
”麦秋”
間宮家は、父周吉(菅井一郎)、母しげ(東山千栄子)、長男康一(笠智衆)夫婦とまだ幼い二人の息子、長女紀子(原節子)の三世代7人暮らし。紀子は大企業の専務秘書として働く28才。適齢期にもかかわらず家族の心配をよそに結婚には全く興味がない様子。友達と楽しく毎日を過ごしています。ある日、専務から彼の知人との縁談を持ちかけられたことを契機に、彼女の結婚に対する家族の期待が盛り上がっていきますが。。
原節子の美しさ(必ずしも美人ではないと思うのですけれど、ほんとに”美しい”という感じ)は相変わらずで満足。北鎌倉駅に立つ紀子の後姿なんかため息が出ますね。笠智衆も・・・と思ったら、なんと髪が黒い。顔も張りがあるし。声としゃべり方でようやく笠智衆だとわかる始末。2年後の『東京物語』ではよぼよぼでしたよね。調べてみると、『麦秋』の時が47歳、『東京物語』が49歳。よ・49歳??ですか。で、あの老人ぶりですか。驚きました。。。筋金入りの役者ですねぇ。
小津体験二本目ですが、あいかわらず訴えかけてくるものが普通というか微妙というか、乏しいボキャブラリーで表現するのは難しいのですが、ずいぶん「平凡」なテーマ設定なのだなぁという風に感じてきました。今回は、適齢期の娘の結婚をめぐる家族の期待と不安。節子本人の決心。娘の結婚で迎える家族のひとつの時代の終わり。どこの家庭にも普通に起こることです。
娘の結婚というイベントをめぐって家族一人一人に起きる感情の変化とかが、なんか身近に良くわかるというか。義姉は心配するだろうなぁと思えばするし、兄康一は怒るだろうなぁと思えば案の定怒るし、母しげはしょげるだろうと思えばしょげる。そういう意味では、なんのドラマチックさもありません。
そうであるにもかかわらず、この満足感はどこから来るのだろう。妙に納得できるんですよね。日本人の心の襞にぴったりと触れてくる感じ。私の年代(この作品のときの笠智衆と同い年)は、この作品の背景や家族関係、人情の機微にまだまだ懐かしさを感じることのできる年代です。今の若い人たちの目にはどう映るんだろうなぁ。
ちなみに、今回の家族も前回の『東京物語』の家族も、いい生活をしています。1951年というと現実にはまだまだ戦後の貧しい次期だと思いますが、今の時代と変わらない生活水準にあるように見えます。とはいえ、子供たちの格好とか見てると決して特別なブルジョワではなくごく普通の身なり。小津監督は意図的に貧しさを描かないようにしてるんですね。★★★★☆
<スタッフ&キャスト>
監督: 小津安二郎
製作: 山本武
脚本: 野田高梧/小津安二郎
撮影: 厚田雄春
美術: 浜田辰雄
衣裳: 斎藤耐三
編集: 浜村義康
音楽: 伊藤宣二
出演: 原節子/笠智衆
淡島千景/三宅邦子
菅井一郎/東山千栄子
杉村春子/二本柳寛/佐野周二
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こういう表現は初めてですが、いいですね。確かに清潔さを感じます。小津作品の最大の魅力のひとつだと思います。
この作品はもう、駅に立つ原節子の後姿だけで十二分!という気になってしまいます。なかなかあそこまでの品の良さを出すことはできません。人物も映像も。
なんども見直したい映画ですよね。
とても可愛いし、原節子の唐突にも思える結婚の決意も、何か清清しく
共感を覚えます。
ほんとに、劇的ではないのに、とても満足感があるんですね。
セリフのリズム、画面の清潔さ、登場人物の心理表現それら全てが
心地良く・・・・。この世界にいつまでも浸っていたい、そんな映画です。





