■負のメロドラマとは弱者の吐く(本来なら他人の耳に届くはずのない)弱音です。(「弱音」とは、ここで「よわね」であると同時に「じゃくおん」であることに気をつけてください。つまり弱者の吐く弱音には社会的ミュート(弱音器)がつけられていて、弱い音しか出せないのです)。
■正のメロドラマとは弱者の見る幸福な夢です。
■前者において弱者は外圧に翻弄されるまま死んでしまいます。後者においては弱者は嘘のようなハッピーエンドをむかえます。
■いずれにしてもメロドラマにおいて、弱者は死ぬか、それとも(逆境の渦中で一息ついて)なお当座の間生き続けるかするだけです。
■社会的不正義のあるところには、必ずメロドラマが生じます。メロドラマは弱者と強者の衝突において姿を現します。今日、人間の悲惨と抑圧があるところ、必ずメロドラマが演じられます。
(「映画学と映画批評、その歴史的展望 −加藤幹郎インタビュー」CineMagaziNet! No.11 2007)




