
”ROPE”
ネタバレ気味ですのでご注意ください。
ブランドン(ジョン・ドール)とフィリップ(ファーリー・グレンジャー)の二人は、自らの優秀性を証明するために、昔の寮仲間デイヴィッド(ディック・ホーガン)を絞殺。その死体をチェストに隠し、それを食卓としてパーティーを開く。招待客は死んだデイヴィッドにゆかりの人たちばかり。パーティが始まり、団欒を愉しむメンバーだが、徐々にその場にいないデイヴィッドに関する疑問が膨らんでいき・・・。
ヒッチコック映画の中でも異彩を放つ超長回し映画。どのくらい長いかと言うと、当時の撮影キャメラの限界である 10分間を一気撮り。それゆえTMT(Ten Minute Take)と呼ばれています。しかも、フィルム交換の間をうまく工夫して全編1時間20分をワンカットであるかのように撮影するという前代未聞の作品になっています。最近、リアルタイムを売り物にした「24」が話題を呼びましたが、約60年前にそれよりもはるかにリアルタイムな作品を作っていたということで、やはり瞠目すべき作品だといえます。
そういう仕掛けの映画ですからストーリー展開には限界があるわけですが、冒頭の殺人以外は登場人物8人の会話だけで総てが進行します。実にうまくストーリー構成されており、たとえばパーティにやってくる招待客の到着順。かつての寮仲間ケネス(ダグラス・ディック)→デイヴィッドの婚約者ジャネット(ジョアン・チャンドラー)→デイヴィッドの父ケントリー氏(セドリック・ハードウィック)と叔母→最後に、洞察力にすぐれた元寮監ルーパート(ジェームズ・スチュワート)。殺人事件を隠し通すことで自らの優秀性を証明したい二人にとって、徐々にプレッシャーが増していく到着順になっています。イコール観客にとっても一人到着するごとにサスペンスフルになってくるわけで、自信家ブランドンがスリルを高めるためにわざと招待した切れ者ルーパートの登場により舞台は完成。このあたりの持って行き方はさすが。
また、会話が重なるうちに唯一パーティ会場にいないデイヴィッドの存在感が徐々に増していく描写や、死体が隠されているチェストの上の食器などがメイドによって徐々に片付けられていくシーンなど、制限のある中で良くこれだけのことができるものだと、ヒッチコックの技にやっぱり今回も深く感心してしまうのです。★★★★☆
<スタッフ&キャスト>
監督:アルフレッド・ヒッチコック
製作:シドニー・バーンスタイン/アルフレッド・ヒッチコック
原作:パトリック・ハミルトン
脚本:アーサー・ローレンツ
潤色:ヒューム・クローニン
撮影:ジョセフ・ヴァレンタイン/ウィリアム・V・スコール
音楽:レオ・F・フォーブステイン
出演:ジェームズ・スチュワート
ファーリー・グレンジャー
ジョン・ドール
セドリック・ハードウィック
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