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#0164『オーソン・ウェルズ IN ストレンジャー』オーソン・ウェルズ監督 1946年アメリカ

ストレンジャー
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ナチス・ドイツでユダヤ人虐殺を指揮し、戦後姿を消した若きエリート、フランツ・キンドラ(オーソン・ウェルズ)。戦犯聴聞委員会のウィルソン(エドワード・G・ロビンソン)は、杳として行方の知れないキンドラを捕らえるため、委員会の反対を押し切って、キンドラの腹心マイネケをわざと監獄から逃がし、その後を追う。そのキンドラは米国の地方都市で大学講師として身を隠し、判事の娘と結婚しようとしていた・・。

「市民ケーン」(1941年)から5年たってますが、ウェルズの光と影を操るうまさは健在。冒頭の脱獄するマイネケをひそかに追う聴聞委員の妻のカットや、たびたび登場する時計塔のシーンなど映像的なみどころは満載です。

ウェルズは相変わらずの”頭の切れる悪人”という役柄を好演。チェッカー自慢のドラッグストア主人を苦もなく負かしてしまう"超”天才。一方、それを追うウィルソンはこの主人に一度もチェッカーで勝つことが出来ませんが、このあたりの設定はオーソン・ウェルズの茶目っ気のようなものを感じさせてくれて楽しめます。

クライマックスの時計塔のシーンは、ヒッチコック作品「逃走迷路」の自由の女神のシーンを髣髴とさせるようななかなかの名場面。ロレッタ・ヤングのハードな女っぷりもGOODです。

ということで、映像や役者(エドワード・G・ロビンソンももちろんすばらしい)という面ではいいのですが、おしむらくはストーリーがいまいち。キンドラが、突然目の前に現れたマイネケの話を聞き、あっという間におとりであることを見抜くあたりまでは良かったのですが、その後ここが要所という大切な場面で彼はことごとく間抜けな選択をします。あいたたた・・・。

ストーリーがそういうことですので、映像が凝っていればいるほど、ウェルズ・ロビンソン・ヤングの三人の演技が見事なほど、観ている私の心は白々とさめていき、さめた心はネガティブに作品を観賞し、なおさらストーリーのアラが目立ってしまうという・・・ああ、悪循環。

そもそも。映画は必ず2時間ほどで決着をつけなければいけないわけで、当然幾分のご都合主義的な面は避けられないでしょう。しかし、それが透けて見えちゃうといかんです。観客にストーリーのつじつまを見透かされると、他の要素ではとてもカバーしきれない。映画は総合芸術と言いますから、映像の魅了なくしては成り立ちませんが、映像の魅力だけでも名作はできないのだなと。なるほどそういうことねと妙に納得してしまう作品。「市民ケーン」の映画としてのバランスのよさが懐かしくなるような、ちょっとばらけてしまった一本でした。

IMDbを見ると、どうもこの作品、ウェルズの意図に反してかなり編集されてしまったようなので、その分を考慮して★★★☆☆

<スタッフ&キャスト>
監督: オーソン・ウェルズ
製作: S・P・イーグル
原作: ヴィクター・トリヴァス/デクラ・ダニング
脚本: オーソン・ウェルズ/アンソニー・ヴェイラー/ジョン・ヒューストン
撮影: ラッセル・メティ
音楽: ブロニスラウ・ケイパー
 
出演:エドワード・G・ロビンソン/オーソン・ウェルズ
    ロレッタ・ヤング/フィリップ・メリヴェイル
    リチャード・ロング/バイロン・キース
    ビリー・ハウス

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