■彼らが人類の歴史上、とてつもない悪行を重ねたことは事実だ。
■しかしながら、そのようなヒトラーがいたおかげでハリウッドの映画産業が半世紀を通して潤ってきたことも、否定できない事実である。
■映画では、物語を面白く展開していくために、常に悪役が必要だった。かつてのハリウッド映画では、その役はインディアンとソ連共産主義者の一手販売だった。
■現在のアメリカでは少数民族を悪人に仕立て上げることは、人権問題にかかわることとして禁止されているし、ソ連は見事に崩壊してしまった。
■では、誰を悪役に仕立て上げればいいのか、二つの方法がある。ひとつは悪い宇宙人を登場させることだ。もうひとつの方法はナチスである。
■ということで、ハリウッドの映画産業はアウシュヴィッツの灰を見事に黄金に変える術を獲得したといえる。
(四方田犬彦著「映画史への招待」より)
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