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『メメント』を見たときにはたまげましたね。いったいクリストファー・ノーランという人の頭の中はどうなっているんだろうと不思議に思ったもんです。

さて、フォロウィング(following)とは、尾行のこと。主人公のビルは人を尾行する癖があります。相手は男でも女でも誰でもよく、しばらく尾行して相手の生活がわかればその時点で尾行終了。ところがある尾行相手がビルに気づきます。その相手コッブはというと、人の人生を覗き見たいがために空き巣を重ねているという、これまた変わった人間です。

さて、この作品のストーリーはコッブと一緒に空き巣を働くようになった主人公が陰謀に巻き込まれていくと言うものですが、売り物はやはり『メメント』と同じく時間を解体して組み立てなおした見せ方でしょう。

『メメント』の場合は、前向性健忘症という数分しか記憶を保てない男を疑似体験するように時間が逆行していくというものでした。この『フォロウィング』ではそういう記憶障害のような背景はなく、通常のストーリーをばらしてランダムにつなぎあわせている感じ(当然つなぎ方に監督なりの考えがあるはずですが)。

そうすると、観ている方はまずなにが起きているのかわからないので、”とっかかり”を探そうとしますね。ぱっと目に付くとっかかりがふたつあって、一つは主人公ビルの身なりがある時点で全く変わるということ。ストーリー開始時は、むさくるしい長髪の若者と言う感じなのですが、どこかでこざっぱりしたビジネスマン風のスーツ姿に変身します。もう一つは同じくビルがめちゃくちゃに殴られていること。これも、どこかの時点で誰かに乱暴されているわけです。

この二つのとっかかりをめぐって、なぜそれが起きたんだろうと強制的に推理させられながら映画を見ることになるので、そういう意味でのサスペンスの持続性は抜群。

次第に、その原因がはっきりしてくるのですが、期待感が膨らんでいるので真相がわかった時にはやはりテンションが下がります。これは、”なぜそうなったのかわからない”ということで観る側の興味を引きつける編集になっているのだから、ある意味仕方のないことかもしれませんね。

この作品では、”ああ、なるほど、そういうことだったのか”と思った次の瞬間に一種のどんでん返しのようなことが起きるのですが、それを地味な刑事の静かな語り口で起こすところが、見せ方としてはちょっとスマートでいいなと思いました。いったん下がったテンションを巧く再満足させてラストまで持っていっていると思います。

まあ、しかし複雑な見せ方をするためにストーリーを作ったようなわざとらしさが目立つことも事実です。が、クリストファー・ノーランはこれがデビュー作ですから。事実、後の『メメント』では見事にストーリーと時間再構築を両立させており、やはり素晴らしい才能を持った監督の驚くべき処女作であることは間違いないと思います。★★★★☆

<スタッフ&キャスト>
Following

監督:クリストファー・ノーラン
製作:クリストファー・ノーラン/ジェレミー・セオボルド/エマ・トーマス
製作総指揮:ピーター・ブロデリック
脚本:クリストファー・ノーラン
撮影:クリストファー・ノーラン
編集:クリストファー・ノーラン
音楽:デヴィッド・ジュリアン
出演:ジェレミー・セオボルド
    アレックス・ハウ
    ルーシー・ラッセル
    ジョン・ノーラン
    ディック・ブラッドセル

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