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#0031『私家版』ベルナール・ラップ監督 1996年フランス

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私家版
私家版

”TIRE A PART”

監督:ベルナール・ラップ
製作:ジョエル・フロン /ブジェマ・ダマーヌ
原作:ジャン=ジャック・フィシュテル
脚本:ベルナール・ラップ
撮影:ロマン・ウィンディング
出演:テレンス・スタンプ/ダニエル・メズギッシュ/マリア・デ・メディロス

以前、”カルトでも、インディーズでも、アートでも(C.I.A)に掲載した記事から、テレンス・スタンプの魅力炸裂『私家版』を若干修正転載します。

ネタバレです

30年前、恋人の自殺をきっかけに作家への道を自ら断念したエドワード・ラム卿(テレンス・スタンプ)。編集者として生きるエドワードのもとに、古くからの友人ニコラ・ファブリ(ダニエル・メズギッシュ)が、自らの体験を下にした新しい小説を携えてやってくる。”並みの作家”と評されるニコラの新作は驚くべき傑作。その原稿を読んだエドワードは、そこに恋人の自殺の真相が描かれていることを発見する。彼女の死の原因はニコラにあったのだ。エドワードは静かに復讐を開始する・・・。

フランス映画が描く人間と人間の関係って、クセがあって好きなんです。ヨーロッパの中で他民族とひしめき合ってきた国民性なんでしょうね、愛や憎しみなどドロドロしたところが複雑に絡みあうドラマの描き方はフランス人ならではの発想と切り口だと思います。

今回の『私家版』も愛憎渦巻く実に周到な復讐劇ですが、演じるテレンス・スタンプがほとんど感情の変化を見せないため一見平板なドラマに見えます。加えてラップの脚本・演出が、ニコラによる恋人のレイプや自殺、ニコラの初版本の発行、ゴンクール賞(フランスの権威ある文学賞)受賞、エドワードが仕掛けたスキャンダルに対する世の中の反応などドラマ進行上のポイントともなる部分をほとんど省略してしまっているため気がつくとストーリーが次の展開になっていたりするのですが、その分エドワード卿の復讐のプロセスだけに集中して描かれているため、きわめてドラマの密度は高い。スローテンポだという映画評をよく見かけますが、逆にかなりテンポは早いと感じました。実際、90分弱と言う短時間でエドワードがニコラを破滅させるプロセスを描ききっている腕前は評価できると思います。

”究極の詐欺はだまされた本人もだまされた事に気づかない・・・」。”白昼の死角”にそういう話がありました。その時だけじゃなくて、後々までずーっと気づかないということですよねぇ。エドワードの仕掛けた復讐の細工はまさにこれ。ニコラは追い詰められ、ボロボロになっても最後までエドワードだけは理解者だと信じて疑わなかった。正直なところ復讐の筋立てはかなり早い段階から先が見えていて、エドワードが復讐者だということをニコラに明かして、すったもんだして・・・、みたいな安直な結末かと不安になっていたのですが、さすがにベルナール・ラップ、もう一枚奥の手を隠していました。

本作の魅力は、この復讐プロセスの完璧さと主役のテレンス・スタンプの魅力。この二つに集約されますね。主人公のエドワードは、知的でユーモアもあり、本に関するプロフェッショナルな技術も魅力的。一切の感情を抑えて黙々と精密機械のように復讐のプロセスを踏んでいく怖さを演じるテレンス・スタンプはすごいの一言。彼にしか出来ない役だとまで思い始めます。ベルナール・ラップはもう一つの監督作『趣味の問題』でも化粧品会社の経営者フレデリック(ベルナール・ジロドー)を実に魅力的に描きましたが、オヤジをかっこよく描くのがうまい。

そのベルナール・ラップはもともとフランス国営放送のジャーナリストで、テレビや雑誌のニュースで素晴らしい実績を残しています。TV用のドキュメンタリーフィルムを何本か製作したあとに商業用長編映画に進出しデビュー作として本作、4年後に第二作『趣味の問題』を撮りました。以前『趣味の問題』を観て以来、個人的にはかなりお気に入りの監督なのですが、2006年8月に癌で亡くなってしまいました。残念なことです。★★★★☆にほんブログ村 映画ブログへ

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私家版

編集者エドワードの元に持ち込まれた一作の小説。しかし、それは彼が心の奥に秘めていた悲痛な想いを呼び覚まさせることとなり…… フランスの人気キャスターでもあった『趣味の問題』のベルナール・ラップ監督、『プリシラ』『イギリスから来た男』のテレンス・スタンプ…

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