求者”。

1902年生まれのレニは、ダンサーとして身を立てるも、ひざの故障で断念。映画女優に転身して、この『聖山』(’26)などに主演する。その後、当時前例のなかった女流映画監督を目指し、『青の光』(’31)で監督デビュー。とにかく“美しいもの”だけを追い求めるがゆえに世事には疎かったのか、当時勢いを増すヒットラーの誘いに応じる。ナチス党大会を描いた『意志の勝利』(’35)や、ベルリンオリンピックのドキュメンタリー『オリンピア 民族の祭典/美の祭典』(’38)でヴェネチア映画祭金賞を獲得するも、戦後一転してナチ協力者のレッテルを貼られる。裁判は4年に及び、無罪を勝ち取ったが世間からの誹謗中傷はやまず、辛酸を嘗め尽くす。しかし”究極の美を追求する“という自らの信念を曲げず、60歳にして”人間における美”を捜し求めてアフリカの奥地に分け入り、ヌバ族の写真を撮り続けて70歳にして再び写真家として世に出る。71歳から水中写真の世界に没頭し、90歳を越えてもなお海に潜り、ついに100歳にして海中記録ドキュメンタリー『ワンダー・アンダー・ウォーター 原色の海』(’02)で再度映画監督として復活。2003年102歳で生涯を終える。

今回の記事はレビューなんだか感想なんだかわからなくなってしまいましたが、それもたまには良いですか。“意志の勝利”とはまさに彼女のためにあるような言葉で、それによって人間はここまでの高みに昇れるのだということを学びました。

彼女のドキュメンタリー映画『レニ』('93)を注文してしまった。そちらの感想もまたいずれ。

<スタッフ&キャスト>
監督:アーノルド・ファンク
原作:アーノルド・ファンク
脚本:アーノルド・ファンク
撮影:ハンス・シュネーベルガー
出演:レニ・リーフェンシュタール
    ルイズ・トレンカー
    エルンスト・ペーターセン
    フリーダ・リヒャルト
    ハンネス・シュナイダー



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<作品関連サイト>
⇒豆酢館 “美”に捧げた生涯―レニ・リーフェンシュタール
⇒人間と藝術 追悼 レニ・リーフェンシュタール
⇒ベルリンの壁崩れて沈黙を破ったレニ・リーフェンシュタール「民族の祭典」監督が語る”政治とオリンピック”

⇒Reni Riefenstahl Official Site (English/German) 

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ジャンル : 映画

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館長、こんばんは!

先にコメントされちゃいましたね・笑。勝手に館長の記事引用していました。

そうなんですよ。「朝起きて玄関開けてみたら、門の前でこの人が踊ってた」ような・・・そんなショックを受けました。
映画のほうはどうということも無いのですが、レニ・リーフェンシュタールには興味津々ですわ。『レニ』早く観てみたいと思います。後ほど豆酢館の方にお邪魔します。

恐縮です(^^ゞ

拙記事をリンクしてくださってありがとうございます(^^ゞ。

そうですか、「レニ」買われましたか。これを観ると、また彼女への理解が深まると考えられるので、感想を楽しみに待っておりますね。

いやー、それにしても。
若き頃のレニの踊る姿を拝見しました。確かに、何の説明もなくいきなりこれが始まったら、“?”ですよね(笑)。でも動きは素晴らしいですね。さすがはプロ。そしてやはり、レニは美しい。
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