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ダーク・シティ
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『アイ、ロボット』を撮ったアレックス・プロヤス監督の仕立ての良いSF作品。SF映画は世界観に尽きると思うのだけれど、最近は、あからさまに子供向けだったり、派手なCGだけが見所の作品が多くて、積極的にSFを見る機会が減っている。この作品はなかなか満足できた。

どこかわからない、さびれた街の安ホテルの一室である男が目覚める。彼は記憶を失くしている。アパートには女の死体があり正体不明の不気味な男たちが追ってくる。

舞台になっている街の造形がすばらしくそそる。レトロで暗く、決して昼になることのない「夜だけの街」。頽廃が支配するフィルム・ノワールの舞台のようでもあり、そのムードだけでわくわくさせてくれる。

その街で記憶のない男が、見るからに不気味な青白い顔をした男たちに追われている。その展開をたどっているうちに、観客もこの街の何かが決定的におかしいことに気づきはじめる。

深夜0時になると街の人々は皆突然眠り込む。白人だったはずのホテルの主人が、いつのまにか黒人に変わっている。故郷シェル・ビーチへの行き方がどうしても思い出せない。子供のころあったはずの火傷の跡がなくなっている。

この、”わからないけど、何かがおかしい”という感覚。自分の周囲が不安で不安で、思わず耳をそばだて、肩越しに様子をうかがってしまうようなこの感覚に、きちんと連れて行ってくれる映画はやはり面白い。

その舞台で演じる俳優陣は、ルーファス・シーウェル(主人公)/ジェニファー・コネリー(妻・クラブ歌手)/キーファ・サザーランド(人類を裏切る科学者)/ウィリアム・ハート(堅物の刑事)。それぞれの役柄にぴったりとはまっている。特にキーファ・サザーランドのマッドな容貌としゃべり方はこの世界の決定的な異常ぶりを象徴している。ジェニファー・コネリーのけだるい色気が、「夜だけの街」のクラブのステージからむせかえってくる。

これだなぁ。やっぱり”非日常世界”を、この映画みたいに無駄な継ぎ目やほつれがなく魅力的に見せてくれることが、良いSFの必須条件じゃなかろうか。

街の秘密が明かされていく後半になってくると、かなり派手な特撮やファイトシーンが盛り込まれてくるが、舞台としてきちんと魅力的な世界を作り上げているので、ぎりぎりのところで陳腐にならずに収まった。やっぱり、世界観とグラフィックのバランスがとれてはじめて良い作品になるなと改めて納得。
★★★★☆

<スタッフ&キャスト>
監督:アレックス・プロヤス
製作:アンドリュー・メイソン/アレックス・プロヤス
製作総指揮:マイケル・デ・ルカ/ブライアン・ウィッテン
脚本:アレックス・プロヤス/レム・ドブス/デヴィッド・S・ゴイヤー
撮影:ダリウス・ウォルスキー
音楽:トレヴァー・ジョーンズ

出演:ルーファス・シーウェル/キーファー・サザーランド
   ジェニファー・コネリー/ウィリアム・ハート
   リチャード・オブライエン/イアン・リチャードソン
   ブルース・スペンス/コリン・フリールズ
   メリッサ・ジョージ

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