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#0174『仕組まれた罠』フリッツ・ラング監督 1954年アメリカ

仕組まれた罠
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完全ネタバレ記事です。ご注意ください。


ドイツの名監督フリッツ・ラングがハリウッドで製作したサスペンス映画で、日本未公開作品。最近、ジャン・ルノワールに関する本を読んでいてようやく気づいたんですが、ルノワールの『獣人』のリメイクなんですね。

主人公のジェフ・ウォーレン(グレン・フォード)は、朝鮮戦争から帰還し鉄道機関士に復職します。映画の冒頭にジェフが電気機関車を走らせますが、このシーンがなんともいえず良いですねえ。運転席から見える景色の臨場感と、ジェフのプロフェッショナルな風情や、ジェフと同僚が手振りだけでタバコの火のやり取りをする様がリアル。また音楽がシーンにとても良く合っています。冒頭からちょっと目を見張りました。

ストーリーは、『仕組まれた罠』というより、原題のHuman Desireの方がピンとくる内容。人間の欲望というか、”人であるが故の業”というでもいうのでしょうか。

ジェフは、昔の同僚カール(ブロデリック・クロフォード)と再会します。カールは副操車場長に出世し美しい妻ヴィッキー(グロリア・グレアム)と結婚したばかり。ところが再会直後にカールは上司と揉め事を起こしてクビを言い渡されてしまいます。困りきったカールはヴィッキーが昔”世話になった”という大荷主オーウェンズに仲裁してもらうことを思いつき、嫌がる妻を説得してオーウェンズのもとに頼みに行かせるんですねぇ。

さあ、ところがヴィッキーはオーウェンズのもとに向かったまま5時間たっても帰ってきません。ようやく戻ってきたヴィッキーを問い詰めたカールは、妻の様子からオーウェンズとの関係を疑い、嫉妬に我を忘れて狂います。町に戻るオーウェンズと同じ汽車に乗り込んだカールは、妻を伴ってオーウェンズの個室に乗り込み、ついには彼を刺し殺してしまうのです。二人は自分たちの客車に戻ろうとしますが、デッキに同乗していたジェフがタバコをふかしているのに気づきます。何とかその場を切り抜けようと、カールはヴィッキーにジェフを誘い出すように命じますが・・・。

さて、ここからです。主役の三人はそれぞれ”業”に取り付かれてしまうんですね。カールはすでに嫉妬に狂いオーウェンズを殺害していますが、それでもまだヴィッキーを愛しており、彼女を脅して自分のもとに縛りつけようとします。デッキでヴィッキーと出会ったジェフは怪しいと思いつつも美しい彼女を愛してしまい、次第に友人カールが疎ましくなってきます。

fritz_lang_human_desire.jpgカールは無限の嫉妬、ジェフは盲目のごとき道ならぬ恋という業に取り付かれていきます。そして、ヴィッキーですが、彼女はきっと女として幸せになりたいんですよね。そのために男を利用しようとしてしまう。これは、計算づくの悪どさではないでしょう。でも結果としてそうしてしまうのですね。

次第に酒におぼれていくカールと、夫に見切りをつけて冷たく接するヴィッキーの、夫婦が壊れていく様子は悲惨。そして、そういう状況の中で、ヴィッキーは本気で愛してしまったジェフをも、自分のために利用しようとします。このあたりの業の深さが実に哀しい。ジェフはついに意を決し、カールを付け狙います。

酔って千鳥足で先を行くカールの影。それを恐ろしい形相で追うジェフ。二人がともに働いた操車場ついにカールに追いついたジェフは凶器を振り上げます。。。が、最後の最後でジェフはカール殺しを思いとどまるんですね。

しかし。。。。この作品で残念なのはこのくだりです。ジェフがカール殺しを思いとどまったいきさつに納得がいかない。この映画のテーマが”どうしようもない人の業”ということならば、彼が落ちた盲目の恋はそんなに簡単に冷めるものであってはいけないと思うのです。簡単にあきらめられるものならそもそも大した業ではないし、彼女が夫殺しを言い出したときに冷めてもいいはずで、あのタイミングで我に返る必然性が良くわからない。そのあたりにご都合主義的なものが感じられて残念です。

それでもラストで三人が乗り合せる汽車のシーンは実に皮肉で印象的。業に取り付かれたものは、業に殺されるというまっとうなエンディングでした。

三人の俳優はそれぞれ素晴らしい演技でした。ブロデリック・クロフォードの鬼気迫る落ちぶれ方も、美しく涙をこぼしながら夫殺しをそそのかすグロリア・グレアムも、まっとうな理性を持ちながら愛した女のために殺しを決意するグレン・フォードも良いと思います。

特に、グロリア・グレアムの顔立ちは破滅を予感させます。これほど破滅が似合いそうな女はそうはいないんじゃないかというくらい。そういう意味ではフィルム・ノワールにはまさにうってつけの女優だと思います。★★★☆☆

<スタッフ&キャスト>
 監督:フリッツ・ラング
 製作:ルイス・J・ラックミル
 原作:エミール・ゾラ
 脚本:アルフレッド・ヘイズ
 撮影:バーネット・ガフィ
 音楽:ダニエル・アンフィシアトロフ
 出演:グレン・フォード/グロリア・グレアム
    ブロデリック・クロフォード/エドガー・ブキャナン

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