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#0172『禁じられた遊び』ルネ・クレマン監督 1951年フランス

禁じられた遊び
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ネタバレ気味です


『禁じられた遊び』と言えば、ギターを習っていた者にとっては特別な映画。ナルシソ・イエペスによる主題曲はどれだけ練習したかわかりません。あのメロディが聞こえてきただけで懐かしさがあふれます。

しかし作品の方は、ご多分にもれずはるか昔に一回観ただけで、覚えているのは子役の演技が奇跡的なうまさだったなという驚きと、ラストシーンが悲しかったなぁというそのくらい。さびしいもんです。

今回見直してみてこの作品にはちょっと怖いものを感じました。

ルネ・クレマン監督は人間から動物・虫に至るまでこの作品のいたるところに”死”をばら撒いています。それだけ強調されている"死"に対する登場人物の接し方が普通ではないと言うことがその怖さの原因のようです。

舞台は第二次大戦さなかの1940年、パリ近郊の村。死はそこら辺に日常的に転がっています。パリから非難しようとした一団がドイツ軍戦闘機の攻撃を受けてバタバタと死んでいきます。ポーレット(ブリジット・フォッセー)の両親も機銃掃射を受けて即死。死を理解できないポーレットが斃れた母の頬を小さな手でなでるシーンが悲しい。かわいがっていた犬も死んでしまいます。ルネ・クレマンは死に際に犬が四肢を痙攣させている様子まではっきり撮ってますね。

ポーレットは死んだ犬を抱いてさまよっているうちにミシェル(ジョルジュ・プージュリー)と出会います。ミッシェルは彼女に犬が死んだことを説明し、死んだら穴に埋め、十字架を立てるのだと教えます。

こうして彼女にとって”死”とは”穴に埋めて十字架を立てる”ということとイコールになってしまいますね。死ぬのはかわいそうだと感じるものの、死に敬意を払うべきだというようなことは理解できません。

また、ミシェルもポーレットを喜ばせたいがために、死者を敬い慰める象徴である十字架を次々盗み出そうとします。

暴れ馬にけられたミシェルの兄ジョルジュが死んだとき、ポーレットは「穴に埋めるの?」と聞きます。ミシェルは「よせ、僕の兄さんだぞ」とたしなめますが、それでもやはり兄の遺体を運ぶ霊柩車から十字架を盗みます。

ミシェルは隣家からひよこを盗んできますが、ポーレットに見せたときにはひよこは死んでいます。「うれしいかい?」と聞くミッシェルにポーレットは「うん」と答えます。

子供たちは死の本質を理解しないまま、次々と墓を作って十字架を立てます。清らかに美しい音楽やブリジット・フォッセーのかわいらしさとは裏腹に死の本質を理解しない子供たちの葬式ごっこはやはり怖い。ブリジット・フォッセーの(多分)青い瞳があまりに無邪気すぎて、さらに怖さを増幅します。

ミシェルの両親は当然子供たちのこういう遊びを快く思いません。でも、彼らも"死”について理解し敬意を払っているのか甚だ疑わしい。隣家の妻の墓を汚い石ころだとののしる。墓場で乱闘する。十字架をへし折る。大人たちもやはり死に対してまっとうな態度を示していないようです。

結局、この映画からずっと感じる怖さの根本にあるのは、大人も子供も死というものを正しく取り扱っていないという一種の異常さです。突き詰めると、結局はそういう人間社会における当たり前のことができなくなってしまう戦争というものの恐ろしさということにたどり着きます。

大人たちは、子供の葬式ごっこには違和感を感じるのに、戦争によって自分たちも死に対して無感覚になってしまっていることに気がつかない。そういう大人たちに引き裂かれてしまった二人の姿が哀れです。ラストシーンのミシェルを捜し求めるポーレットの姿は忘れられません。
★★★★☆

<スタッフ&キャスト>
監督:ルネ・クレマン/製作:ポール・ジョリ
原作:フランソワ・ボワイエ/
脚本:ジャン・オーランシュ/ピエール・ボスト
撮影:ロベール・ジュイヤール
音楽:ナルシソ・イエペス
 
出演:ブリジット・フォッセー/ジョルジュ・プージュリー
   シュザンヌ・クールタル/ジャック・マラン


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(2006/12/14)
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