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#0005『國民の創生』D.W.グリフィス監督 1915年アメリカ

The Birth of a Nation
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監督:D・W・グリフィス
原作:トーマス・ディクソン
脚本:フランク・ウッズ
撮影:G・W・ビッツァー
音楽:ジョセフ・カール・ブレイル
 
出演:リリアン・ギッシュ/メエ・マーシュ
   エルマー・クリフトン/ロバート・ハロン
   ヘンリー・B・ウォルソール/ミリアム・クーパー
   ベッシー・ラヴ/モンテ・ブルー
   ドナルド・クリスプ

詳しい作品情報はこちら
    ⇒国民の創生(1915) - goo 映画
    ⇒國民の創生@映画生活
    ⇒IMDb(英語)

1910年代の映画というのはこれが初めて。もうそろそろ100年前になろうかというのですからすごいことですが、映画についていろいろ勉強することのできた作品でした。

何の根拠もありゃしませんが、「サイレントは短い」と思い込んでいました。チャップリンの短編映画などのイメージが原因ですね。なので、まず2時間半以上という尺に驚き。でも作品公開当時の人たちも同様に驚いたんじゃないでしょうかね。それまでは一巻もの(十数分)の"動く写真”が映画の主流で長くてもせいぜい4・50分だったらしいし。しかしもっと驚きだったのは2時間半という長時間わたって”映画が物語を語ることができた”ということでしょう。しかも、題材は60万人以上の死者を出した南北戦争です。迫真の戦闘シーンを交えて南北戦争を語ったわけですから、当時の人々の映画に関する認識を根底から変えてしまうくらいのインパクトがあってもおかしくありません。

そういう歴史的意義のあるこの作品ですが、そりゃ現在の何でも満載映画の感覚で観れば面白くはないですよ。シナリオも演技も映像も稚拙で雑なものに映るかもしれません。しかし約1世紀も前に、この壮大な物語のために、グリフィスは現代の映画の基礎になる手法を体系化し駆使していたわけですから、やはりそれは驚きの目を持ってみるべきだと思います。にほんブログ村 映画ブログへ

その手法がどういうものかは、映画学に詳しい皆さんのブログやサイト(例えばこちら⇒"映画学メモ by タカさん")を参考にしていただくとして、ああなるほどと思ったのはカメラによる映像が、それ独自の機能を果たし始めた作品の一つだということです。人が目で見るのと同様に映像を撮って見せていたものが、次第にカメラ映像ならではのカット割りがされていき、映像をつなぐことそれ自体が意味を作り出すようになってきます。これは、対象をそのまま撮影することとも、奇抜なトリックであっと驚く映像を作り出すこととも異なる、”物語を語るため”のまったく新しい方法の発見であったということです。このあたりの事は、前々から本などで読み知ってはいたことなのですが、今回初めてああそういうことなのかとわかってきました。一つ前に『戦艦ポチョムキン』を観ていたのも良かったかもしれません。カットに対する考え方が全然違います。

この作品のころ、編集はなるべく観客に気づかれないようにすべきである(Continuity Editing)とされていたそうです。したがって前回見た『戦艦ポチョムキン』と比較すると、まったくおとなしいというかごく普通の画面が続き(特に前半)、”衝撃”にかけます。それでもきちんきちんとストーリーが語られていく様子はまったく違和感はありません。また、元北軍兵士の小屋に立てこもるキャメロン一家を巡って、襲い掛かる黒人暴徒と救出に駆けつけるKKKをクロスカッティングで見せる後半のクライマックスシーンはスリル十分な場面です。

グリフィスが体系付けた映画の手法は、物語を語るための新しい方法として完成し一般化していきます。それに対する挑戦として、エイゼンシュテインなどの斬新な理論と手法による作品が登場してくるわけで、”まず世界を作った”という意味ではやはり素晴らしい作品、素晴らしい歴史であると思います。にほんブログ村 映画ブログへ

なんか、コムツカシイ知ったかぶりっ子になっちゃいました。そういう話はさておいて、ごく素直に見惚れてしまったのはやはりリリアン・ギッシュの可憐さ。ちょっと虚ろな表情で目線を上に持っていくと、誰でも一度は見かけたことがある(だろう)リリアン・ギッシュの表情になります。後々のイラストやマンガなんかでこの表情をモチーフにして描いているものが結構あるんじゃないかと思われますね。

『白昼の決闘』('46)で、ジョセフ・コットン&グレゴリー・ペック兄弟の母親(父ちゃんはライオネル・バリモア)を演じていた老年のリリアン・ギッシュを観た事がありました。死に際の演技が素晴らしかったですねぇ。でも本領のサイレントで彼女を観るのははじめて。まるで、フランス人形みたいですな。それだけでも十分満足なんですけど、ちょっと鼻にしわを寄せて見たり、ぴょんぴょんはねてみたり、いかにもかわいらしい仕草も結構するので、これもなんか目からうろこな思いでした。

余談ですが、KKKが正義の味方の映画は初めて(これまた驚き)。グリフィスのバイオグラフィを読んでみて納得ですけどね。リリアン・ギッシュをはじめ白人女性に迫る黒人男の役は、”黒人メイクした白人”が演じていたそうで、筋金入りだったようです。

歴史を目撃した!と言う感じ。自宅でコーヒー飲みながら気楽に歴史を目撃できてしまう今の世の中はすごいですね。★★★★☆(こういう映画に★をつけるのもどうかとは思いますが)

(2007/3オールド・ムービー・パラダイス!掲載記事)

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先日ルネ・クレマンの「居酒屋」をもってお邪魔しましたが、今日は「國民の創生」をもってきました。
これを観ると次にグリフィスが「イントレランス」を作ったのかが、作らざるを得なかったのだろうなって分かった気がしました。KKKなどは知ってましたが、本作で南北戦争以後のアメリカ国民の知られざる歴史を目撃した思いです。プロバガンダ的な要素もあるのだろ受けれど、しかしここまで描ききったグリフィスは評価に値するし、この映画手法を駆使した映像は必見だと思います。サイレントの時代ですよ! 併せてリリアン・ギッシュの記事もTBさせていただきますね。
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