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#0006『狂へる悪魔』ジョン・S・ロバートソン監督 1920年アメリカ

狂へる悪魔


”DR. JEKYLL AND MR. HYDE” にほんブログ村 映画ブログへ

監督:ジョン・S・ロバートソン
製作:アドルフ・ズーカー
原作:ロバート・ルイス・スティーヴンソン
脚本:クララ・S・ベレンジャー
撮影:ロイ・オーヴァーボウ
出演:ジョン・バリモア/ニタ・ナルディ
    ブランドン・ハースト/ルイス・ウォルハイム
    チャールズ・レイン/ジョージ・スティーヴンス
    マーサ・マンスフィールド

詳しい作品情報はこちら
    ⇒狂へる悪魔@映画生活
    ⇒IMDb(英語)

有名な「ジキル博士とハイド氏」の映画化。この作品、IMDbで引くとTV版を含めて20作品出てきますね。1920年にはこれを含めて3本作られています。一番たくさん映画化された小説?

”ジャーン”とか”ビャーン”とかの効果音がなくても立派にホラー映画は成り立ちますね。ちなみに血まみれの残酷シーンもありませんが、それでも十分成り立ちます。

お話はよく知られていますが、ざっとご紹介すると。。。
研究熱心でまじめ一徹なジキル博士(ジョン・バリモア)は、愛するミリセントの父カルウ卿(ブランドン・ハースト)からその生真面目な性格をからかわれて動揺する。カルウ卿に連れられて訪れたミュージックホールのダンサージーナ(ニタ・ナルディ)への欲望から、彼は自分の中に潜む別の性格に気づきます。思い余ったジキルは二つの精神を分離して別の身体に移す研究を始めます。やがて研究は実を結びますが、薬を自らの身体で試したジキル博士は、醜く変身してしまいます。元に戻るための薬も無事発明したジキル博士は、醜く変貌した自分をハイドと名づけて友人と称し、自らの欲望を満たすための二重生活を始めます。しかし、徐々にジキルはハイドをコントロールできなくなっていき、カルウ卿にハイドとの関係を揶揄されたことからついにハイドは暴走を始めます。にほんブログ村 映画ブログへ

変身のシーンは二重露出やメイクもありますが、基本的にはジョン・バリモアの表情と演技の変化。知的で端整なジキルから、醜く悪魔的な表情のハイドへ。これが怖いですねぇ。

怖いといってもヴィジュアル的には大した事はないんです。なにが怖いのかと言うと、人間の二面性とそれが本人の意図に逆らってコントロールできなくなっていく、このことが怖いんですね。初めて自分の悪の性質に気づいたジキルはそれを分離して安全に(って言い方も変ですが)扱おうとするわけですが、結局自らが悪魔のようなハイドに変身してしまいます。しかし、ジキルは最初この状況をうまく利用して自分の欲望を果たそうとします。ジキルとして果たせなかった酒場の女ジーナ(艶然と笑うニタ・ナルディの色っぽいこと)への欲望を果たし、だんだん自信満々の悪党に変貌していくところが見事です。しかし、やがてその自信にもかかわらずコントロールが効かなくなってきて薬がなくても変身してしまうようになり、ついには逆に薬がないと善良な心を保てなくなります。これほど人間の愚かで哀しい本質を端的に寓話化した作品もないかもしれません。

そしてジキルはとうとう、愛するミリセントさえ手にかけようとしますよね。ドア越しに、中に入ろうとするミリセントと入れまいとするジキル。徐々にジキルはハイドに変身していきます。このままではハイドとして彼女に危害を加えてしまう。わずかな正気が残っているうちにジキルは毒薬をあおります。指輪に隠した毒を飲んで、髪を振り乱して、もう一度顔を上げたときに・・・、彼は完全にハイドになってますね。これが怖いんですよ。嬉々としてドアを開けに行きます。そして何も知らないミリセントが入ってくる。ドアの陰に隠れていたハイドが彼女の後ろでドアを閉める。そのときのハイドの表情が冒頭の写真です。にほんブログ村 映画ブログへ

もうそこには、ミリセントを愛する善良なジキルの姿はかけらもありません。これ、残酷でしょ?恐ろしいじゃないですか。これほどまでに人間性が否定された救いのない表情はないと思うんですね。これが”怖い”と言うことじゃないかと思うんですよ。ジョン・バリモアはそれを表現するだけの過不足のない見事な演技でした。

思えば、私が映画好きになるきっかけとなった『エクソシスト』にもこういう意味の怖さがありましたね。そりゃ、首が回転したり緑色の嘔吐する画もコワイんですが、あの映画には神と悪魔の戦いのすさまじさと、そこに巻き込まれてしまった人間の無力さという怖さがありましたね。

その後、山ほど出てきたスプラッターやショッキングホラーを、私は見ましたよ。かなり見ました。中学高校くらいの恐いもの見たさの盛りでしたしね。で、そういう映画も確かにコワかった。でもすぐ飽きた。そういう見た目コワイレベルのものは飽きるんです。もう一生見なくても平気です。

だから、最近の見た目コワイだけのホラー映画(全部否定しているわけではありませんよ、当然)よりも、この『狂へる悪魔』の方がよっぼど恐ろしい。こういうホラー映画は何度でもいくつでも見たいと思いますな。
★★★★☆

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トムさん!

すみません、コメントお返ししていたつもりだったのですが登録されていなかったようです。大変失礼しましたm(_ _)m
ブログ復帰されたご様子、うれしい限りです。また改めてよろしくお願いいたします。
ウィリアム・ウィルソンは、ポーの原作は読んだ記憶があるのですが、映画の方は。。。でも、ドッペルゲンガーとアラン・ドロンって記憶の中で結びついてるんですよね。なので、どこかで観た事があるのかもしれません。改めて観てみますね。
覚書記事はねぇ。。まだ、単なる抜書きの域を出てません。何とか、映画をもっと理解できるようになりたいという思いのあらわれですが、血肉となるにはまだまだ蓄積と、映画鑑賞を通した納得が必要なようです・笑。

お久しぶりです

FROSTさん、お元気でしょうか?
しばらくブログと無縁のところで生活しておりましたが、久しぶりに更新しましたので、TBさせていただきます(自己喪失、人間の善悪二重性という関連テーマから)。FROSTさんは「ウィリアム・ウィルソン」はご覧になったことはありますか?素晴らしいですよ。ご推薦いたします。
オカピーさんや豆酢さんのコメントもありますね。うれしいです。
ところで、こちらは随分パワーアップされていますね。特に「覚書」は素晴らしいです。映画の基本が濃縮されているようで、わたしなどは正直に言うと、こういう記事内容にコンプレックスを感じてしまいますよ。
ルノワール、バラージュ、エプスタン、アストリュックの「カメラ万年筆論」、舛田利雄まで取り上げられていますね。本当に素晴らしい。
多くに映画ファンの人たちに読んでもらいたい記事ばかりです。
週刊シネママガジンから、川越名画座リローデッドなどなども、これからも充実させていってください。
では、また。

豆酢さん、はじめまして!

オカピーさんのところのコメントなどなどでお名前お見かけしておりました^^。ようこそお越しくださいました。体調はもう万全ですか?お子さんたちがかわいいですねぇ。うちは3号までいますが、1号♂はこの春大学に入って家を出て、2号♀が入れ替わり大学受験、3号♂も中学1年生なのにすでに父より大きくなり・・・。こんなかわいい時期はもう忘れておりましたよ。

駄文かつ生来のコミュニケーション下手による遅レス症に悩まされておりますが、今後とも是非よろしくお願いします。おいおいTBさせていただきに行きます^^

オカピーさん、こんばんは

TBの件、いつもすみません。。
>科学万能主義への批判について
なるほど、そういう視点には気づきませんでした。が、確かにこの時期の科学に対する期待と不信感はこういう類いの映画にも反映していたでしょうね。納得です。

はじめまして…

FROSTさん、豆酢と申します。はじめまして。

実は以前からたびたび伺っては、豊穣な映画記事にうっとりしつつ、読み逃げを繰り返しておりました(汗)。申し訳ありません。

冒頭に貼ってくださったハイド氏の顔の画像、これがこの作品の全てを物語っているような気がします。これほど悲しい気持になるホラー作品もあまりないわけで、恐怖とは、突き詰めれば結局人間の業に行きつくのかなあと思ったりします。

拙宅でもこの映画に関する記事を書いたのですが、ただいまサーバがダウン寸前(笑)ですので、TBできません。また落ち着きましたら伺います。

追記:カーウァイ監督に関するスキャンダル、ホントですか?!ちょっとショックでした…。

TB&コメント有難うございました。

TB返しができないので、URLを貼らせてくださいね。
http://okapi.at.webry.info/200706/article_13.html

この作品に対する視点はFROSTさんとそっくりですが、科学万能主義への批判についてすっかり書き忘れました。つまり、人間の二重人格と科学の善悪の二面性がダブってくるんですね。それはこのサイレント映画に限ったことではないのですが。

ジョン・バリモアと孫のドリュー・バリモアは90歳以上年が離れていますね。彼は曽祖父かと思ったら、息子が50歳の時の子供で、その彼が40過ぎで設けたのが彼女ということです。
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