スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

#0158『ブエノスアイレス』ウォン・カーウァイ監督 1997年香港

ブエノスアイレス
”HAPPY TOGETHER” にほんブログ村 映画ブログへ

ウォン・カーウァイの作品を観ると、いつも「なんかいいなぁ」と思わされてしまうのが癪に障る。それは、ちょっといい感じのラブストーリー『恋する惑星』でもそうだし、切ない大人同士の愛を描いた『花様年華』でもそう感じた。個人的にはあまり出来が良いと思えない『天使の涙』や『2046』でも、ややもするとクラッと引き込まれそうになることがあった。まさかとは思ったが男同士の腐れ縁的恋愛劇『ブエノスアイレス』もやっぱり同様に感じてしまった。私には”その気”はないので、表向き同性愛を描いたこの映画でも「いいな」と思わされてしまうと、さすがに「それはなぜ?」という疑問がふつふつと湧いてくる。

別れたりヨリを戻したりを繰り返すファイ(トニー・レオン)とウィン(レスリー・チャン)。香港で喧嘩をして、やり直すためにやってきたブエノスアイレスでも二人の関係は全く変わらない。別に悪気はなく、普通に振舞うだけで相手を振り回して傷つけてしまうウィン。ファイは逆にそういうことがたまらなくイヤだと思っていても相手のことが気にかかり、「お腹が空いてるんだよ」とウィンに甘えられれば、高熱で寝込んでいても、起き出して食事の仕度をしてしまう。

少し二人の関係が落ち着いてくると、すぐにその枠からはみ出したがるウィン。二人の在り場所を整え、その中に相手を束縛しようとするファイ。そもそも同性愛か異性愛かということではなく、人と人との関係としてこういう微妙でウェットな遠心力や求心力が働くのだということであれば、これは自分にも経験のあることだ。

ウォン・カーウァイ作品の魅力ってひとつはその辺かもしれないなと思う。いろいろなシチュエーションにおける人と人の関係を自在に描きながら、それがなぜか、「そういえば、良く思い出せないけど自分にもそんな記憶がある。。。」、ような”気にさせる”。既視感のようなもので、気持ちがスクリーンに吸い付けられる気分になることがある。

しかも、そういうシチュエーションのアレンジがまたうまい。ウィンとファイの関係は男女間であってもごく普通のありふれた話。しかし、はるか彼方の異邦人の町ブエノスアイレスで、故郷に帰る旅費もない男と男が繰り広げる話として差し出されてくると、見慣れた街を舞台にどこにでもいそうな男女の話として見るよりも、土台そのエモーショナルな深みが違う。彼らのぬぐいがたい孤独感や、互いの傷をなめあいながらズブズブと沈み込んでいくようなそんなダメな感覚までひしひしと感じとってしまう。こういう”場”のとり方は、ウォン・カーウァイ独特のものがあって、それもやはりこの監督が好まれるひとつの要因だと思う。

さらには、そこにクリストファー・ドイルのカメラが入ってくる。この人の映像には状況説明以上のものがある、というより状況説明のための画なんかそもそも撮るつもりがないに違いない。ちょっとあざといところはあるけれど、『恋する惑星』のヴィヴィッドな感じや『花様年華』の過去の記憶を覗き込むようなおぼろげな風情を映像にすることができる人だ。今作でも、異邦人のやりきれない泥沼感や孤独感を映像化して見せてくれる。それは、二人の関係に応じて白黒・赤・青に画面が色調を変えるというような映像的細工であったりもするし、夜明けのブエノスアイレスの街で石畳に崩れ落ちるウィンの姿や、キッチンでタンゴを踊る二人のシーンなどなどの絶妙な構図からも伝わってくる。

後半登場するチェン(チャン・チェン)とファイは、ウィンとファイが過ごした時間と比べるとはるかに短い関係にも関わらず、互いに強く惹かれあう。しかし、いくら惹かれあってもその思いを告げることはできないシチュエーションもやはりあったりする。だからと言って、チェンとの交わりはファイにとって一過性のものではなく、それがあったがゆえにウィンとの別れを決心し、自分の街、家族のもとへと帰っていく。

こういう一連のこともなんとなく「そんなこともひょっとしたらあったかも。。」と、思ってしまう。いや、思わされてしまう。ウォン・カーウァイとクリストファー・ドイルには、映画を使ってそういうことを操る才能があるのだと思う。★★★★☆

<スタッフ&キャスト>
監督:ウォン・カーウァイ
製作:ウォン・カーウァイ
脚本:ウォン・カーウァイ
撮影:クリストファー・ドイル
美術:ウィリアム・チャン
音楽:ダニー・チャン

出演:レスリー・チャン
   トニー・レオン
   チャン・チェン

↓↓最後まで読んでいただきありがとうございました。ぜひ、ワンクリックお願いいたします^^
にほんブログ村 映画ブログへ

  

ブログパーツ

ブエノスアイレスブエノスアイレス
(1999/11/26)
レスリー・チャン、トニー・レオン 他

商品詳細を見る

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

コメントの投稿

非公開コメント

asakoちゃん、こんばんは。

私も、不謹慎ながら勤務中にasakoちゃんのコメントに気づいていましたが、例の件でさすがにコメント返しまではできず・笑。

なんだかんだ言いながら、これも良かった。書き忘れたけど、ピアソラを筆頭にザッパとか最後のHappy Togetherとか音楽も良かった。
また、必見映画があればご紹介くださいませ^^

No title

こんにちは。不謹慎ながら勤務中、にやにやしながら読んでしまいました。
一般的な感情だけど、ブエノスアイレスで男同士の愛、というセッティングによって印象がより深くなったというFROSTさんのコメント、ものすごく同感です。
そして、やはりピアソラとドイルの力は偉大だと思いました。
★引っ越しました!★
お越しいただいた皆様、ありがとうございます。 新しくシネマぞろ★を始めました。下のリンクよりぜひお立ち寄り下さい!
場内ご案内
はじめてご来場のお客様は
こちらから
上映作品を探す

【上映作品INDEX】
⇒タイトル別/あ行-さ行
⇒タイトル別/た行-わ行
⇒製作年別/1910年代-1940年代
⇒製作年別/1950年代-2000年代
⇒ファーストインプレッションリスト
【特集INDEX】
⇒サイレント映画特集
⇒ヒッチコック特集
⇒フィルム・ノワール特集
【500円DVD INDEX】
⇒500円DVDリスト(07/12/09更新)
 全358タイトル

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。

ブログ内検索
カスタム検索
最近の記事を読む
コメント御礼!
トラックバック感謝!
上映作品ランキング


ご来場感謝!!
Google
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

文芸座館主

Author:文芸座館主

Blogranking.net

RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

お気に入り!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。