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#0182『記憶の代償』ジョセフ・L・マンキウィッツ監督 1946年アメリカ

記憶の代償

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『イヴの総て』で圧倒的なドラマの面白さを見せてくれたジョセフ・L・マンキーウィッツ監督の作品。

フィルム・ノワールらしい白黒感は存分にかもし出されており雰囲気は満点。戦傷で記憶を失ったジョージ・テイラー(ジョン・ホディアク)が、わずかな手がかりを手繰って自分の過去の秘密を握るラリー・クラバットという男を追います。悪漢に追われて逃げ込んだクラブ楽屋で出会った歌手クリスティ(ナンシー・ギルド)と愛し合うようになり、彼女の協力を得て真相に近づきますがそこには驚くべき真実が・・。

ということで、こじんまりしたキャストによる典型的なB級フィルム・ノワール。主演のジョン・ホディアクはどこかで見覚えがあるなと思って調べて見ると、ヒッチコックのしぶ~い密室劇『救命艇』に出てました。救命ボートに乗り合わせたメンバーの中でも結構攻撃的な性格の男を演じていました。

病院で目覚めた主人公ジョージ・テイラーが故郷L.A.でわずかな手がかりを探りますが、ストーリーの組み立てとしては手に汗握ると言うほどでもありませんがまずまずの工夫でしょうか。終盤の桟橋に向かう頃には大体ラストは読めますけどね。ただ、話のつながり、要するにヒントを得て次のエピソードに移動するつなぎに若干無理があるんじゃないのかと思わせるところが二箇所。ひとつはロスに戻った直後に受け取るカバンの出所。もうひとつは女占い師フィリスの家で「ヒントをくれ!」と言うというところ。ヒント探しが面白さの核なのに、おもむろに「ヒントくれ」と頼むのもいかがなものでしょ・笑。

ミステリとかホラーなどの作品では、ご都合主義が透けて見えると、その後映画ががんばるほど逆に心は白々とさめていくという、”逆スパイラル症状”に陥ってしまうことがあるのですが、今回は、そういう、多少気になるところはあるものの、そこまで冷めてしまうことはなく、ラストまでそこそこ楽しむことはできました。

しかし、主演二人が、あんまり好みじゃないんですよねぇ。ジョン・ホディアクは、とにかく最初から最後まで表情がまったく変わらないので感情移入しづらいことはなはだしい。必死で真剣のは良いのですが、ちょっとくらい笑うとか泣くとかさ・・・。『救命艇』ではもう少し動きのある表情をしていたと思うので、これは演出なのでしょうか・?

一方、クリスティを演じるナンシー・ギルドは逆に結構表情豊かなんですが、顔のつくりがなんていうんでしょ、B級アメコミに出てくるちょっと妖艶な悪女の感じ?多分自分でも意識してるんだと思いますが、眉を長くたれ気味に引いて、ちょっと上向き加減にしてニタッと笑うと頬骨が強調されて、なんか少し卑猥な笑顔になるんですねぇ。これ、結構印象に残る顔なので女優が作る表情として決して悪いとは思いませんが、個人的に好みじゃないです。はい。

しかし、なんですね、B級フィルム・ノワールっていうのは、前に感想をアップした『都会の牙』もそうですが、あんまり“ストーリーが”とか“演技が”とかコムツカシイことを言わずに、スコーンと心を開いて雰囲気を味わうものかもしれないなとそんなことを感じました。
★★★☆☆

<スタッフ&キャスト>
監督:ジョセフ・L・マンキウィッツ
脚本:マーヴィン・ボロウスキー
ジョセフ・L・マンキウィッツ
脚色:リー・ストラスバーグ
撮影:ノーバート・ブロダイン
音楽:デヴィッド・バトルフ
出演:ジョン・ホディアク/ナンシー・ギルド
    ロイド・ノーラン/リチャード・コンテ
    ジョセフィン・ハッチンソン/フリッツ・コルトナー


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(2006/04/14)
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テーマ : クラシック映画
ジャンル : 映画

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