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日曜日には鼠を殺せ
”BEHOLD A PALEHORSE” 


少しネタバレ


『真昼の決闘』がとても気に入ったフレッド・ジンネマン監督の作品。何が良かったかと言えば、それはもうゲイリー・クーパーが誰の助けも得られず徐々に一人ぼっちに追いつめられていく姿。時間の経過をリアルに織り交ぜながら、実に見事なストーリー運びでした。

この作品でも同じく、ぐぐっと迫りこんでくるようなストーリーが良いですねぇ。グレゴリー・ペックとアンソニー・クィンの演技も重厚で名演。夜や日の射さない室内のシーンが多いため、スクリーンには暗く重苦しい雰囲気が立ち込めていますが、これはまちがいなく良い映画です。

スペイン内戦が終結し、人民戦線側で戦った英雄マヌエル・アルティゲス(グレゴリー・ペック)は終戦後フランスに亡命。ゲリラ活動を続けていたが、戦後20年を経た現在ではその情熱もなくしてしまい、日々衰えていくのみ。ある日彼のもとに母が入院したと言う知らせが届く。故郷サン・マルティンの病院では内戦以来の宿敵警察署長ヴィニョラス(アンソニー・クィン)がマヌエルを捕らえるために万全の包囲網を敷いていた。

一度見て、マヌエルの行動が今ひとつ良くわからなかったのでスペイン内戦の情報を少し調べて再度鑑賞。キーポイントはオマー・シャリフの演じる神父でした。フランシスコ神父は、死の床にある母親から警察の罠を警告する伝言を頼まれてマヌエルのもとにやってきます。スペイン内戦ではローマ教皇庁がフランコ政権を認めたことが人民戦線側崩壊のとどめとなった経緯もあり、人民戦線の闘士であったマヌエルからすると、カトリック教会と神父は「悪の権化」。母が死の間際に神父と接したことも信じたくないし、神父が告げる母の死も信じられない。

はじめは神父に対して憎悪をあらわにするマヌエル。分け与えたパンを取り上げて、「このパンを与えたのは神ではない、俺だ。」とすごみますが、神父は無言でパンをつき返します。しかし、神父の伝言が決め手となって密告者を暴き出せたことで二人の距離は縮まり、実は同郷であったことからスペイン内戦での神父の悲惨な体験を知ることになります。「それは人民側がしたことではない」と言い逃れるうマヌエルに、「そんなことに、どんな違いがあるのか」と神父は聞き返します。

マヌエルは、人民のためにファシストと戦った正義の戦士という自分の存在意義を神父に否定されたのでした。そして、彼自身もそのことを自己否定するのですが、その心の葛藤がこの映画のテーマであるようです。神父と別れた後、暗い部屋の中で歩き周り思い悩むマヌエル。窓からボールを投げ落とします。窓外の石畳を転々とボールが転がっていくショットはまるでよくできたフランス映画のようなすばらしさですが、このボールはマヌエルが大事にしてきた自尊心の象徴でしょうねぇ。それを窓から投げ捨てたわけです。

ラストで「ビニョラスに一泡吹かせてやるのさ」と言いながらマヌエルがとる行動は自殺行為のようにめちゃくちゃですが、すでに自分の存在を否定してしまったマヌエルにとってはそんなことはどうでも良かったのかもしれません。

グレゴリー・ペックは、今ひとつ入りこめない俳優なんですが、この作品のペックは良いと思います。品行方正なヒーローのイメージがありますが、今回の落ちぶれた英雄や『白昼の決闘』のときのような悪役のほうが味が出ていて個人的には好きですね。★★★★★

<スタッフ&キャスト>
監督:フレッド・ジンネマン
製作:フレッド・ジンネマン
原作:エメリック・プレスバーガー
脚本:J・P・ミラー
撮影:ジャン・バダル
音楽:モーリス・ジャール
出演:グレゴリー・ペック
   アンソニー・クイン/オマー・シャリフ
   パオロ・ストッパ/レイモン・ペルグラン
   ミルドレッド・ダンノック/ペレット・プラディエ
   クリスチャン・マルカン/ミシェル・ロンズデール
   ダニエラ・ロッカ/ロザリー・クラッチェリー
   ロランス・バディ/マーティン・ベンソン

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日曜日には鼠を殺せ日曜日には鼠を殺せ
(2007/07/25)
グレゴリー・ペック.アンソニー・クイン.オマー・シャリフ

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