スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

#0173『パンドラの箱』G・W・パブスト監督 1929年ドイツ

パンドラの箱
”DIE BUCHSE DER PANDORA” にほんブログ村 映画ブログへ


完全ネタバレ記事ですのでご注意ください。



少女のようなショート・ボブヘアのルル(ルイーズ・ブルックス)は、“魔性の女”と呼ぶにはあまりにも純真可憐である。にもかかわらず、彼女に関わる男たちをことごとく破滅させてしまう。堕落と退廃の淫靡な匂いをふりまく乙女ルルの魅力を、果たしてどのように表現すればよいものか。

ルルの魅力が凝縮されている場面が二つある。一つ目は芝居小屋舞台裏のシーン。ルルの恋人だったシェーン博士は、奔放なルルとの結婚に踏み切れず、いまやいかにも彼にふさわしい某大臣の娘と婚約している。ルルは、舞台裏を訪れたシェーン博士と婚約者の姿を見つけ、彼女の前で踊るのはいやだと駄々をこねる。

ベッドに突っ伏し、うねうねとうごめく艶かしい背中。子供のようにばたつかせる二本の白い足。大胆に胸の開いた舞台衣装からこぼれそうな乳房。むき出しの生の女の存在感が博士の男の心を直撃する。子供のように博士の様子を伺いながら、博士にその肢体の魅力を浴びせかけるルル。ひょっとすると、彼女は自分のエロティックな肉体の魅力を自覚していないのかもしれない。。。この思いにぞっとさせられる。

思わず口を手でふさいで抵抗する博士の姿が滑稽でもあり壮絶でもある。学者であり、新聞社の社主であり、聡明で美しい婚約者もいるシェーン博士だが、ルルの誘惑に勝てるはずもない。しかし、男ならいったい誰がそれを責められようか。かくして、哀れな博士は、無力な昆虫が食虫植物に吸い寄せられるようにルルとくちづけを交わし、その現場を婚約者に目撃されてしまう。

二つ目は、舞台裏のシーンに続く、シェーン博士とルルの結婚式のシーン。芝居小屋とは異なり、ルルはウェディングドレスに身を包んでいる。男を蕩けさせる肉体を純白のドレスに隠したルル。今度は彼女の内面の怖さを見せつけられる。

新妻の立場にありながら、養父シゴルヒ(この醜く卑しい老人はおそらくルルの最初の男)や、舞台の相方である軽業師ロドリゴを寝室に呼び込んで戯れ、激怒してピストルで彼らを追い払ったシェーン博士が訪問客に慰められている間に、今度はシェーンの息子アルバの求愛にすら応えてしまう。

ベッドに腰掛けるルルのひざに顔を埋める我が息子に向けるシェーン博士の嫉妬に狂った形相。部屋を追い出されるアルバと追い出すシェーン博士の間に、すでに親子の絆はない。一匹の雌を争う二匹の雄の姿。

にもかかわらず、ルルは寝室の姿見で、鏡に映る自分の姿に酔いしれている。自分の行いが男の心をいかに狂わせるのか、ほんの少しも感知していない。しかも、ほんの少しの悪気もない。ルルの心は、幼い子供のように残酷で無邪気である。

博士は、ズタズタになった自分の心を救うためにルルにピストル自殺を強要するが、微塵も罪悪感の無いルルにその怒りが通じるはずもなく、揉みあううちに暴発した銃により命を落とす。

ルルは、女を武器として駆使する計算高い魔性の女ではない。無邪気に、自分の心のままに行動しているだけなのだ。なのに、その結果が、すべての男の破滅につながってしまうという罪深さ。そして、エロティックな肉体と少女のようなあどけなさが同居しつつ、それを包んでいるという禍々しさ。

シェーン博士が死んだあと、彼女は夫殺しの裁判にかけられ、有罪となったところを養父シゴルヒたちに救い出される。そして、いかがわしいギャンブル船に身を隠し、そこにもいれなくなってロンドンの貧民窟にたどり着く。ルルは、自ら主体的に行動することなく、周りの思惑に乗って貧民窟まで流れていくが、その思惑の主たちは男も女も、やはり同様に身を滅ぼしていく。

最後までルルと行動をともにしているのは、シゴルヒとアルバ。アルバはかつての明るく活動的な面影はまるでなくなってしまい廃人のようになってしまっている。彼も、生きながらにしてルルに滅ぼされてしまっている。

三人は、生活の糧を得る手段も無く、ルルは娼婦となる。彼女が客をとる間、男たちは部屋を空けて街頭で暇をつぶしている。これも地獄。娼婦となってもなお可憐なルルは、通りかかった青年を部屋に引き入れる。そして、はじめて会った彼を心のそこから愛しはじめる。これもいかにもルルらしい。しかし、ルルが愛しはじめたその男は殺人鬼だった。

一瞬は殺人鬼の心すら虜にしたかに見えたが、彼女のために破滅しなかった初めての男の手に握られたナイフにより、ルルは命を絶たれる。これも・・・、いかにもルルらしいのかもしれない。。。★★★★★

※この作品は、ジュネス企画のVHSで見たんですが、画質がかなり悪いのが残念です。白黒の対比がくっきりと効いた、切れのいい映像なのできれいな画面で見ることができたら、さらにずっとルルの魅力が伝わってくると思います。↓の紀伊国屋のクリティカル・エディションが素晴らしくきれいなんですって。。買っちゃおうかなぁ。。

しかし、それにつけてもルイーズ・ブルックス。。。欧米では、今でも熱烈なファンが多いというのは理解できますね。すさまじいほどの魅力でありました。

<スタッフ&キャスト>
監督:G・W・パブスト
原作:フランツ・ベーデキント
脚本:ラディスラウス・ヴァホダ
撮影:ギュンター・クランフ
出演:ルイーズ・ブルックス
   カール・ゲーツ
   フリッツ・コルトナー
   フランツ・レデラー
   グスタフ・ディーズル



↓↓最後まで読んでいただきありがとうございました。ぜひ、ワンクリックお願いいたします^^
にほんブログ村 映画ブログへ

ブログパーツ

パンドラの箱 クリティカル・エディションパンドラの箱 クリティカル・エディション
(2006/02/25)
ルイーズ・ブルックス

商品詳細を見る

テーマ : ■■□ サイレント映画 □■■
ジャンル : 映画

コメントの投稿

非公開コメント

だから・・・

だめだっていうのに・・・ToT オショさんまで。。
わかりましたよ。買いますよ。御姐さまお二人にあおられたんじゃ、やはり買わないわけに遺憾でしょうね。ハイ。注文しました。
しかし、70のルイーズ・ブルックスは見たいような、見たくないような・笑。

やっぱり買うべきでしょ

や~、「クリティカル・エデイション」素晴らしいですよ。
やっぱりルイーズ・ブルックスの“ルル”ですよね。あの雰囲気といったらない!!
ルイーズ・ブルックスがキャスト出来なければ、ディートリッヒに役が行っていたようなんですが、彼女のルルは頽廃的すぎるね。
特典映像では70歳を超えた(ババアになった)ルイーズ・ブルックスがインタビューにズケズケと答えていますよ。それもなかなか楽しいのね。

館長、あおらないでくれ~

あ、そうですか?じゃ、ワンクリック注文で・・・っていうくらい、崖っぷちの購買欲をかろうじてこらえてます。でも、このクリティカル・エディションシリーズは『裁かるるジャンヌ』も完璧でしたもんね。今月はすでにルノワールのDVDにお金使ってしまったので、来月はきっと買っていると思います。

買いましょうよ(笑)

買いましょうよ、クリティカル・エディション(爆)!

昔一度見て衝撃を受けたにもかかわらず、物語りの細部は既に忘却の彼方でした。
そうそう、これを観て思いだしたのが、ブルックス監督の(!)「ミスター・グッドバーを探して」です。この作品のヒロインと「パンドラの箱」のルルは、“悪女”というものを規定する際に、私が思い出してしまうひとつの典型ですね。
★引っ越しました!★
お越しいただいた皆様、ありがとうございます。 新しくシネマぞろ★を始めました。下のリンクよりぜひお立ち寄り下さい!
場内ご案内
はじめてご来場のお客様は
こちらから
上映作品を探す

【上映作品INDEX】
⇒タイトル別/あ行-さ行
⇒タイトル別/た行-わ行
⇒製作年別/1910年代-1940年代
⇒製作年別/1950年代-2000年代
⇒ファーストインプレッションリスト
【特集INDEX】
⇒サイレント映画特集
⇒ヒッチコック特集
⇒フィルム・ノワール特集
【500円DVD INDEX】
⇒500円DVDリスト(07/12/09更新)
 全358タイトル

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。

ブログ内検索
カスタム検索
最近の記事を読む
コメント御礼!
トラックバック感謝!
上映作品ランキング


ご来場感謝!!
Google
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

文芸座館主

Author:文芸座館主

Blogranking.net

RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

お気に入り!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。